第1種衛生管理者試験 2021年10月公表 問10

労働基準法による女性労働者の就業禁止




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くじけず立ち上がる女性

 このページは、試験協会が2021年10月に公表した衛生管理者試験問題の解説を行っています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2021年10月公表問題 問10 難易度 女性の就業禁止業務を問う基本的な知識問題である。確実に正答できなければならない。
女性の就業禁止業務

問10 女性については、労働基準法に基づく危険有害業務の就業制限により次の表の左欄の年齢に応じ右欄の重量以上の重量物を取り扱う業務に就かせてはならないとされているが、同表に入れるAからCの数値の組合せとして、正しいものは(1)~(5)のうちどれか。

年齢 重量(単位 キログラム)
断続作業の場合 継続作業の場合
満16歳未満
満16歳以上
満18歳未満
15
満18歳以上 30
(1) 10   20   20
(2) 10   20   25
(3) 10   25   20
(4) 12   20   25
(5) 12   25   20

正答(5)

【解説】

労基法の女性保護規定は、やや分りにくいが①妊娠中の女性、②産後1年を経過しない女性、③すべての女性に分けて考えると分かりやすい。

①の妊娠中の女性の保護は労基法第64条の3第1項によって規定されており、女性則第2条第1項のすべての業務が禁止される。

②の産後1年に満たない女性の保護は労働基準法第64条の3第3項によって規定されており、女性則第2条第2項によって同条第1項の一部が禁止される。ただし、禁止されるものの一部は本人が申し出た場合に限られる。

③のすべての女性についての保護は、労働基準法第64条の3第2項によって規定されており、女性則第3条によって重量物取扱業務と有害物取扱業務が禁止されているのである。

以上により(5)が正答となる。

【労働基準法】

(危険有害業務の就業制限)

第64条の3 使用者は、妊娠中の女性及び産後一年を経過しない女性(以下「妊産婦」という。)を、重量物を取り扱う業務、有害ガスを発散する場所における業務その他妊産婦の妊娠、出産、哺育等に有害な業務に就かせてはならない。

 前項の規定は、同項に規定する業務のうち女性の妊娠又は出産に係る機能に有害である業務につき、厚生労働省令で、妊産婦以外の女性に関して、準用することができる

 前二項に規定する業務の範囲及びこれらの規定によりこれらの業務に就かせてはならない者の範囲は、厚生労働省令で定める。

【女性労働基準基則】

(危険有害業務の就業制限の範囲等)

第2条 法第64条の3第1項の規定により妊娠中の女性を就かせてはならない業務は、次のとおりとする。

 次の表の上欄に掲げる年齢の区分に応じ、それぞれ同表の下欄に掲げる重量以上の重量物を取り扱う業務

年齢 重量(単位 キログラム)
断続作業の場合 継続作業の場合
満16歳未満 12
満16歳以上満18歳未満 25 15
満18歳以上 30 20

二から十八 (略)

十九 多量の高熱物体を取り扱う業務

二十~二十二 (略)

二十三 異常気圧下における業務

二十四 さく岩機、鋲打機等身体に著しい振動を与える機械器具を用いて行う業務

 法第64条の3第1項の規定により産後1年を経過しない女性を就かせてはならない業務は、前項第一号から第十二号まで及び第十五号から第二十四号までに掲げる業務とする。ただし、同項第二号から第十二号まで、第十五号から第十七号まで及び第十九号から第二十三号までに掲げる業務については、産後1年を経過しない女性が当該業務に従事しない旨を使用者に申し出た場合に限る。

第3条 法第64条の3第2項の規定により同条第1項の規定を準用する者は、妊娠中の女性及び産後1年を経過しない女性以外の女性とし、これらの者を就かせてはならない業務は、前条第1項第一号及び第十八号に掲げる業務とする。

2021年10月11日執筆