第1種衛生管理者試験 2020年10月公表 問32

一次救命処置




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合格

 このページは、試験協会が2020年10月に公表した衛生管理者試験問題の解説を行っています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2020年10月公表問題 問32 難易度 一次救命処置に関する問題は基本を押さえておけばよい。今回、やや専門的な肢もあるが難しくない。
一次救命処置

問32 一次救命処置に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(1)呼吸を確認して普段どおりの息(正常な呼吸)がない場合や約1分間観察しても判断できない場合は、心肺停止とみなし、心肺蘇生を開始する。

(2)心肺生は、胸骨圧迫のみではなく、必ず胸骨圧迫と人工呼吸を組み合わせて行う。

(3)胸骨圧迫は、胸が約5cm沈む強さで胸骨の下半分を圧迫し、1分間に少なくとも60回のテンポで行う。

(4)気道が確保されていない状態で人工呼吸を行うと、吹き込んだ息が胃に流入し、胃が膨張して内容物が口の方に逆流し気道閉塞を招くことがある。

(5)口対口人工呼吸は、傷病者の鼻をつまみ、1回の吹き込みに約3秒かけて傷病者の胸の盛り上がりが確認できる程度まで吹き込む。

正答(4)

【解説】

本問は、JRC蘇生ガイドライン2016年最終版(以下、本問の解説中において「ガイドライン」という。)からの出題である。

2010年版の旧ガイドラインと比較しても大きくは変わっていないが、胸骨圧迫のテンポが「少なくとも100回/分」から「100~120回/分」に変更されるなどいくつか重要な改定がある。

(1)誤り。ガイドラインでは、「傷病者に普段どおりの呼吸を認めるときは、気道確保を行い、救急隊の到着を待つ。この間、傷病者の呼吸状態を継続観察し、呼吸が認められなくなった場合にはただちに CPR を開始する」とされている。1分間観察してはならない。

(2)誤り。ガイドラインでは、「訓練を受けていない市民救助者は、胸骨圧迫のみの CPR を行う。訓練を受けたことがある市民救助者であっても、気道を確保し人工呼吸をする技術または意思がない場合には、胸骨圧迫のみの CPR を行う」とされている。

(3)誤り。ガイドラインでは、「胸骨圧迫の部位は胸骨の下半分とする。深さは胸が約5 cm 沈むように圧迫するが、6 cm を超えないようにする。1分間あたり 100~120 回のテンポで圧迫する」とされている。

(4)正しい。かなり専門的な内容であるが、気道が確保されていない状態で強く口へ息を吹き込むと、吹き込んだ息が胃に流入し、胃が膨張して内容物が口の方に逆流し気道閉塞を招くことがある。口対口人工呼吸でなければこのような危険性は強くない。

(5)誤り。口対口人工呼吸は、約1秒かけて胸の盛り上がりが見える程度の量を2回吹き込む。なお、傷病者の気道を確保してから鼻をつまむことは正しい。

なお、口対口人工呼吸は、人工呼吸方法の訓練を受けていない場合、人工呼吸用のマウスピース等がない場合、及び血液や嘔吐物などにより感染危険がある場合は避ける必要がある。

2021年01月02日執筆