問12 次の化学物質のうち、常温・常圧(25℃、1気圧)の空気中で蒸気として存在するものはどれか。
ただし、蒸気とは、常温・常圧で液体又は固体の物質が蒸気圧に応じて揮発又は昇華して気体となっているものをいうものとする。
(1)塩素
(2)ジクロロベンジジン
(3)アンモニア
(4)クロム酸
(5)アセトン
このページは、試験協会が2020年4月に公表した衛生管理者試験問題の解説を行っています。
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2020年04月公表問題 | 問12 | 難易度 | 化学物質の物性に関する基本的な知識問題。頻出事項であり、確実に正答できなければならない。 |
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化学物質の物性 | 3 |
問12 次の化学物質のうち、常温・常圧(25℃、1気圧)の空気中で蒸気として存在するものはどれか。
ただし、蒸気とは、常温・常圧で液体又は固体の物質が蒸気圧に応じて揮発又は昇華して気体となっているものをいうものとする。
(1)塩素
(2)ジクロロベンジジン
(3)アンモニア
(4)クロム酸
(5)アセトン
正答(5)
【解説】
蒸気とガスについては様ざまな定義があり、定義によってはどちらに該当するかが異なることもある。そのため、本問は但書で蒸気の定義を示している。そして、常温・常圧で液体又は固体の状態にならないものは蒸気ではないと言っている。常温・常圧で気体となっているものは、ガスであって蒸気ではないのである。
また、揮発とは物体の状態が液体から気体に変化することで、昇華とは固体から気体に代わることである。蒸気圧の極端に低い固体は、常温常圧で蒸気になるとは考えにくい。なお、日常用語の「蒸発」は液体表面から気化する現象で、蒸気圧が気圧よりも高くなると「沸騰」して液体内部からも気化するようになる。
なお、ミストや湯気は液体であり、ヒュームは固体であって蒸気ではない。
(1)蒸気として存在しない。塩素の沸点は-34℃であり、刺激臭のある黄緑色のガスである。
(2)蒸気として存在しない。ジクロロベンジジンは、常温・常圧では灰色~紫色の結晶として存在する。蒸気圧は6×10-7Pa(20℃)程度であり、粉じんとなることはあっても蒸気となることは考えにくい。
(3)蒸気として存在しない。アンモニアは、常温・常圧ではガスとして存在する。
(4)蒸気として存在しない。クロム酸は、常温・常圧では暗赤色の針状結晶として存在する。融点は197℃であり、常温常圧で蒸気として存在するとは考えにくい。
(5)蒸気として存在する。アセトンは、常温・常圧では液体として存在する。蒸気圧は239.5hPa(239.5mber:20℃)である。従って、アセトンは常温・常圧の空気中で蒸気として存在する。