問13 化学物質と、それにより発症するおそれのある主たるがんとの組合せとして、正しいものは次のうちどれか。
(1) | ベンゼン | ・・・ | 白血病 |
(2) | ベンジジン | ・・・ | 胃がん |
(3) | ベンゾトリクロリド | ・・・ | 膀胱がん |
(4) | コールタール | ・・・ | 肝血管肉腫 |
(5) | 石綿 | ・・・ | 皮膚がん |
このページは、試験協会が2020年4月に公表した衛生管理者試験問題の解説を行っています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。
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2020年04月公表問題 | 問13 | 難易度 | これは労基則別表1の2からの出題である。やや高度な知識ではあるが正答しておきたい問題といえる。 |
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化学物質による職業がん | 5 |
問13 化学物質と、それにより発症するおそれのある主たるがんとの組合せとして、正しいものは次のうちどれか。
(1) | ベンゼン | ・・・ | 白血病 |
(2) | ベンジジン | ・・・ | 胃がん |
(3) | ベンゾトリクロリド | ・・・ | 膀胱がん |
(4) | コールタール | ・・・ | 肝血管肉腫 |
(5) | 石綿 | ・・・ | 皮膚がん |
正答(1)
【解説】
本問は、基本的に労基則別表1の2(職業病リスト)第七号からの出題と言ってよいであろう。以下にその一覧表化したものを掲げる。この表の左欄の業務が右欄の疾病の原因となることが分かっているので、左欄の業務に従事していて右欄の疾病に罹患した場合は、原則として業務上疾病として補償されることとなる。
がん原性物質若しくはがん原性因子又はがん原性工程 | 疾病 |
---|---|
ベンジジンにさらされる業務 | 尿路系腫瘍 |
ベーターナフチルアミンにさらされる業務 | 尿路系腫瘍 |
四―アミノジフェニルにさらされる業務 | 尿路系腫瘍 |
四―ニトロジフェニルにさらされる業務 | 尿路系腫瘍 |
ビス(クロロメチル)エーテルにさらされる業務 | 肺がん |
ベリリウムにさらされる業務 | 肺がん |
ベンゾトリクロライドにさらされる業務 | 肺がん |
石綿にさらされる業務 | 肺がん又は中皮腫 |
ベンゼンにさらされる業務 | 白血病 |
塩化ビニルにさらされる業務 | 肝血管肉腫又は肝細胞がん |
一・二―ジクロロプロパンにさらされる業務 | 胆管がん |
ジクロロメタンにさらされる業務 | 胆管がん |
電離放射線にさらされる業務 | 白血病、肺がん、皮膚がん、骨肉腫、甲状腺がん、多発性骨髄腫又は非ホジキンリンパ腫 |
オーラミンを製造する工程における業務 | 尿路系腫瘍 |
マゼンタを製造する工程における業務 | 尿路系腫瘍 |
コークス又は発生炉ガスを製造する工程における業務 | 肺がん |
クロム酸塩又は重クロム酸塩を製造する工程における業務 | 肺がん又は上気道のがん |
ニッケルの製錬又は精錬を行う工程における業務 | 肺がん又は上気道のがん |
砒素を含有する鉱石を原料として金属の製錬若しくは精錬を行う工程又は無機砒素化合物を製造する工程における業務 | 肺がん又は皮膚がん |
すす、鉱物油、タール、ピッチ、アスファルト又はパラフィンにさらされる業務 | 皮膚がん |
(1)正しい。複数の疫学調査により、ベンゼンは白血病の原因となることが確認されている。
ベンゼンのヒトに対する発がん性は急性骨髄性白血病として現れるが、最近の研究では多発性骨髄腫、リンパ腫、リンパ性白血病などのリンパ組織の腫瘍発生との関連が指摘されている。
(2)誤り。ベンジジンは膀胱がんの原因となることが確認されているが、胃がんの原因となるという証拠はない。胃がんは「ゴム製造業」について増加するという証拠がある。
(3)誤り。ベンゾトリクロライドが肺がんの原因となることは確認されているが、膀胱がんの原因となるという証拠はない。膀胱がんの原因として確認されているものはo-トルイジンの他、β-ナフチルアミン、4-アミノビフェニル、ベンチジンなどである。
(4)誤り。コールタールは肺がんや皮膚がんの原因となることが知られている。肝血管肉腫の原因となるものとしてはベンゼンが挙げられる。
(5)誤り。石綿は肺がん又は中皮腫の原因となる。皮膚がんの原因は紫外線などがある。化学物質としては砒素が挙げられよう。