第1種衛生管理者試験 2020年10月公表 問38

消化器系




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合格

 このページは、試験協会が2020年10月に公表した衛生管理者試験問題の解説を行っています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2020年10月公表問題 問38 難易度 栄養素の消化・分解は、産業保健との関係性は低いが過去問の学習で正答できる問題が出される。
消化器系

問38 消化器系に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)三大栄養素のうち糖質はブドウ糖などに、たん白質はアミノ酸に、脂肪は脂肪酸とグリセリンに、酵素により分解されて吸収される。

(2)無機塩及びビタミン類は、酵素による分解を受けないでそのまま吸収される。

(3)胆汁はアルカリ性で、蛋白質を分解するトリプシンなどの消化酵素を含んでいる。

(4)胃は、塩酸やペプシノーゲンを分泌して消化を助けるが、水分の吸収はほとんど行わない。

(5)吸収された栄養分は、血液やリンパによって組織に運搬されてエネルギー源などとして利用される。

正答(3)

【解説】

(1)試験協会が公表した正答では正しい肢とされている。ただし、誤りと解する余地あり。

三大栄養素は糖質(炭水化物)、蛋白質及び脂肪(テキストによっては脂質と記載されている。)である。糖質はブドウ糖(グルコース)などに分解された後、小腸で吸収されて肝臓に運ばれる。肝臓に運ばれたブドウ糖は、血液によって各組識に運ばれてエネルギー源となる。蛋白質はアミノ酸に分解された後、小腸から吸収される。ここまでは正しい。

問題は脂肪である。脂肪は胆汁やリパーゼなどによって分解され、かつては脂肪酸とグリセリンになると考えられていた。しかし、現在ではこれは必ずしも正しくないとされている。脂質は、脂肪酸とモノグリセリドに分解されるのである。なお、モノグリセリドとは、脂肪酸1分子とグリセリン1分子が結合したものである。

しかし、衛生管理者の試験では「脂肪は脂肪酸とグリセリンに分解される」と覚えておこう。

(2)正しい。無機塩とは無機化合物である塩類のことだが、無機塩やビタミン類が酵素によって分解されることはない。

(3)誤り。胆汁がアルカリ性であることは正しい。しかし、胆汁に消化酵素は含まれていない。なお、胆汁には胆汁酸が含まれ、これは脂肪を乳化して細粒化することによって消化吸収を助けている。

(4)正しい。胃は、塩酸やペプシノーゲンを分泌する。塩酸は消化というより食物中の細菌を類を殺す役割を持つが、消化を助けているとは言えるだろう。ペプシノーゲンは塩酸の働きで、蛋白消化酵素であるペプシンとなる。

また、胃の役割は、食物をいったん蓄えて、消化に適したどろどろの状態にする(消化)ことにあり、水分や栄養素の吸収を行う器官ではない。

(5)正しい。吸収された栄養分は、小腸で吸収され、血液やリンパによって組織に運搬されて体内に蓄えられ、エネルギー源などとして利用される。

2021年01月03日執筆