第1種衛生管理者試験 2021年10月公表 問14

金属による健康障害




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くじけず立ち上がる女性

 このページは、試験協会が2021年10月に公表した衛生管理者試験問題の解説を行っています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2021年10月公表問題 問14 難易度 金属による中毒に関する基本的な知識問題。頻出事項でもあり、正答できなければならない。
金属による健康障害

問14 金属による健康障害に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)カドミウム中毒では、上気道炎、肺炎、腎機能障害などがみられる。

(2)鉛中毒では、貧血、末しょう神経障害、腹部のせん痛などがみられる。

(3)マンガン中毒では、筋のこわばり、震え、歩行困難などのパーキンソン病に似た症状がみられる。

(4)ベリリウム中毒では、溶血性貧血、尿の赤色化などの症状がみられる。

(5)金属水銀中毒では、感情不安定、幻覚などの精神障害や手指の震えなどの症状・障害がみられる。

正答(4)

【解説】

(1)正しい。カドミウムはいわゆる「イタイイタイ病」の原因となった物質であり、急性症例の主要症状には、上気道炎、肺炎や肺水腫による呼吸困難がある。また、長期曝露による慢性影響としては、腎臓への影響などが挙げられる。なお、骨軟化がみられることも覚えておく必要がある。

(2)正しい。鉛中毒では、血液障害(血色素の合成過程を鉛が阻害するために貧血がおこる)、神経障害(初期には筋肉痛、関節痛、筋力低下が発生する。症状が進むと、いわ ゆる垂れ手と呼ばれる症状が現れる。)、消化器の障害(初期には、食欲減退、嘔吐、下痢・便秘などが起きる。また、腹部に疝痛が起きることがある)などの症状を伴う。

(3)正しい。マンガン中毒では、頭痛、めまい、嘔吐等の自覚症状の他、筋のこわばり、言語障害、歩行障害、震え(振せん)等の神経障害などのパーキンソン病に似た症状がみられる。

(4)誤り。ベリリウムは発がん性物質である。また長期のばく露によりベリリウム肺を、短期ばく露により気道の炎症や重度の化学性肺炎を引き起こすこともある。また、ベリリウムは感作性があり、呼吸器に対してアレルギー、喘息又は呼吸困難を起こすおそれ、皮膚に対してアレルギー性皮膚反応を引き起こす恐れがある。

しかし、溶血性貧血、尿の赤色化などの症状は現れない。これらの症状は、発作性夜間ヘモグロビン尿症によって起きることがあるが、工業中毒の症状としてはみられない。

(5)正しい。金属水銀中毒では、頭痛、めまい、嘔吐等の自覚症状、震え(振せん)、歩行障害等の神経障害、焦燥感、記憶減退、不眠等の精神障害、口腔粘膜障害又は腎障害などが現れる。

2021年10月11日執筆