第1種衛生管理者試験 2018年10月公表 問33

食中毒の防止対策




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合格

 このページは、試験協会が2018年10月に公表した衛生管理者試験問題の解説を行っています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2018年10月公表問題 問33 難易度 食中毒の問題も頻出事項と言ってよい。ただ、やや難易度の高い問題である。
食中毒

問33 食中毒に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)毒素型食中毒は、食物に付着した細菌により産生された毒素によって起こる食中毒で、ボツリヌス菌によるものなどがある。

(2)感染型食中毒は、食物に付着している細菌そのものの感染によって起こる食中毒で、サルモネラ菌によるものなどがある。

(3)O- 157 やO- 111 は、ベロ毒素を産生する大腸菌で、腹痛や出血を伴う水様性の下痢などを起こす。

(4)ノロウイルスの殺菌には、エタノールはあまり効果がなく、煮沸消毒又は塩素系の消毒剤が効果的である。

(5)魚、チーズなどに含まれるヒスチジンが細菌により分解されて生成するヒスタミンは、加熱により分解される。

正答(5)

【解説】

(1)正しい。毒素型食中毒が、食物に付着した細菌により産生された毒素によって起こる食中毒であることは正しい。その細菌の代表的なものは黄色ブドウ球菌、ボツリヌス菌などである。

(2)正しい。感染型食中毒が、食物に付着した細菌そのものの感染によって起こる食中毒であることは正しい。その細菌の代表的なものはサルモネラ、腸炎ビブリオ、カンピロバクターなどである。

(3)正しい。腸管出血性大腸菌(O-26、O-104、O-111、O-121、O-128、O-157など)は、文字通り、出血性下痢の原因となるベロ毒素を腸管内で作る。2から9日の潜伏期を過ぎると下痢と腹痛が起きる。3日程度で腹痛や下痢の症状が激化し、頻回の水様便の後、血便が出るようになる。O-157は重症化することが多く、溶血性尿毒症症候群(HUS)となり、腎臓障害や神経障害を引き起こすことがある。

(4)正しい。厚生労働省「ノロウイルスに関するQ&A」によれば、ノロウイルスの失活性には、85℃~90℃で90秒以上の加熱が望まれるとされている。また、吐しゃ物で汚染したカーペットの処理には次亜塩素酸ナトリウムによる消毒が推奨されている。消毒用エタノールによる消毒は推奨されていない。

(5)誤り。魚、チーズなどに含まれるヒスチジンが、ヒスタミン産生菌によって分解されてヒスタミンに変換されることは正しい。しかし、ヒスタミンは加熱調理によっては分解しない。

2019年06月19日執筆