第1種衛生管理者試験 2021年10月公表 問13

作業環境中の有害要因による健康障害




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くじけず立ち上がる女性

 このページは、試験協会が2021年10月に公表した衛生管理者試験問題の解説を行っています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2021年10月公表問題 問13 難易度 作業環境中の有害要因に関する基本的な知識問題。頻出事項でもあり、正答できなければならない。
作業環境中の有害要因

問13 作業環境における有害因子による健康障害に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(1)電離放射線による中枢神経系障害は、確率的影響に分類され、被ばく線量がしきい値を超えると、発生率及び重症度が線量に対応して増加する。

(2)金属熱は、鉄、アルミニウムなどの金属を溶融する作業などに長時間従事した際に、高温により体温調節機能が障害を受けたことにより発生する。

(3)潜水業務における減圧症は、浮上による減圧に伴い、血液中に溶け込んでいた酸素が気泡となり、血管を閉塞したり組織を圧迫することにより発生する。

(4)振動障害は、チェーンソーなどの振動工具によって生じる障害で、手のしびれなどの末しょう神経障害やレイノー現象などの末梢循環障害がみられる。

(5)凍そうは、皮膚組織の凍結死を伴うしもやけのことで、0℃以下の寒冷にばく露することによって発生する。

正答(4)

【解説】

(1)誤り。電離放射線による健康への影響は、確定的影響と確率的影響に分けられる。確定的影響では、線量が大きいほど障害の程度が重篤となり、しきい値がある。一方、確率的影響では、線量が大きいほど障害に罹患する確率が高くなり、しきい値がないと考えられている。また、被爆から発症までが数週間までのものを急性影響と呼び、数か月以上のものを挽発性影響と呼ぶ。受験対策としては、急性影響、白内障及び不妊が確定的影響で、他は確率的影響だと覚えておけばよい。

そして、電離放射線による中枢神経系障害は、放射線による急性障害の中でもっとも重篤な影響に分類されており、数十グレイ以上の高線量を短時間内に被ばくした場合に発生する。急性障害であり、確定的影響に分類される。

(2)誤り。金属熱は、金属熱は、鉄、アルミニウムなどの金属を溶融する作業などで金属のヒュームを吸入することにより発生し、悪寒、発熱、関節痛などの症状がみられる。急性中毒であって「長時間従事した際に、高温により体温調節機能が障害を受けたことにより発生する」ものではない。

(3)誤り。潜水業務における減圧症は、浮上による減圧に伴い、血液中に溶け込んでいた窒素が気泡となり、血管を閉塞したり組織を圧迫することにより発生する。「酸素」とする本肢は誤っている。

(4)正しい。正しい。局所振動障害は、チェーンソーなどの振動工具によって生じる障害で、手のしびれなどの末梢神経障害やレイノー現象などの末梢循環障害がみられる。

(5)誤り。凍瘡とは、普通の「しもやけ」のことである。氷点下のような極寒条件よりも、気温5℃前後の環境や、昼夜の気温差が激しいときなどに起こる。

また、皮膚組織の凍結壊死を伴う場合は「凍傷」と呼ばれ、「しもやけ」とは異なる。気温が-4℃以下に長時間晒されたような場合に発生する。

2021年10月11日執筆