問22 産業医に関する次の記述のうち、法令上、誤っているものはどれか。
(1)産業医を選任した事業者は、産業医に対し、労働者の業務に関する情報であって産業医が労働者の健康管理等を適切に行うために必要と認めるものを提供しなければならない。
(2)産業医を選任した事業者は、その事業場における産業医の業務の具体的な内容、産業医に対する健康相談の申出の方法、産業医による労働者の心身の状態に関する情報の取扱いの方法を、常時各作業場の見やすい場所に掲示し、又は備え付ける等の方法により、労働者に周知させなければならない。
(3)産業医は、衛生委員会に対して労働者の健康を確保する観点から必要な調査審議を求めることができる。
(4)産業医は、衛生委員会を開催した都度作成する議事概要を、毎月1回以上、事業者から提供されている場合には、作業場等の巡視の頻度を、毎月1回以上から2か月に1回以上にすることができる。
(5)事業者は、産業医から労働者の健康管理等について勧告を受けたときは、当該勧告の内容及び当該勧告を踏まえて講じた措置の内容(措置を講じない場合にあっては、その旨及びその理由)を記録し、これを3年間保存しなければならない。
このページは、試験協会が2021年10月に公表した衛生管理者試験問題の解説を行っています。
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2021年10月公表問題 | 問22 | 難易度 | 産業医に関する過去問にない新種類の問題である。やや難問だったかもしれない。 |
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産業医の選任と職務 | 4 |
問22 産業医に関する次の記述のうち、法令上、誤っているものはどれか。
(1)産業医を選任した事業者は、産業医に対し、労働者の業務に関する情報であって産業医が労働者の健康管理等を適切に行うために必要と認めるものを提供しなければならない。
(2)産業医を選任した事業者は、その事業場における産業医の業務の具体的な内容、産業医に対する健康相談の申出の方法、産業医による労働者の心身の状態に関する情報の取扱いの方法を、常時各作業場の見やすい場所に掲示し、又は備え付ける等の方法により、労働者に周知させなければならない。
(3)産業医は、衛生委員会に対して労働者の健康を確保する観点から必要な調査審議を求めることができる。
(4)産業医は、衛生委員会を開催した都度作成する議事概要を、毎月1回以上、事業者から提供されている場合には、作業場等の巡視の頻度を、毎月1回以上から2か月に1回以上にすることができる。
(5)事業者は、産業医から労働者の健康管理等について勧告を受けたときは、当該勧告の内容及び当該勧告を踏まえて講じた措置の内容(措置を講じない場合にあっては、その旨及びその理由)を記録し、これを3年間保存しなければならない。
正答(4)
【解説】
(1)正しい。産業医を選任した事業者は、安衛法第13条及び安衛則第14条の2の規定により、産業医に対して、労働者の業務に関する情報であって産業医が労働者の健康管理等を適切に行うために必要と認めるものを提供しなければならない。
【労働安全衛生法】
(産業医等)
第13条 (第1項~第3項略)
4 産業医を選任した事業者は、産業医に対し、厚生労働省令で定めるところにより、労働者の労働時間に関する情報その他の産業医が労働者の健康管理等を適切に行うために必要な情報として厚生労働省令で定めるものを提供しなければならない。
5及び6 (略)
【労働安全衛生規則】
(産業医に対する情報の提供)
第14条の2 法第十三条第四項の厚生労働省令で定める情報は、次に掲げる情報とする。
一 法第六十六条の五第一項、第六十六条の八第五項(法第六十六条の八の二第二項又は第六十六条の八の四第二項において読み替えて準用する場合を含む。)又は第六十六条の十第六項の規定により既に講じた措置又は講じようとする措置の内容に関する情報(これらの措置を講じない場合にあつては、その旨及びその理由)
二 第五十二条の二第一項、第五十二条の七の二第一項又は第五十二条の七の四第一項の超えた時間が一月当たり八十時間を超えた労働者の氏名及び当該労働者に係る当該超えた時間に関する情報
三 前二号に掲げるもののほか、労働者の業務に関する情報であつて産業医が労働者の健康管理等を適切に行うために必要と認めるもの
2 (略)
(2)正しい。安衛法第101条第2項の規定により、産業医を選任した事業者は、その事業場における産業医の業務の具体的な内容、産業医に対する健康相談の申出の方法、産業医による労働者の心身の状態に関する情報の取扱いの方法を、常時各作業場の見やすい場所に掲示し、又は備え付ける等の方法により、労働者に周知させなければならない。
【労働安全衛生法】
(法令等の周知)
第101条 (第1項略)
2 産業医を選任した事業者は、その事業場における産業医の業務の内容その他の産業医の業務に関する事項で厚生労働省令で定めるものを、常時各作業場の見やすい場所に掲示し、又は備え付けることその他の厚生労働省令で定める方法により、労働者に周知させなければならない。
3及び4 (略)
(3)正しい。安衛則第5条の規定により、産業医は、衛生委員会に対して労働者の健康を確保する観点から必要な調査審議を求めることができる。
【労働安全衛生規則】
(委員会の会議)
第23条 (第1項~第4項略)
5 産業医は、衛生委員会又は安全衛生委員会に対して労働者の健康を確保する観点から必要な調査審議を求めることができる。
(4)誤り。産業医は、安衛則第15条の規定により、一定の情報を事業者から提供されている場合は、作業場等の巡視の頻度を、毎月1回以上から2か月に1回以上にすることができる。
しかし、その情報は、同条第一号及び第二号の双方の情報であり、「衛生委員会を開催した都度作成する議事概要を、毎月1回以上」提供されているだけでは足りない。
【労働安全衛生規則】
(産業医の定期巡視)
第15条 産業医は、少なくとも毎月一回(産業医が、事業者から、毎月一回以上、次に掲げる情報の提供を受けている場合であつて、事業者の同意を得ているときは、少なくとも二月に一回)作業場等を巡視し、作業方法又は衛生状態に有害のおそれがあるときは、直ちに、労働者の健康障害を防止するため必要な措置を講じなければならない。
一 第十一条第一項の規定により衛生管理者が行う巡視の結果
二 前号に掲げるもののほか、労働者の健康障害を防止し、又は労働者の健康を保持するために必要な情報であつて、衛生委員会又は安全衛生委員会における調査審議を経て事業者が産業医に提供することとしたもの
(5)正しい。産業医は安衛法第13条第5項の規定により、事業者に対して、労働者の健康管理等について勧告することができる。事業者は、安衛則第14条の3第2項の規定に基づき、その勧告の内容及び勧告を踏まえて講じた措置の内容(措置を講じない場合にあっては、その旨及びその理由)を記録し、これを3年間保存しなければならない。
【安全衛生法】
(産業医等)
第13条 (第1項~第4項略)
5 産業医は、労働者の健康を確保するため必要があると認めるときは、事業者に対し、労働者の健康管理等について必要な勧告をすることができる。この場合において、事業者は、当該勧告を尊重しなければならない。
6 事業者は、前項の勧告を受けたときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該勧告の内容その他の厚生労働省令で定める事項を衛生委員会又は安全衛生委員会に報告しなければならない。
【労働安全衛生規則】
(産業医による勧告等)
第14条の3 (第1項略)
2 事業者は、法第十三条第五項の勧告を受けたときは、次に掲げる事項を記録し、これを三年間保存しなければならない。
一 当該勧告の内容
二 当該勧告を踏まえて講じた措置の内容(措置を講じない場合にあつては、その旨及びその理由)
3及び4 (略)