問22 労働安全衛生規則に基づく医師による健康診断について、法令に違反しているものは次のうちどれか。
(1)雇入時の健康診断において、医師による健康診断を受けた後3か月を経過しない者が、その健康診断結果を証明する書面を提出したときは、その健康診断の項目に相当する項目を省略している。
(2)雇入時の健康診断の項目のうち、聴力の検査は、35 歳及び 40 歳の者並びに45 歳以上の者に対しては、1,000Hz 及び 4,000Hz の音について行っているが、その他の年齢の者に対しては、医師が適当と認めるその他の方法により行っている。
(3)深夜業を含む業務に常時従事する労働者に対し、6か月以内ごとに1回、定期に、健康診断を行っているが、胸部エックス線検査は、1年以内ごとに1回、定期に、行っている。
(4)事業場において実施した定期健康診断の結果、健康診断項目に異常所見があると診断された労働者については、健康を保持するために必要な措置について、健康診断が行われた日から3か月以内に、医師から意見聴取を行っている。
(5)常時 50 人の労働者を使用する事業場において、定期健康診断の結果については、遅滞なく、所轄労働基準監督署長に報告を行っているが、雇入時の健康診断の結果については報告を行っていない。
このページは、試験協会が2020年4月に公表した衛生管理者試験問題の解説を行っています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。
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2020年04月公表問題 | 問22 | 難易度 | 安衛則に基づく健康診断に関する基本的な知識問題である。確実に正答できなければならない問題。 |
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健康診断(全般) | 2 |
問22 労働安全衛生規則に基づく医師による健康診断について、法令に違反しているものは次のうちどれか。
(1)雇入時の健康診断において、医師による健康診断を受けた後3か月を経過しない者が、その健康診断結果を証明する書面を提出したときは、その健康診断の項目に相当する項目を省略している。
(2)雇入時の健康診断の項目のうち、聴力の検査は、35 歳及び 40 歳の者並びに45 歳以上の者に対しては、1,000Hz 及び 4,000Hz の音について行っているが、その他の年齢の者に対しては、医師が適当と認めるその他の方法により行っている。
(3)深夜業を含む業務に常時従事する労働者に対し、6か月以内ごとに1回、定期に、健康診断を行っているが、胸部エックス線検査は、1年以内ごとに1回、定期に、行っている。
(4)事業場において実施した定期健康診断の結果、健康診断項目に異常所見があると診断された労働者については、健康を保持するために必要な措置について、健康診断が行われた日から3か月以内に、医師から意見聴取を行っている。
(5)常時 50 人の労働者を使用する事業場において、定期健康診断の結果については、遅滞なく、所轄労働基準監督署長に報告を行っているが、雇入時の健康診断の結果については報告を行っていない。
正答(2)
【解説】
(1)違反とはならない。安衛則第43条第1項但書により、雇入時の健康診断において、医師による健康診断を受けた後3か月を経過しない者が、その健康診断結果を証明する書面を提出したときは、その健康診断の項目に相当する項目を省略することができる。
【労働安全衛生規則】
(雇入時の健康診断)
第43条 事業者は、常時使用する労働者を雇い入れるときは、当該労働者に対し、次の項目について医師による健康診断を行わなければならない。ただし、医師による健康診断を受けた後、三月を経過しない者を雇い入れる場合において、その者が当該健康診断の結果を証明する書面を提出したときは、当該健康診断の項目に相当する項目については、この限りでない。
一~十一 (略)
(2)違反している。安衛則第43条(第三号)により、雇入時の健康診断の項目のうち聴力の検査は、年齢にかかわらず 1,000Hz 及び 4,000Hz の音について行わなければならない。一般の定期健康診断とは異なり、特定の年齢の者に対して、医師が適当と認めるその他の方法により行うことは許されない(※)。
※ 一般の定期健康診断では、安衛則第44条第4項により、聴力検査について、一部、医師が適当と認める方法で行うことを認めているが、年齢にかかわらず 1,000Hz 及び 4,000Hz の音については省略できない。従って、定期健康診断の場合であっても、本肢は違反となる。
【労働安全衛生規則】
(雇入時の健康診断)
第43条 事業者は、常時使用する労働者を雇い入れるときは、当該労働者に対し、次の項目について医師による健康診断を行わなければならない。ただし、医師による健康診断を受けた後、三月を経過しない者を雇い入れる場合において、その者が当該健康診断の結果を証明する書面を提出したときは、当該健康診断の項目に相当する項目については、この限りでない。
