問19 呼吸用保護具に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
(1)防毒マスクの吸収缶の色は、一酸化炭素用は黒色で、硫化水素用は黄色である。
(2)防じん機能を有する防毒マスクには、吸収缶のろ過材がある部分に白線が入れてある。
(3)型式検定合格標章のある防じんマスクでも、ヒュームのような微細な粒子に対しては効果がない。
(4)防じんマスクの手入れの際、ろ過材に付着した粉じんは圧搾空気などで吹き飛ばして除去する。
(5)直結式防毒マスクは、隔離式防毒マスクよりも有害ガスの濃度が高い大気中で使用することができる。
※ イメージ図(©photoAC)
このページは、試験協会が2022年4月に公表した第1種衛生管理者試験問題の解説を行っています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。
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2022年04月公表問題 | 問19 | 難易度 | 呼吸用保護具に関する基本的な知識問題。頻出事項でもあり、正答できなければならない。 |
---|---|---|---|
呼吸用保護具 | 2 |
問19 呼吸用保護具に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
(1)防毒マスクの吸収缶の色は、一酸化炭素用は黒色で、硫化水素用は黄色である。
(2)防じん機能を有する防毒マスクには、吸収缶のろ過材がある部分に白線が入れてある。
(3)型式検定合格標章のある防じんマスクでも、ヒュームのような微細な粒子に対しては効果がない。
(4)防じんマスクの手入れの際、ろ過材に付着した粉じんは圧搾空気などで吹き飛ばして除去する。
(5)直結式防毒マスクは、隔離式防毒マスクよりも有害ガスの濃度が高い大気中で使用することができる。
正答(2)
【解説】
呼吸用保護具については当サイトの「化学物質、粉じん等の保護具」を参照して頂きたい。
(1)誤り。防毒マスクの吸収缶の色は、一酸化炭素用は赤色である。なお、硫化水素用は黄色で正しい。下記の表は覚えておく必要がある。
対応ガスの種類 | 吸収缶の色 |
---|---|
有機ガス用 | 黒 |
ハロゲンガス用 | 灰色と黒 |
アンモニア | 緑 |
亜硫酸ガス用 | 橙色(黄赤) |
一酸化炭素用 | 赤 |
酸性ガス用 | 灰色 |
シアン化水素用 | 青 |
臭化メチル用 | 茶 |
硫化水素用 | 黄 |
(2)正しい。防毒マスクの規格の第8条第5項の表の備考に「防じん機能を有する防毒マスクにあっては、吸収缶のろ過材がある部分に白線を入れる
」とされている。
(3)誤り。型式検定に合格した防じんマスクは、防じん及びヒュームに対しては有効である。ただ、ミストに対しては有効なものと無効なものがあることに留意すること。
(4)誤り。令和5年5月25日基発0525第3号「防じんマスク、防毒マスク及び電動ファン付き呼吸用保護具の選択、使用等について」(以下「保護マスク通達」という。)に次のような記述がある(※)。
【防じんマスク、防毒マスク及び電動ファン付き呼吸用保護具の選択、使用等について】
第4 呼吸用保護具の保守管理上の留意事項
1 呼吸用保護具の保守管理
(3) ろ過式呼吸用保護具を常に有効かつ清潔に保持するため、使用後は粉じん等及び湿気の少ない場所で、次の点検を行うこと。
ア及びイ (略)
ウ ろ過材の使用に当たっては、次に掲げる事項に留意すること。
① ろ過材に付着した粉じん等を取り除くために、圧搾空気等を吹きかけたり、ろ過材をたたいたりする行為は、ろ過材を破損させるほか、粉じん等を再飛散させることとなるので行わないこと。
② 取扱説明書等に、ろ過材を再使用すること(水洗いして再使用することを含む。)ができる旨が記載されている場合は、再使用する前に粒子捕集効率及び吸気抵抗が当該製品の規格値を満たしていることを、測定装置を用いて確認すること。
※ 本問出題当時は、平成17年2月7日基発第0207006号「防じんマスクの選択、使用等について」が有効であり、本文に示した「保護マスク通達」によって廃止されたが、本通達にもろ過材の手入れについて、次のような記述があった。
イ ろ過材については、よく乾燥させ、ろ過材上に付着した粉じん等が飛散しない程度に軽くたたいて粉じん等を払い落すこと。
ただし、ひ素、クロム等の有害性が高い粉じん等に対して使用したろ過材については、1回使用するごとに廃棄すること。
なお、ろ過材上に付着した粉じん等を圧搾空気等で吹き飛ばしたり、ろ過材を強くたたくなどの方法によるろ過材の手入れは、ろ過材を破損させるほか、粉じん等を再飛散させることとなるので行わないこと。
また、ろ過材には水洗して再使用できるものと、水洗すると性能が低下したり破損したりするものがあるので、取扱説明書等の記載内容を確認し、水洗が可能な旨の記載のあるもの以外は水洗してはならないこと。
なお、この通達は、合格した後の業務でも必要になる。試験までに一度は眼を通しておくこと。
(5)誤り。防毒マスクの規格第2条第1項の表によれば、防毒マスクを使用できる上限は次のようになっている。直結式防毒マスクは、隔離式防毒マスクよりも有害ガスの濃度が低い大気中でしか使用できない。
種類 | ガス濃度 |
---|---|
隔離式 | 2%(アンモニアにあっては3%)以下 |
直結式 | 1%(アンモニアにあっては1.5%)以下 |
直結式小型 | 0.1%以下 |