問44 ストレスに関する次のAからDの記述について、誤っているものの組合せは(1)~(5)のうちどれか。
A 外部環境からの刺激すなわちストレッサーは、その形態や程度にかかわらず、自律神経系と内分泌系を介して、心身の活動を抑圧する。
B ストレス反応には、ノルアドレナリン、アドレナリンなどのカテコールアミンや副腎皮質ホルモンが深く関与している。
C ストレスにより、自律神経系と内分泌系のバランスが崩れ、精神神経科的疾患、内科的疾患などを招く場合がある。
D ストレス反応には、個人差がほとんどない。
(1)A,B
(2)A,D
(3)B,C
(4)B,D
(5)C,D
このページは、試験協会が2018年10月に公表した衛生管理者試験問題の解説を行っています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。
他の問題の解説をご覧になる場合は、グローバルナビの「安全衛生試験の支援」か「パンくずリスト」をご利用ください。
柳川に著作権があることにご留意ください。
2018年10月公表問題 | 問44 | 難易度 | ストレス反応に関するごく常識的な内容である。確実に正答できるようにしておこう。 |
---|---|---|---|
疲労・ストレス | 2 |
問44 ストレスに関する次のAからDの記述について、誤っているものの組合せは(1)~(5)のうちどれか。
A 外部環境からの刺激すなわちストレッサーは、その形態や程度にかかわらず、自律神経系と内分泌系を介して、心身の活動を抑圧する。
B ストレス反応には、ノルアドレナリン、アドレナリンなどのカテコールアミンや副腎皮質ホルモンが深く関与している。
C ストレスにより、自律神経系と内分泌系のバランスが崩れ、精神神経科的疾患、内科的疾患などを招く場合がある。
D ストレス反応には、個人差がほとんどない。
(1)A,B
(2)A,D
(3)B,C
(4)B,D
(5)C,D
正答(2)
【解説】
A 誤り。あまりにも当然すぎて、ひっかけ問題ではないかとさえ思えるが、適度なストレスはかえって人の活動を促進することがある。なお、過度なストレッサーが、自律神経系と内分泌系を介して、心身の活動を抑圧することは正しい。
B 正しい。まず、アドレナリン(エピネフリン)とノルアドレナリン(ノルエピネフリン)が、カテコールアミンを基底物質とすることは正しいので、前提条件は正しいとしてよい。
なお、アドレナリンとノルアドレナリンは副腎髄質ホルモンであることも覚えておこう。副腎皮質ホルモンと副腎髄質ホルモンには次のようなものがある。
【副腎皮質ホルモンと副腎髄質ホルモンの例】
- 副腎皮質ホルモン
- コルチゾール(糖質コルチコイド)
- アルドステロン(鉱質コルチコイド)
- 副腎アンドロゲン(DHEA、DHEA-S)
- 副腎髄質ホルモン
- アドレナリン(エピネフリン)
- ノルアドレナリン(ノルエピネフリン)
アドレナリンは、血管の収縮、瞳孔の散大、血圧の上昇、心拍数の増加などの興奮を引き起こす作用がある。ノルアドレナリンは神経伝達物質であるが、筋肉のエネルギー源を確保供給したり、脳の活動を活発にしたりする作用がある。いずれも「ストレスホルモン」と呼ばれることがあり、ストレスに関与している。
また、副腎皮質ホルモンであるコルチゾールも、ストレスを受けたときに増加する重要な「ストレスホルモン」である。糖利用の調節、血圧を正常に保つ等の作用があり、ストレスから生体を防御するホルモンである。なお、その濃度が高くなりすぎると濃度を低く保つように制御されているが、過剰なストレスを長期にわたって受けると、この制御が正常に働かなくなり、うつ病や不眠症や、ストレス関連疾患の一因となる。
C 正しい。これも常識で分かるだろう。ストレスにより、自律神経系と内分泌系のバランスが崩れ、精神神経科的疾患、内科的疾患などを招く場合がある。
D 誤り。これは常識で判断がつくだろう。ストレス反応に、個人差がないわけがない。