問4 次の特定化学物質を製造しようとするとき、労働安全衛生法に基づく厚生労働大臣の許可を必要としないものはどれか。
(1)ベンゾトリクロリド
(2)ベリリウム
(3)オルト-フタロジニトリル
(4)ジアニシジン
(5)アルファ-ナフチルアミン
このページは、試験協会が2019年10月に公表した衛生管理者試験問題の解説を行っています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。
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2019年10月公表問題 | 問04 | 難易度 | 厚生労働大臣の製造許可の対象となる物質は頻出事項である。本問は確実に正答したい。 |
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厚労大臣の製造許可物質 | 2 |
問4 次の特定化学物質を製造しようとするとき、労働安全衛生法に基づく厚生労働大臣の許可を必要としないものはどれか。
(1)ベンゾトリクロリド
(2)ベリリウム
(3)オルト-フタロジニトリル
(4)ジアニシジン
(5)アルファ-ナフチルアミン
正答(3)
【解説】
製造しようとするときに厚生労働大臣の許可を得なければならない化学物質については、安衛法第56条に規定されている。対象となる化学物質は安衛令第17条によって、第一類特定化学物質及び石綿分析用試料等と規定されている。
なお、安衛法第55条の製造禁止物質を製造しようとするときは安衛令第16条第2項により都道府県労働局長の許可を得ることとされている。これは第一類特定化学物質が他府県へ譲渡されることがあるので大臣許可となっているのに対し、製造禁止物質はその事業場内でのみ使用される(従って他府県へ譲渡されることはない)ため都道府県労働局長の許可とされたものである。
【労働安全衛生法】
(製造の許可)
第56条 ジクロルベンジジン、ジクロルベンジジンを含有する製剤その他の労働者に重度の健康障害を生ずるおそれのある物で、政令で定めるものを製造しようとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、あらかじめ、厚生労働大臣の許可を受けなければならない。
2から6 (略)
【労働安全衛生法施行令】
(製造の許可を受けるべき有害物)
第17条 法第56条第1項の政令で定める物は、別表第3第一号に掲げる第一類物質及び石綿分析用試料等とする。
別表第3 特定化学物質(第6条、第9条の3、第17条、第18条、第18条の2、第21条、第22条関係)
一 第一類物質
1 ジクロルベンジジン及びその塩
2 アルフア―ナフチルアミン及びその塩
3 塩素化ビフエニル(別名PCB)
4 オルト―トリジン及びその塩
5 ジアニシジン及びその塩
6 ベリリウム及びその化合物
7 ベンゾトリクロリド
8 1から6までに掲げる物をその重量の1%を超えて含有し、又は7に掲げる物をその重量の0.5%を超えて含有する製剤その他の物(合金にあつては、ベリリウムをその重量の3パーセントを超えて含有するものに限る。)
二 第二類物質
1から8の2 (略)
9 オルト-フタロジニトリル
10から37 (略)
三 (略)
(1)ベンゾトリクロリドは、安衛令別表第3第1号7に定められている。従って、製造許可物質である。
(2)ベリリウムは、安衛令別表第3第1号6に定められている。従って、製造許可物質である。
(3)オルト-フタロジニトリルは、安衛令別表第3第1号に定められていない。従って、本肢が正答となる。
なお、オルト-フタロジニトリルは、安衛令別表第3第2号9に定められている第二類特定化学物質である。
(4)ジアニシジンは、安衛令別表第3第1号6に定められている。従って、製造許可物質である。
(5)アルファ-ナフチルアミンは、安衛令別表第3第1号2に定められている。従って、製造許可物質である。