問36 感覚又は感覚器に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
(1)物理化学的な刺激の量と人間が意識する感覚の強度とは、直線的な比例関係にある。
(2)皮膚感覚には、触圧覚、痛覚、温度感覚(温覚・冷覚)などがあり、これらのうち冷覚を感じる冷覚点の密度は他の感覚点に比べて高い。
(3)網膜の錐状体は明るい所で働き色を感じ、杆状体は暗い所で働き弱い光、明暗を感じる。
(4)眼軸が短過ぎるために、平行光線が網膜の後方で像を結ぶ状態は近視である。
(5)平衡感覚に関係する器官である前庭及び半規管は、中耳にあって、体の傾きや回転の方向を知覚する。
このページは、試験協会が2020年4月に公表した衛生管理者試験問題の解説を行っています。
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2020年04月公表問題 | 問36 | 難易度 | 感覚又は感覚器に関するやや高度な知識問題である。いくつかの肢は過去問に類例が見られない。 |
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感覚又は感覚器 | 4 |
問36 感覚又は感覚器に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
(1)物理化学的な刺激の量と人間が意識する感覚の強度とは、直線的な比例関係にある。
(2)皮膚感覚には、触圧覚、痛覚、温度感覚(温覚・冷覚)などがあり、これらのうち冷覚を感じる冷覚点の密度は他の感覚点に比べて高い。
(3)網膜の錐状体は明るい所で働き色を感じ、杆状体は暗い所で働き弱い光、明暗を感じる。
(4)眼軸が短過ぎるために、平行光線が網膜の後方で像を結ぶ状態は近視である。
(5)平衡感覚に関係する器官である前庭及び半規管は、中耳にあって、体の傾きや回転の方向を知覚する。
正答(3)
【解説】
(1)誤り。これは感覚的に正しいと分かるであろう。ヴェーバー‐フェヒナーの法則によれば、刺激量の強度Rと対応する感覚量Eの関係は、
E=ClogR
となる。ここにCは定数である。そもそも、物理的・化学的な刺激の強度と人間が知覚する感覚の強度との関係が直線的な比例関係だったら、小さな音や光は感知できないだろうし、大きな音や光には耐えられなくなるだろう。
(2)誤り。皮膚感覚には、触圧覚、痛覚、温度感覚(温覚・冷覚)などがあることは、正しいと言ってよい。なお、触・圧覚の受容野は、厳密には別なものだが重複している場合が多い。
しかし、触・圧覚の受容器の密度は他の受容器の密度より高い。このために、触・圧覚は他の感覚器よりも細かい識別が可能となるのである。
常識で考えても、冷覚を感じる冷覚点の密度が、触圧覚に比して高いわけがないだろう。人間の皮膚感覚で、触覚よりも温度分布を細かく見分けられるわけがあるまい。
(3)正しい。網膜とはカメラでいえばフィルムの役割を果たす器官であり、視細胞は、暗いところで働き明暗を感じる捍体(杆体)細胞と、明るいところで働き色を感じる錐体細胞の2種類がある。
(4)誤り。眼軸が短過ぎるために、平行光線が網膜の後方で像を結ぶ状態は遠視である。
(5)誤り。平衡感覚に関係する器官である前庭が体の傾きを知覚し、半規管が回転の方向を知覚することは正しい。しかしこれらの器官は内耳にある。