第1種衛生管理者試験 2019年10月公表 問02

作業主任者の選任




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合格

 このページは、試験協会が2019年10月に公表した衛生管理者試験問題の解説を行っています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2019年10月公表問題 問02 難易度 作業主任者を選任すべき義務は頻出事項である。本問は確実に正答したい。
作業主任者の選任

問2 次のAからDの作業について、法令上、作業主任者の選任が義務付けられているものすべての組合せは(1)~(5)のうちどれか。

A 自然換気が不十分な場所におけるはんだ付けの作業

B 屋内作業場におけるアーク溶接の作業

C 屋内作業場においてトルエンを用いて行う洗浄の作業

D 圧気工法により、大気圧を超える気圧下の作業室において行う作業

(1)A,B,C,D

(2)A,B,C

(3)A,B,D

(4)A,C,D

(5)B,C,D

※ その後の法改正により正答となるものが増えたため、問題文を修正した。

正答(5)

【解説】

作業主任者の選任は安衛法第14条によって義務付けられ、安衛令第6条に選任すべき作業が定められている。従って同条を調べてみれば正答は分かる。

【労働安全衛生法】

(作業主任者)

第14条 事業者は、高圧室内作業その他の労働災害を防止するための管理を必要とする作業で、政令で定めるものについては、都道府県労働局長の免許を受けた者又は都道府県労働局長の登録を受けた者が行う技能講習を修了した者のうちから、厚生労働省令で定めるところにより、当該作業の区分に応じて、作業主任者を選任し(中略)なければならない。

【労働安全衛生法施行令】

(作業主任者を選任すべき作業)

第6条 法第14条の政令で定める作業は、次のとおりとする。

 高圧室内作業(潜函工法その他の圧気工法により、大気圧を超える気圧下の作業室又はシヤフトの内部において行う作業に限る。)

二~十七 (略)

十八 別表第三に掲げる特定化学物質を製造し、又は取り扱う作業(試験研究のため取り扱う作業及び同表第二号3の3、11の2、13の2、15、15の2、18の2から18の4まで、19の2から19の4まで、22の2から22の5まで、23の2、33の2若しくは34の3に掲げる物又は同号37に掲げる物で同号3の3、11の2、13の2、15、15の2、18の2から18の4まで、19の2から19の4まで、22の2から22の5まで、23の2、33の2若しくは34の3に係るものを製造し、又は取り扱う作業で厚生労働省令で定めるものを除く。)

十九 別表第四第一号から第十号までに掲げる鉛業務(遠隔操作によつて行う隔離室におけるものを除く。)に係る作業

二十及び二十一 (略)

二十二 屋内作業場又はタンク、船倉若しくは坑の内部その他の厚生労働省令で定める場所において別表第六の二に掲げる有機溶剤(当該有機溶剤と当該有機溶剤以外の物との混合物で、当該有機溶剤を当該混合物の重量の五パーセントを超えて含有するものを含む。第二十一条第十号及び第二十二条第一項第六号において同じ。)を製造し、又は取り扱う業務で、厚生労働省令で定めるものに係る作業

二十三 (略)

別表第3 特定化学物質(第六条、第九条の三、第十七条、第十八条、第十八条の二、第二十一条、第二十二条関係)

 (略)

 第二類物質

1~34 (略)

34の2 溶接ヒューム

34の3~37 (略)

 (略)

別表第4 鉛業務(第六条、第二十一条、第二十二条関係)

一~十二 (略)

十三 自然換気が不十分な場所におけるはんだ付けの業務(臨時に行なう業務を除く。次号から第十六号までにおいて同じ。)

十四~十八 (略)

備考 (略)

別表第6の2 有機溶剤(第六条、第二十一条、第二十二条関係)

一~三十六 (略)

三十七 トルエン

三十八~五十五 (略)

【有機溶剤中毒予防規則】

(定義等)

第1条 この省令において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

一~五 (略)

 有機溶剤業務 次の各号に掲げる業務をいう。

イ~ト (略)

 有機溶剤等を用いて行う洗浄(ヲに掲げる業務に該当する洗浄の業務を除く。)又は払しよくの業務

リ~ヲ (略)

 (略)

(有機溶剤作業主任者の選任)

第19条 令第6条第二十二号の厚生労働省令で定める業務は、有機溶剤業務(第1条第1項第六号ルに掲げる業務を除く。)のうち次に掲げる業務以外の業務とする。

一及び二 (略)

 (略)

A 義務付けられていない。鉛業務は安衛令第6条第十九号により、別表第4第一号から第十号までの業務に作業主任者の選任が義務付けられている。一方、自然換気が不十分な場所におけるはんだ付けの作業は、同別表第4第十三号に定められている。

B 出題当時は義務付けられていなかったが、現在は政令改正により義務付けられている。屋内作業場におけるアーク溶接の作業は安衛令第6条に定められていない(※1)。しかし、第6条第十八号に特定化学物質を製造し、又は取り扱う作業(一部を除く)が定められており、溶接ヒュームが特定化学物質として同別表第3第二号の34の2に定められているため、結果的にアーク溶接は作業主任者が必要となる(※2)

※1 「アセチレン溶接装置又はガス集合溶接装置を用いて行う金属の溶接、溶断又は加熱の作業」は定められているが、ここにいうアセチレン溶接装置とはアセチレン発生器を用いる装置のことで、アーク溶接とは無関係である。なお、アセチレン溶接装置は、現在は我が国内ではおそらく使用されていない。

※2 詳しくは本サイトの「アーク溶接作業と作業主任者選任」を参照して頂きたい。

C 義務付けられている。安衛令第6条第22号により、作業主任者の選任が義務付けられている。トルエンは同別表第6の2第37号により有機溶剤であり、洗浄の作業は有機則第1条第1項第6号チにより有機溶剤業務となる。

D 義務付けられている。安衛令第6条第1号により、作業主任者の選任が義務付けられている。

なお、本問は出題された当時のオリジナルの形は次のようなものであり、上記解説から分かるように、(5)が正答であった。

問2 次のAからDの作業について、法令上、作業主任者の選任が義務付けられているものの組合せは(1)~(5)のうちどれか。

A 自然換気が不十分な場所におけるはんだ付けの作業

B 屋内作業場におけるアーク溶接の作業

C 屋内作業場においてトルエンを用いて行う洗浄の作業

D 圧気工法により、大気圧を超える気圧下の作業室において行う作業

(1)A,B

(2)A,C

(3)B,C

(4)A,D

(5)C,D

2020年07月14日執筆 2022年07月20日法令改正により改訂