第1種衛生管理者試験 2018年10月公表 問17

作業環境中の有害因子(化学物質以外)




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合格

 このページは、試験協会が2018年10月に公表した衛生管理者試験問題の解説を行っています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2018年10月公表問題 問17 難易度 幅広い知識を問うているが、基本的な問題だといえる。正答できる問題である。
物理的因子

問17 作業環境における有害要因による健康障害に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(1)マイクロ波は、赤外線より波長が短い電磁波で、照射部位の組織を加熱する作用がある。

(2)熱痙攣は、高温環境下での労働において、皮膚の血管に血液がたまり、脳への血液の流れが少なくなることにより発生し、めまい、失神などの症状がみられる。

(3)全身振動障害では、レイノー現象などの末梢循環障害や手指のしびれ感などの末梢神経障害がみられ、局所振動障害では、関節痛などの筋骨格系障害がみられる。

(4)凍瘡は、皮膚組織の凍結壊死を伴うしもやけのことで、0℃以下の寒冷にばく露することによって発生する。

(5)金属熱は、金属の溶融作業などで亜鉛、銅などのヒュームを吸入したとき発生し、悪寒、発熱、関節痛などの症状がみられる。

正答(5)

【解説】

(1)誤り。文献によって定義は異なるが、マイクロ波の波長は1mm~1m 程度、赤外線は700nm~1mm程度で、マイクロ波の方が波長は長い。なお、電磁波であること、照射部位の組織を加熱する作用があることは正しい。強力なマイクロ波は眼球の水晶体の温度を上げるため白内障を発症するリスクがあり、労基則別表第1の2には「マイクロ波にさらされる業務による白内障等の眼疾患」が挙げられている。

(2)誤り。熱けいれんとは、暑熱時に多量の発汗をした場合に、真水や塩分濃度の低い飲料を補給して、血液中の塩分濃度が低下して起きる、痛みを伴う筋肉のけいれんのことである。

本肢の「高温環境下での労働において、皮膚の血管に血液がたまり、脳への血液の流れが少なくなることにより発生し、めまいや失神などの症状がみられる」のは「熱疲労」「熱失神」と呼ばれ、熱けいれんよりも軽症である。

(3)誤り。全身振動による影響は車や船酔いなど一過性の自律神経機能失調状態である。障害としては腰痛や内臓機能障害などが指摘されている。本肢のレイノー現象などの末梢循環障害や手指のしびれ感などの末梢神経障害がみられるのも「局所振動」によるものである。

(4)誤り。凍瘡とは、普通の「しもやけ」のことである。氷点下のような極寒条件よりも、気温5℃前後の環境や、昼夜の気温差が激しいときなどに起こる。

また、皮膚組織の凍結壊死を伴う場合は「凍傷」と呼ばれ、しもやけとは異なる。気温が-4℃以下に長時間晒されたような場合に発生する。

(5)正しい。金属熱は、金属の溶融作業などで亜鉛や銅のヒュームを吸入したときに発生し、悪寒、発熱、関節痛などの症状がみられる。

2019年06月04日執筆