第1種衛生管理者試験 2019年4月公表 問17

化学物質による健康障害




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合格

 このページは、試験協会が2019年4月に公表した衛生管理者試験問題の解説を行っています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2019年04月公表問題 問17 難易度 やや高度な知識を問うている。正答にはかなりの知識が必要な問題といえる。
化学物質による健康障害

問17 化学物質による健康障害に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)無機水銀による健康障害では、腎障害などがみられる。

(2)ノルマルヘキサンによる健康障害では、末梢神経障害などがみられる。

(3)N,N -ジメチルホルムアミドによる健康障害では、頭痛、肝機能障害などがみられる。

(4)弗化水素による中毒では、脳神経細胞が侵され、幻覚、錯乱などの精神障害などがみられる。

(5)ベンゼンによる健康障害では、長期間のばく露によって造血器障害が現れ、再生不良性貧血を生じる。

正答(4)

【解説】

(1)正しい。水銀蒸気又は無機水銀化合物類の投与後における無機水銀の主要な貯蔵場所は腎臓である。比較的高濃度の職業ばく露によって腎炎の症状が現れるとする報告は多い。しかも、最近の研究で、低濃度ばく露による腎臓の影響を報告しているものもある。

(2)正しい。ノルマルヘキサンは、反復ばく露により、知覚運動の末梢神経障害を誘発する。日本のサンダル作業者と台湾の印刷作業者において、著しい末梢神経障害が報告されている。

(3)正しい。職業暴露における疫学調査で、頭痛、消化不良といった訴えや肝機能障害、気道への刺激、γ-GPT の上昇等が認められている。急性の職業性ばく露症例では、標的器官は肝臓で、肝臓への影響とそれに伴う消化器系の障害が報告されている

(4)誤り。政府のモデルSDSで、ラットを用いた吸入毒性試験で、神経系の機能不全や神経細胞シナプスの病理組織学的変化の報告はある。しかし、幻覚、錯乱などの精神障害などがみられるとするものはない。

(5)正しい。ベンゼンの長期ばく露による毒性として造血器障害、悪性腫瘍等があり、疾患としては再生不良性貧血、溶血、白血病等を生じる。

  1. (1)及び(2):国立医薬品食品衛生研究所の資料を参照した。
  2. (3):環境省の資料を参照した。
2019年05月03日執筆