第1種衛生管理者試験 2019年10月公表 問08

酸素欠乏症等防止規則




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合格

 このページは、試験協会が2019年10月に公表した衛生管理者試験問題の解説を行っています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2019年10月公表問題 問08 難易度 酸素欠乏症等防止規則に関する基本的な知識問題である。確実に正答できなければならない。
酸素欠乏症等防止規則

問8 酸素欠乏症等防止規則に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)し尿を入れたことのあるポンプを修理する場合で、これを分解する作業に労働者を従事させるときは、指揮者を選任し、作業を指揮させなければならない。

(2)汚水を入れたことのあるピットの内部における清掃作業の業務に労働者を就かせるときは、第一種酸素欠乏危険作業に係る特別の教育を行わなければならない。

(3)爆発、酸化等を防止するため、酸素欠乏危険作業を行う場所の換気を行うことができない場合には、空気呼吸器、酸素呼吸器又は送気マスクを備え、労働者に使用させなければならない。

(4)タンクの内部その他通風が不十分な場所において、アルゴン等を使用して行う溶接の作業に労働者を従事させるときは、作業を行う場所の空気中の酸素の濃度を 18%以上に保つように換気し、又は労働者に空気呼吸器等を使用させなければならない。

(5)第一種酸素欠乏危険作業を行う作業場については、その日の作業を開始する前に、当該作業場における空気中の酸素濃度を測定しなければならない。

正答(2)

【解説】

(1)正しい。酸欠則第25条の2により、し尿を入れたことのあるポンプを修理する場合で、これを分解する作業に労働者を従事させるときは、指揮者を選任し、作業を指揮させなければならない。

【酸素欠乏症等防止規則】

(設備の改造等の作業)

第25条の2 事業者は、し尿、腐泥、汚水、パルプ液その他腐敗し、若しくは分解しやすい物質を入れてあり、若しくは入れたことのあるポンプ若しくは配管等又はこれらに附属する設備の改造、修理、清掃等を行う場合において、これらの設備を分解する作業に労働者を従事させるときは、次の措置を講じなければならない。

 (略)

 硫化水素中毒の防止について必要な知識を有する者のうちから指揮者を選任し、その者に当該作業を指揮させること。

三~五 (略)

 (略)

(2)誤り。汚水を入れたことのあるピットの内部は、酸欠則第2条第八号により第二種酸素欠乏危険場所である。従って、その場所における清掃作業の業務に労働者を就かせるときは、酸欠則第2条第2項の規定により、第二種酸素欠乏危険作業に係る特別の教育を行わなければならない。

【労働安全衛生法施行令】

別表第六 酸素欠乏危険場所(第六条、第二十一条関係)

一~八 (略)

 し尿、腐泥、汚水、パルプ液その他腐敗し、又は分解しやすい物質を入れてあり、又は入れたことのあるタンク、船倉、槽、管、暗きよ、マンホール、溝又はピツトの内部

十~十二 (略)

【酸素欠乏症等防止規則】

(定義)

第2条 この省令において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

一~六 (略)

 第一種酸素欠乏危険作業 酸素欠乏危険作業のうち、第二種酸素欠乏危険作業以外の作業をいう。

 第二種酸素欠乏危険作業 酸素欠乏危険場所のうち、令別表第六第三号の三、第九号又は第十二号に掲げる酸素欠乏危険場所(同号に掲げる場所にあつては、酸素欠乏症にかかるおそれ及び硫化水素中毒にかかるおそれのある場所として厚生労働大臣が定める場所に限る。)における作業をいう。

(特別の教育)

第12条 事業者は、第一種酸素欠乏危険作業に係る業務に労働者を就かせるときは、当該労働者に対し、次の科目について特別の教育を行わなければならない。

一~五 (略)

 前項の規定は、第二種酸素欠乏危険作業に係る業務について準用する。この場合において、同項第一号中「酸素欠乏」とあるのは「酸素欠乏等」と、同項第二号及び第五号中「酸素欠乏症」とあるのは「酸素欠乏症等」と読み替えるものとする。

 (略)

(3)正しい。酸欠則第5条の2第1項により、爆発、酸化等を防止するため、酸素欠乏危険作業を行う場所の換気を行うことができない場合には、空気呼吸器、酸素呼吸器又は送気マスクを備え、労働者に使用させなければならない。

【酸素欠乏症等防止規則】

(換気)

第5条 事業者は、酸素欠乏危険作業に労働者を従事させる場合は、当該作業を行う場所の空気中の酸素の濃度を十八パーセント以上(第二種酸素欠乏危険作業に係る場所にあつては、空気中の酸素の濃度を十八パーセント以上、かつ、硫化水素の濃度を百万分の十以下。次項において同じ。)に保つように換気しなければならない。ただし、爆発、酸化等を防止するため換気することができない場合又は作業の性質上換気することが著しく困難な場合は、この限りでない。

 (略)

(換気)

第5条の2 事業者は、前条第一項ただし書の場合においては、同時に就業する労働者の人数と同数以上の空気呼吸器等(空気呼吸器、酸素呼吸器又は送気マスクをいう。以下同じ。)を備え、労働者にこれを使用させなければならない。

2及び3 (略)

(4)正しい。酸欠則第21条第1項の規定そのままである。ここで、「アルゴン等を使用して」とあるのはミグ溶接、マグ溶接及びティグ溶接に用いられるシールドガスのことである。アークをシールドさせるためにトーチの先端からアルゴンガスや二酸化炭素などを吹き付けるので、酸欠や一酸化炭素中毒のリスクがある。

【酸素欠乏症等防止規則】

(溶接に係る措置)

第21条 事業者は、タンク、ボイラー又は反応塔の内部その他通風が不十分な場所において、アルゴン、炭酸ガス又はヘリウムを使用して行う溶接の作業に労働者を従事させるときは、次の各号のいずれかの措置を講じなければならない。

 作業を行なう場所の空気中の酸素の濃度を十八パーセント以上に保つように換気すること。

 労働者に空気呼吸器等を使用させること。

2~4 (略)

(5)正しい。酸欠則第3条の規定により、酸素欠乏危険作業については、その日の作業開始をする前に、当該作業場における空気中の酸素の濃度を測定しなければならない。

10秒くらい息を止めていても平気だから、酸素欠乏場所に入っても10秒くらいは大丈夫だと思うかもしれないが、酸欠空気は吸い込んだとたんにその酸素濃度に応じた症状を発症する。酸素濃度によっては、その場所に入り込んだだけで倒れてしまう場合もある。作業を開始してからでは遅いのである。

【労働安全衛生法施行令】

(作業環境測定を行うべき作業場)

第21条 法第六十五条第一項の政令で定める作業場は、次のとおりとする。

一から八 (略)

 別表第六に掲げる酸素欠乏危険場所において作業を行う場合の当該作業場

 (略)

【酸素欠乏症等防止規則】

(作業環境測定等)

第3条 事業者は、令第21条第九号に掲げる作業場について、その日の作業を開始する前に、当該作業場における空気中の酸素(第二種酸素欠乏危険作業に係る作業場にあつては、酸素及び硫化水素)の濃度を測定しなければならない。

 (略)

2020年07月19日執筆