問18 呼吸用保護具に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)有機ガス用防毒マスクの吸収缶の色は黒色であり、一酸化炭素用防毒マスクの吸収缶の色は赤色である。
(2)ガス又は蒸気状の有害物質が粉じんと混在している作業環境中で防毒マスクを使用するときは、防じん機能を有する防毒マスクを選択する。
(3)酸素濃度18%未満の場所で使用できる呼吸用保護具には、送気マスク、空気呼吸器のほか、電動ファン付き呼吸用保護具がある。
(4)使い捨て式防じんマスクは、面体ごとに、型式検定合格標章の付されたものを使用する。
(5)防じんマスクは、面体と顔面との間にタオルなどを当てて着用してはならない。
このページは、試験協会が2021年4月に公表した衛生管理者試験問題の解説を行っています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。
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2021年04月公表問題 | 問18 | 難易度 | 呼吸用保護具に関する基本的な知識問題。頻出事項でもあり、正答できなければならない問題。 |
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呼吸用保護具 | 2 |
問18 呼吸用保護具に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)有機ガス用防毒マスクの吸収缶の色は黒色であり、一酸化炭素用防毒マスクの吸収缶の色は赤色である。
(2)ガス又は蒸気状の有害物質が粉じんと混在している作業環境中で防毒マスクを使用するときは、防じん機能を有する防毒マスクを選択する。
(3)酸素濃度18%未満の場所で使用できる呼吸用保護具には、送気マスク、空気呼吸器のほか、電動ファン付き呼吸用保護具がある。
(4)使い捨て式防じんマスクは、面体ごとに、型式検定合格標章の付されたものを使用する。
(5)防じんマスクは、面体と顔面との間にタオルなどを当てて着用してはならない。
正答(3)
【解説】
本問は、呼吸用保護具についての基本的な知識を問う問題である。呼吸用保護具については当サイトの「化学物質、粉じん等の保護具」の「2呼吸用保護具について」を参照して頂きたい。
(1)正しい。有機ガス用防毒マスクの吸収缶の色は黒色であり、一酸化炭素用防毒マスクの吸収缶の色は赤色である。次の表は覚えておく必要がある。
対応ガスの種類 | 吸収缶の色 |
---|---|
有機ガス用 | 黒 |
ハロゲンガス用 | 灰色と黒 |
アンモニア用 | 緑 |
亜硫酸ガス用 | 橙色(黄赤) |
一酸化炭素用 | 赤 |
酸性ガス用 | 灰色 |
シアン化水素用 | 青 |
臭化メチル用 | 茶 |
硫化水素用 | 黄 |
(2)正しい。令和5年5月25日基発0525第3号「防じんマスク、防毒マスク及び電動ファン付き呼吸用保護具の選択、使用等について」(以下「保護マスク通達」という。)の第3の1の(4)のウに「防じんマスクの使用が義務付けられている業務であっても、近くで有毒ガス等の発生する作業等の影響によって、有毒ガス等が混在する場合には、改めて作業環境の評価を行い、有効な防じん機能を有する防毒マスク、防じん機能を有するG-PAPR又は給気式呼吸用保護具を使用すること
」とされている(※)。
※ 本問出題当時は、平成17年2月7日基発第0207007号「防毒マスクの選択、使用等について」が有効であり、本文に示した「保護マスク通達」によって廃止されたが、本通達にも本肢と同じ記述があった。
しかし、通達の記述を知らなくても「防じん機能を有する防毒マスク」が存在していることを知ってさえいれば常識で正しいと分かるであろう。なお、この通達は、合格した後の業務でも必要になる。試験までに一度は眼を通しておくこと。
(3)誤り。酸素濃度18%未満の場所で使用する呼吸用保護具は、フレッシュなエアが供給できるもの(給気式)でなければならない。電動ファン付き呼吸用保護具にはそのような機能はない。
(4)正しい。面体を有する防じんマスクは安衛法44条の2第1項(安衛令第14条の2第5号)による型式検定の対象である。従って、安衛法第44条の2第7項により面体ごとに、型式検定合格標章の付されたものを使用しなければならない。
なお、使い捨て式防じんマスクは、本体そのものが面体であり、「面体を有する防じんマスク」に該当する。面体を有しない防じんマスクとしては、SF映画に出てくる潜水服のようなものを被る給気式のものがものが考えられるが、現実には、ほとんど使用されない。
【労働安全衛生法】
(型式検定)
第44条の2 第四十二条の機械等のうち、別表第四に掲げる機械等で政令で定めるものを製造し、又は輸入した者は、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣の登録を受けた者(以下「登録型式検定機関」という。)が行う当該機械等の型式についての検定を受けなければならない。ただし、当該機械等のうち輸入された機械等で、その型式について次項の検定が行われた機械等に該当するものは、この限りでない。
2~4 (略)
5 型式検定を受けた者は、当該型式検定に合格した型式の機械等を本邦において製造し、又は本邦に輸入したときは、当該機械等に、厚生労働省令で定めるところにより、型式検定に合格した型式の機械等である旨の表示を付さなければならない。型式検定に合格した型式の機械等を本邦に輸入した者(当該型式検定を受けた者以外の者に限る。)についても、同様とする。
6 (略)
7 第一項本文の機械等で、第五項の表示が付されていないものは、使用してはならない。
【労働安全衛生法施行令】
(型式検定を受けるべき機械等)
第14条の2 法第四十四条の二第一項の政令で定める機械等は、次に掲げる機械等(本邦の地域内で使用されないことが明らかな場合を除く。)とする。
一~四 (略)
五 防じんマスク(ろ過材及び面体を有するものに限る。)
六~十三 (略)
(5)正しい。面体と顔面との間にタオルなどを当てると、粉じん等が面体の接顔部から面体内へ漏れ込むおそれがあるので使用してはならない。なお、接顔メリヤスは、防じんマスクの着用により皮膚に湿しん等を起こすおそれがある場合で、かつ、面体と顔面との密着性が良好であるときのみ使用する。