問16 じん肺に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
(1)じん肺は、粉じんを吸入することによって肺に生じた炎症性病変を主体とする疾病で、その種類には、けい肺、間質性肺炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)などがある。
(2)じん肺は、続発性気管支炎、肺結核などを合併することがある。
(3)鉱物性粉じんに含まれる遊離けい酸(SiO2)は、石灰化を伴う胸膜肥厚や胸膜中皮腫を生じさせるという特徴がある。
(4)じん肺の有効な治療方法は、既に確立されている。
(5)じん肺がある程度進行しても、粉じんへのばく露を中止すれば、症状が更に進行することはない。
このページは、試験協会が2021年4月に公表した衛生管理者試験問題の解説を行っています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。
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2021年04月公表問題 | 問16 | 難易度 | やや高度な選択肢もあるが、じん肺の基本を押さえておけば正答できる問題である。 |
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じん肺と合併症 | 2 |
問16 じん肺に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
(1)じん肺は、粉じんを吸入することによって肺に生じた炎症性病変を主体とする疾病で、その種類には、けい肺、間質性肺炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)などがある。
(2)じん肺は、続発性気管支炎、肺結核などを合併することがある。
(3)鉱物性粉じんに含まれる遊離けい酸(SiO2)は、石灰化を伴う胸膜肥厚や胸膜中皮腫を生じさせるという特徴がある。
(4)じん肺の有効な治療方法は、既に確立されている。
(5)じん肺がある程度進行しても、粉じんへのばく露を中止すれば、症状が更に進行することはない。
正答(2)
【解説】
(1)誤り。じん肺の定義はじん肺法第2条に規定されており、「粉じんを吸入することによつて肺に生じた線維増殖性変化を主体とする疾病」である。
肺に生じた炎症性病変を主体とする疾病ではない。なお、けい肺はじん肺の種類のひとつであるが、間質性肺炎とは肺の「間質」に生じる肺炎の一種であり、慢性閉塞性肺疾患(COPD)とは有害物質に長期間ばく露されることにより肺が持続的な炎症を起こした状態である。
(2)正しい。なお、じん肺の合併症はじん肺法施行規則第1条に定められている。具体的には、①肺結核、②結核性胸膜炎、③続発性気管支炎、④続発性気管支拡張症、⑤続発性気胸及び⑥原発性肺がんの6種類である。これはすべて覚えておく必要がある。
(3)誤り。鉱物性粉じんに含まれる遊離けい酸で、胸膜中皮腫を生じさせるという報告はない。なお、石綿によって悪性胸膜中皮腫が生じることは覚えておく必要がある。
(4)誤り。じん肺の有効な治療方法は存在していない。じん肺の管理区分2又は3が労災補償の対象とならないのはそのためである。
(5)誤り。じん肺がある程度進行していると、粉じんへのばく露を中止しても症状が更に進行することがある。なお、粉じんへのばく露期間が長いと、ばく露を中止した後で発症することもまれではない。