問11 次の化学物質のうち、常温・常圧(25℃、1気圧)の空気中で蒸気として存在するものはどれか。
ただし、蒸気とは、常温・常圧で液体又は固体の物質が蒸気圧に応じて揮発又は昇華して気体となっているものをいうものとする。
(1)塩化ビニル
(2)ホルムアルデヒド
(3)二硫化炭素
(4)硫化水素
(5)アンモニア
このページは、試験協会が2019年4月に公表した衛生管理者試験問題の解説を行っています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。
他の問題の解説をご覧になる場合は、グローバルナビの「安全衛生試験の支援」か「パンくずリスト」をご利用ください。
柳川に著作権があることにご留意ください。
2019年04月公表問題 | 問11 | 難易度 | ガスと蒸気の区別は難しい面もあるが、有害物の常温における状態は基本的な知識。正答したい。 |
---|---|---|---|
化学物質の物性 | 3 |
問11 次の化学物質のうち、常温・常圧(25℃、1気圧)の空気中で蒸気として存在するものはどれか。
ただし、蒸気とは、常温・常圧で液体又は固体の物質が蒸気圧に応じて揮発又は昇華して気体となっているものをいうものとする。
(1)塩化ビニル
(2)ホルムアルデヒド
(3)二硫化炭素
(4)硫化水素
(5)アンモニア
正答(3)
【解説】
蒸気とガスについては様ざまな定義があり、定義によってはどちらに該当するかが異なることもある。そのため、本問は但書で蒸気の定義を示している。そして、常温・常圧で液体又は固体の状態にならないものは蒸気ではないと言っている。常温・常圧で気体となっているものは、ガスであって蒸気ではないのである。従って、沸点が常温よりも高いものを選べばよいことになろう。
また、揮発とは物体の状態が液体から気体に変化することで、昇華とは固体から気体に代わることである。日常用語の「蒸発」は液体表面から気化する現象で、蒸気圧が気圧よりも高くなると「沸騰」して液体内部からも気化するようになる。
なお、ミストや湯気は液体であり、ヒュームは固体であって蒸気ではない。
(1)塩化ビニル(モノマー)は、常温・常圧ではガスとして存在する。蒸気ではない。
なお、労働衛生の世界で「塩化ビニル」と言えば、モノマーのことを指すことは常識として知っておくこと。水道管などの材料の塩化ビニルはポリマーである。ただし、ポリマーであっても、粉状のものには有害性はあり、TLV-TWAは1g/m3(レスピラブル粒子として)とされている。
(2)ホルムアルデヒドは、常温・常圧ではガスとして存在する。蒸気ではない。
(3)二硫化炭素は、常温・常圧では液体として存在する。蒸発速度は酢酸ブチルを1としたとき、22.6となる。従って、二硫化炭素は常温・常圧の空気中で蒸気として存在する。
(4)硫化水素は、常温・常圧ではガスとして存在する。なお、製品の荷姿としては圧縮液化ガスとなっている。本問の定義では蒸気ではない。
(5)アンモニアは、常温・常圧ではガスとして存在する。蒸気ではない。