第1種衛生管理者試験 2022年4月公表 問17

労働衛生の3管理(作業環境管理)




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※ イメージ図(©photoAC)

 このページは、試験協会が2022年4月に公表した第1種衛生管理者試験問題の解説を行っています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。

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2022年04月公表問題 問17 難易度 作業管理に該当するものを問う基本的な問題である。確実に正答しなければならない問題。
作業環境管理

問17 労働衛生対策を進めていくに当たっては、作業環境管理、作業管理及び健康管理が必要であるが、次のAからEの対策例について、作業環境管理に該当するものの組合せは(1)~(5)のうちどれか。

A 粉じん作業を行う場所に設置した局所排気装置のフード付近の気流の風速を測定する。

B アーク溶接作業を行う労働者に防じんマスクなどの保護具を使用させることによって、有害物質に対するばく露量を低減する。

C 鉛健康診断の結果、鉛業務に従事することが健康の保持のために適当でないと医師が認めた者を配置転換する。

D 放射線業務において、管理区域を設定し、必要のある者以外の者を立入禁止とする。

E 有機溶剤を使用する塗装方法を、有害性の低い水性塗料の塗装に変更する。

(1)A,D

(2)A,E

(3)B,C

(4)B,D

(5)C,E

正答(2)

【解説】

労働衛生3管理の区別をせよという、この種の問題には解法のコツがある。まず、その対策が作業者が居ないときでも実施可能であれば「作業環境管理」に位置付ける。次に、作業者の体内の状況に関するものを「健康管理」とし、残ったものを「作業管理」と位置付けるのである。ただし特殊健康診断のうち生物学的モニタリングに関するものは「作業管理」にする。

これで衛生管理者の試験問題程度であれば、ほぼ正答できる。ただし、これは受験対策のコツであって正しい見分け方ではないことは忘れないこと。

なお、誤解しやすいものとして個人ばく露測定がある。これは作業者が居なければ実施できないので、このコツに従って「作業管理」に位置付けておけば衛生管理者試験では正答になる。実は、厳密には個人ばく露濃度測定は「作業環境管理」にも「作業管理」にもなるのだが、教科書的には「作業管理」に位置付けられている。

A 作業環境管理である。粉じん作業を行う場所に設置した局所排気装置のフード付近の気流の風速を測定は作業者がいなくても実施できる。

B 作業管理である。保護具の使用は作業者がいなければ実施することができず、作業者の身体の外のことである。

C 健康管理である。健康診断の事後措置として行われる場合は健康管理に分類される。本肢の場合は健康診断の結果によっているので、健康管理である。

D 作業管理である。必要のある者以外の者を立入を禁止することは作業者がいなければ意味のない措置である。

E 作業環境管理である。作業環境中の有害因子をより有害性の低いものに変更することは作業環境管理となる。有機溶剤を使用する塗装方法を、有害性の低い水性塗料の塗装に変更することは作業者がいなくても実施可能である。

なお、水性塗料は有機則で規制をかけている有機溶剤よりも有害性が低いという誤解が存在しており、問題となっている。現実には、水性塗料だからと言って有害性が低いとは限らないのである。有機則で規制している有機溶剤よりも有害性の高い水性塗料も存在している。本肢は、その誤解を助長しかねないという意味で問題としてあまり適切ではない。

2022年04月03日執筆 2022年06月24日一部追記