第1種衛生管理者試験 2020年10月公表 問31

虚血性心疾患




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 このページは、試験協会が2020年10月に公表した衛生管理者試験問題の解説を行っています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2020年10月公表問題 問31 難易度 虚血性心疾患に関するやや高度な知識問題である。難問の部類に入るだろう。
虚血性心疾患

問31 虚血性心疾患に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)虚血性心疾患は、門脈による心筋への血液の供給が不足したり途絶えることにより起こる心筋障害である。

(2)虚血性心疾患発症の危険因子には、高血圧、喫煙、脂質異常症などがある。

(3)虚血性心疾患は、心筋の一部分に可逆的虚血が起こる狭心症と、不可逆的な心筋死が起こる心筋梗塞とに大別される。

(4)心筋梗塞では、突然激しい胸痛が起こり、「締め付けられるように痛い」、「胸が苦しい」などの症状が長時間続き、1時間以上になることもある。

(5)狭心症の痛みの場所は、心筋梗塞とほぼ同じであるが、その発作が続く時間は、通常数分程度で、長くても15分以内におさまることが多い。

正答(1)

【解説】

(1)誤り。虚血性心疾患は、門脈ではなく冠状動脈が細くなって、心筋への血液の供給が不足したり途絶えることによる心筋障害である。この「血液の供給が不足したり途絶えること」を「虚血」といい、胸痛や胸の圧迫感を感じる。

(2)正しい。「虚血性心疾患の一次予防ガイドライン(2012年改訂版)」(2015/2/5 更新版)によれば、虚血性心疾患発症の危険因子として、脂質異常症、高血圧、糖尿病、体重、喫煙、精神保健などがあると指摘されている。

(3)正しい。虚血性心疾患は、心筋の一部分に可逆的虚血が起こる狭心症と、不可逆的な心筋壊死が起こる心筋梗塞とに大別される。狭心症では数分間の痛みがあるが、通常は安静にしていれば回復する。心筋梗塞は、強い痛みが続き、安静にしていても回復しない。

(4)正しい。心筋への血液の供給が不足すると、突然激しい胸痛が起こり、「締め付けられるように痛い」、「胸が苦しい」などの症状がでる。冠動脈が完全に塞がると、その部分の心筋細胞が壊死して症状も長時間続き、1時間以上になることもある。

(5)正しい。狭心症の痛みの場所は、心筋梗塞とほぼ同じであるが、その発作が続く時間は、通常数分程度で、長くても15分以内であることが多い。

2021年01月02日執筆