一及び二 (略)
三 身長、体重、腹囲、視力及び聴力(千ヘルツ及び四千ヘルツの音に係る聴力をいう。次条第一項第三号において同じ。)の検査
四~十一 (略)
(3)違反とはならない。深夜業を含む業務に常時従事する労働者に対しては、安衛則第45条第1項により、6か月以内ごとに1回、定期に、所定の項目について健康診断を行わなければならない。しかし、同項2文において、胸部エックス線検査及び喀痰検査は、1年以内ごとに1回、定期に、行えば足りるものとされている。
なお、本事業場では、喀痰検査を6月に1回、定期に行っているものと思われるが、そのことが違反とはならないことは当然である。
【労働安全衛生規則】
(産業医の選任等)
第13条 (第1項柱書 略)
一及び二 (略)
三 (第三号柱書 略)
イ~リ (略)
ヌ 深夜業を含む業務
ル~カ (略)
四 (略)
2~4 (略)
(定期健康診断)
第44条 事業者は、常時使用する労働者(第45条第1項に規定する労働者を除く。)に対し、1年以内ごとに1回、定期に、次の項目について医師による健康診断を行わなければならない。
一~三 (略)
四 胸部エックス線検査及び喀痰検査
五~十一 (略)
2~4 (略)
(特定業務従事者の健康診断)
第45条 事業者は、第13条第1項第三号に掲げる業務に常時従事する労働者に対し、当該業務への配置替えの際及び6月以内ごとに1回、定期に、第44条第1項各号に掲げる項目について医師による健康診断を行わなければならない。この場合において、同項第四号の項目については、1年以内ごとに1回、定期に、行えば足りるものとする。
2~4 (略)
(4)違反とはならない。安衛則第51条の2第1項(第一号)の規定により、事業場において実施した定期健康診断の結果、健康診断項目に異常所見があると診断された労働者については、健康を保持するために必要な措置について、健康診断が行われた日から3か月以内に、医師から意見聴取を行う必要がある。
【労働安全衛生法】
(健康診断の結果についての医師等からの意見聴取)
第66条の4 事業者は、第66条第1項から第4項まで若しくは第5項ただし書又は第66条の2の規定による健康診断の結果(当該健康診断の項目に異常の所見があると診断された労働者に係るものに限る。)に基づき、当該労働者の健康を保持するために必要な措置について、厚生労働省令で定めるところにより、医師又は歯科医師の意見を聴かなければならない。
【労働安全衛生規則】
(健康診断結果の記録の作成)
第51条 (略)第43条、第44条若しくは第45条から第48条までの健康診断若しくは法第66条第4項の規定による指示を受けて行つた健康診断(同条第5項ただし書の場合において当該労働者が受けた健康診断を含む。次条において「第43条等の健康診断」という。)(略)。
(健康診断の結果についての医師等からの意見聴取)
第51条の2 第43条等の健康診断の結果に基づく法第66条の4の規定による医師又は歯科医師からの意見聴取は、次に定めるところにより行わなければならない。
一 第43条等の健康診断が行われた日(法第66条第5項ただし書の場合にあつては、当該労働者が健康診断の結果を証明する書面を事業者に提出した日)から3月以内に行うこと。
二 (略)
2及び3 (略)
(5)違反とはならない。安衛則第52条の規定により、常時 50 人の労働者を使用する事業場において、定期健康診断の結果については、遅滞なく、所轄労働基準監督署長に報告を行わなければならないが、雇入時の健康診断の結果については報告を行わなければならないとする規定はない。
【労働安全衛生規則】
(健康診断結果報告)
第52条 常時50人以上の労働者を使用する事業者は、第44条又は第45条の健康診断(定期のものに限る。)を行つたときは、遅滞なく、定期健康診断結果報告書(様式第六号)を所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。
2 事業者は、第48条の健康診断(定期のものに限る。)を行つたときは、遅滞なく、有害な業務に係る歯科健康診断結果報告書(様式第六号の二)を所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。
※ 安衛則第52条は、出題当時は以下の通りであった。2022年10月1日施行の法令改正により上記のようになっているが、本問の正誤とは関係がない。
(健康診断結果報告)
第52条 常時50人以上の労働者を使用する事業者は、第44条、第45条又は第48条の健康診断(定期のものに限る。)を行なつたときは、遅滞なく、定期健康診断結果報告書(様式第六号)を所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。
※ なお、本条は、2025年1月1日に再び改正されるが、報告の方法を電子申請に限定するものであり、これも本問の正誤とは関係がない。