第1種衛生管理者試験 2020年10月公表 問39

体温の調節




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合格

 このページは、試験協会が2020年10月に公表した衛生管理者試験問題の解説を行っています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2020年10月公表問題 問39 難易度 体温調節に関する基本的な問題である。確実に正答できるようにしておこう。
体温の調節

問39 体温調節に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(1)寒冷な環境においては、皮膚の血管が拡張して血流量を増し、皮膚温を上昇させる。

(2)暑熱な環境においては、内臓の血流量が増加し体内の代謝活動がこう進することにより、人体からの熱の放散が促進される。

(3)体温調節のように、外部環境が変化しても身体内部の状態を一定に保つ生体の仕組みを同調性といい、筋肉と神経系により調整されている。

(4)体温調節中枢は、小脳にあり、熱の産生と放散とのバランスを維持し体温を一定に保つよう機能している。

(5)熱の放散は、ふく射(放射)、伝導、蒸発などの物理的な過程で行われ、蒸発によるものには、発汗と不感蒸せつがある。

正答(5)

【解説】

(1)誤り。寒冷な環境においては、皮膚の血管が収縮して血流量を減らし、血液から熱が逃げる量を減らす。

(2)誤り。暑熱な環境においては、熱の発生量を抑える必要がある。内臓の血流量が低下し体内の代謝活動を抑制することにより、人体からの熱の産生量を抑制する。

(3)誤り。体温調節のように、外部環境が変化しても身体内部の状態を一定に保つ生体の仕組みを「恒常性」という。また、体温調節に筋肉はあまり関わっていない。

(4)誤り。体温調節中枢の元となる自律神経系の中枢は、小脳ではなく視床下部にある(体温調節機能は視床下部最吻側に位置する視索前野にある)。

なお、体温調節に関わる皮膚血管運動を支配する血管運動中枢は、延髄循環中枢にある。

ここで、脳幹について簡単に説明しておこう。まず、脳幹は、間脳、中脳、橋及び延髄に区分される。

間脳は視床と視床下部からなる。視床下部は、自律神経系の高位中枢である。一方、視床は、視覚、聴覚などの情報を大脳皮質に伝えるための中継の役割を有する。

延髄には、心臓中枢、血管運動中枢、呼吸中枢、嚥下中枢などがある。

小脳は、平衡機能、姿勢機能、随意運動などの調節をする。

暑い人のイラスト(女子学生)

(5)正しい。熱の放散は、ふく射(放射)、伝導、蒸発などの物理的な過程で行われることは正しい。当然であろう。熱の放散が物理的な過程で行われなかったらどんな過程で行われるというのだ。

また、蒸発には、発汗と不感蒸泄によるものがあることもその通りである。

なお、不感蒸泄とは、発汗以外の皮膚および呼気からの水分喪失のことである。文献によっては、皮膚からの蒸散のみを指すとするものもある。不感蒸泄の量は、条件により変動するが、常温安静時には健常成人で1日に約900㎖(皮膚から約600㎖、呼気による喪失分が約300㎖)程度と言われる。

2021年01月03日執筆