問38 消化器系に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)三大栄養素のうち糖質はブドウ糖などに、蛋白質はアミノ酸に、脂肪は脂肪酸とエチレングリコールに、酵素により分解されて吸収される。
(2)無機塩、ビタミン類は、酵素による分解を受けないでそのまま吸収される。
(3)吸収された栄養分は、血液やリンパによって組織に運搬されてエネルギー源などとして利用される。
(4)胃は、塩酸やペプシノーゲンを分泌して消化を助けるが、水分の吸収はほとんど行わない。
(5)小腸は、胃に続く全長6~7mの管状の器官で、十二指腸、空腸及び回腸に分けられる。
このページは、試験協会が2021年4月に公表した衛生管理者試験問題の解説を行っています。
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2021年04月公表問題 | 問38 | 難易度 | 栄養素の消化・分解は産業保健と関係性は低いが、過去問の学習で正答できる問題が出される。 |
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消化器系 | 3 |
問38 消化器系に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)三大栄養素のうち糖質はブドウ糖などに、蛋白質はアミノ酸に、脂肪は脂肪酸とエチレングリコールに、酵素により分解されて吸収される。
(2)無機塩、ビタミン類は、酵素による分解を受けないでそのまま吸収される。
(3)吸収された栄養分は、血液やリンパによって組織に運搬されてエネルギー源などとして利用される。
(4)胃は、塩酸やペプシノーゲンを分泌して消化を助けるが、水分の吸収はほとんど行わない。
(5)小腸は、胃に続く全長6~7mの管状の器官で、十二指腸、空腸及び回腸に分けられる。
正答(1)
【解説】
(1)誤り。三大栄養素とは、糖質(炭水化物)、蛋白質及び脂肪(テキストによっては脂質と記載されている。)である。糖質はブドウ糖(グルコース)などに分解された後、小腸で吸収されて肝臓に運ばれる。蛋白質はアミノ酸に分解された後、小腸から吸収される。ここまでは正しい。
脂肪は胆汁やリパーゼなどによって分解され、かつては脂肪酸とグリセリンになると考えられていた。しかし、現在ではこれは必ずしも正しくないとされている。脂質は、脂肪酸とモノグリセリドに分解されるのである。なお、モノグリセリドとは、脂肪酸1分子とグリセリン1分子が結合したものである。
いずれにせよ、本肢は誤っている。なお、衛生管理者の試験では「脂肪は脂肪酸とグリセリンに分解される」と覚えておこう。
(2)正しい。無機塩とは無機化合物である塩類のことだが、無機塩やビタミン類が酵素によって分解されることはない。
(3)正しい。これは当然であろう。「エネルギー源など」といわれれば、どのような「利用」も含まれてしまう。誤りの肢になりようがない。
(4)正しい。胃は、塩酸やペプシノーゲンを分泌する。塩酸は消化というより食物中の細菌を類を殺す役割を持つが、消化を助けているとは言えるだろう。ペプシノーゲンは塩酸の働きで、蛋白消化酵素であるペプシンとなる。
また、胃の役割は、食物をいったん蓄えて、消化に適したどろどろの状態にする(消化)ことにあり、水分や栄養素の吸収を行う器官ではない。
(5)正しい。本肢の通りである。なお、栄養分は、小腸で吸収され、血液やリンパによって組織に運搬されて体内に蓄えられ、エネルギー源などとして利用される。