第1種衛生管理者試験 2018年10月公表 問31

一次救命処置




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合格

 このページは、試験協会が2018年10月に公表した衛生管理者試験問題の解説を行っています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2018年10月公表問題 問31 難易度 一次救命処置に関する問題は、基本を押さえておけば確実に正答できる。落とさないようにしよう。
一次救命措置等

問31 一次救命処置に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)傷病者の肩を軽くたたきながら「大丈夫ですか?」と呼びかけて、反応がない場合は、その場で大声で叫んで周囲の注意を喚起し、応援を呼ぶ。

(2)傷病者に反応がなく、周囲に協力者がいる場合は、119 番通報やAEDの手配を依頼する。

(3)口対口人工呼吸は、傷病者の鼻をつまみ、1回の吹き込みに約3秒かけて傷病者の胸の盛り上がりが確認できる程度まで吹き込む。

(4)胸骨圧迫は、胸が約5cm 沈む強さで、1分間に100~120回のテンポで行う。

(5)AEDを用いた場合、電気ショックを行った後や電気ショックは不要とメッセージがあったときには、胸骨圧迫を再開し心肺蘇生を続ける。

正答(3)

【解説】

本問は、JRC蘇生ガイドライン2015(以下、本問の解説中において「ガイドライン」という。)からの出題である。

2010年版の旧ガイドラインと大きくは変わっていないが、胸骨圧迫のテンポが「少なくとも100回/分」から「100~120回/分」に変更されるなどいくつか重要な改定がある。

(1)正しい。ガイドラインでは、被災者の反応がなければ「その場で大声で叫んで周囲の注意を喚起する」「周囲の者に救急通報(119番通報)とAEDの手配(近くにある場合)を依頼する」とされている。

ただ、ガイドラインの内容を知らなくても、常識で判断すれば正しいと分かる。緊急を要するような災害では、救急車の要請など、やるべきことは多い。一人で行っていたのでは肝心の救命措置がおろそかになる。大声で叫んで周囲の注意を喚起し、協力者を確保することが間違っているはずがないだろう。

(2)正しい。(1)の解説に示した通りである。他人に任せられることは、分担して任せた方がよいことは当然である。なお、119番通報やAEDの手配は、「誰かやってくれ」という依頼ではなく、明確に指名して依頼する。そうしないと誰もやってくれない。

(3)誤り。口対口人工呼吸は、約1秒かけて胸の盛り上がりが見える程度の量を2回吹き込む。なお、傷病者の気道を確保してから鼻をつまむことは正しい。

なお、口対口人工呼吸は、人工呼吸方法の訓練を受けていない場合、人工呼吸用のマウスピース等がない場合、及び血液や嘔吐物などにより感染危険がある場合は避ける必要がある。

(4)正しい。ガイドラインでは、成人の場合、胸骨圧迫は「深さは胸が約 5cm 沈むように圧迫するが、6cmを超えないようにする。1分間あたり100~120回のテンポで圧迫する」とされている。

(5)正しい。電気ショックの必要性はAEDが判断する。なお、心電図解析中は被災者に触れないこと。

2019年06月18日執筆