第1種衛生管理者試験 2019年4月公表 問09

健康管理手帳の交付対象業務




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合格

 このページは、試験協会が2019年4月に公表した衛生管理者試験問題の解説を行っています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2019年04月公表問題 問09 難易度 化学物質の名称は覚えにくいが、健康管理手帳の交付業務も覚えておこう。できれば正答したい問題。
健康管理(健康診断)

問9 次の有害業務に従事した者のうち、離職の際に又は離職の後に、法令に基づく健康管理手帳の交付対象となるものはどれか。

(1)ビス(クロロメチル)エーテルを取り扱う業務に3年以上従事した者

(2)硝酸を取り扱う業務に5年以上従事した者

(3)鉛化合物を製造する業務に7年以上従事した者

(4)メタノールを取り扱う業務に10年以上従事した者

(5)粉じん作業に従事した者で、じん肺管理区分が管理一の者

正答(1)

【解説】

健康管理手帳を公布する業務は安衛令第23条に規定されており、具体的な要件は安衛則第53条に定められている。

ただ、条文を覚えていなかったとしても、健康管理手帳は退職後の健康管理を目的とするものであるから、業務を離れた後で発症するおそれのある”発がん性物質の取扱い”や”粉じん業務”に限られる。そのことが分かっていれば、ある程度、選択肢を絞り込むことはできる。

【労働安全衛生法】

(健康管理手帳)

第67条 都道府県労働局長は、がんその他の重度の健康障害を生ずるおそれのある業務で、政令で定めるものに従事していた者のうち、厚生労働省令で定める要件に該当する者に対し、離職の際に又は離職の後に、当該業務に係る健康管理手帳を交付するものとする。ただし、現に当該業務に係る健康管理手帳を所持している者については、この限りでない。

2から4 (略)

【労働安全衛生法施行令】

(健康管理手帳を交付する業務)

第23条 都道府県労働局長は、がんその他の重度の健康障害を生ずるおそれのある業務で、政令で定めるものに従事していた者のうち、厚生労働省令で定める要件に該当する者に対し、離職の際に又は離職の後に、当該業務に係る健康管理手帳を交付するものとする。ただし、現に当該業務に係る健康管理手帳を所持している者については、この限りでない。

一から二 (略)

 粉じん作業(じん肺法(略)第2条第1項第三号に規定する粉じん作業をいう。)に係る業務

四から六 (略)

 ビス(クロロメチル)エーテル(これをその重量の1%を超えて含有する製剤その他の物を含む。)を製造し、又は取り扱う業務

八から十五 (略)

【労働安全衛生規則】

(健康管理手帳の交付)

第53条 法第67条第1項の厚生労働省令で定める要件に該当する者は、労働基準法(略)の施行の日以降において、次の表の上欄に掲げる業務に従事し、その従事した業務に応じて、離職の際に又は離職の後に、それぞれ、同表の下欄に掲げる要件に該当する者その他厚生労働大臣が定める要件に該当する者とする。

業務 要件
(中略) (中略)
令第二十三条第三号の業務 じん肺法(略)第13条第2項(同法第15条第3項、第16条第2項及び第16条の2第2項において準用する場合を含む。)の規定により決定されたじん肺管理区分が管理二又は管理三であること。
(中略) (中略)
令第23条第七号の業務 当該業務に3年以上従事した経験を有すること。
(後略) (後略)

2及び3 (略)

(1)ビス(クロロメチル)エーテルを取り扱う業務は、安衛令第23条に定められている。また、安衛則第53条第1項に、交付要件は3年以上従事したこととされているので、本肢は健康管理手帳の交付対象となる。

(2)硝酸を取り扱う業務は、安衛令第23条の対象となっていない。従って本肢は交付対象とはならない。

(3)鉛化合物を製造する業務は、安衛令第23条の対象となっていない。従って本肢は交付対象とはならない。

(4)メタノールを取り扱う業務は、安衛令第23条の対象となっていない。従って本肢は交付対象とはならない。

(5)粉じん作業は、安衛令第23条に定められている。しかし、安衛則第53条第1項は、健康管理手帳の交付要件として管理1又は管理2であることと定めている。従って本肢は交付対象とはならない。なお、管理1とは、じん肺の所見が認められないことである。

2019年05月02日執筆