問15 粉じん(ヒュームを含む。)による健康障害に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)じん肺は、粉じんを吸入することによって肺に生じた線維増殖性変化を主体とする疾病である。
(2)じん肺は、肺結核のほか、続発性気管支炎、続発性気胸、原発性肺がんなどを合併することがある。
(3)鉱物性粉じんに含まれる遊離けい酸(SiO2)は、石灰化を伴う胸膜肥厚や胸膜中皮腫を生じさせるという特徴がある。
(4)溶接工肺は、溶接に際して発生する酸化鉄ヒュームのばく露によって発症するじん肺である。
(5)炭素を含む粉じんもじん肺を起こすことがある。
このページは、試験協会が2018年10月に公表した衛生管理者試験問題の解説を行っています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。
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2018年10月公表問題 | 問15 | 難易度 | やや高度な選択肢もあるが、じん肺の基本を押さえておけば正答できる問題である。 |
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じん肺と合併症 | 2 |
問15 粉じん(ヒュームを含む。)による健康障害に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)じん肺は、粉じんを吸入することによって肺に生じた線維増殖性変化を主体とする疾病である。
(2)じん肺は、肺結核のほか、続発性気管支炎、続発性気胸、原発性肺がんなどを合併することがある。
(3)鉱物性粉じんに含まれる遊離けい酸(SiO2)は、石灰化を伴う胸膜肥厚や胸膜中皮腫を生じさせるという特徴がある。
(4)溶接工肺は、溶接に際して発生する酸化鉄ヒュームのばく露によって発症するじん肺である。
(5)炭素を含む粉じんもじん肺を起こすことがある。
正答(3)
【解説】
本問は、(3)以外の肢は正しいと分からなければならない。(3)以外が正しいと分かれば(3)の正誤が分からなくても正答できる。
(1)正しい。じん肺の定義はじん肺法第2条に規定されている。条文のままの肢である。
ヒュームや粉じんが肺に吸いこまれて沈着すると、マクロファージは異物であるヒューム等を取り除こうとこれを貪食して体外へ排出しようとする。ところが、それがあまり激しいと肺の組織が傷つくことがある。そうなると、今度は傷ついた組織を修復するために線維組織が増え、これが増え過ぎると、逆に肺胞、細気管支、血管などが破壊されるのである。
(2)正しい。なお、じん肺の合併症はじん肺法施行規則第1条に定められている。具体的には、①肺結核、②結核性胸膜炎、③続発性気管支炎、④続発性気管支拡張症、⑤続発性気胸及び⑥原発性肺がんの6種類である。これはすべて覚えておく必要がある
(3)誤り。鉱物性粉じんに含まれる遊離けい酸で、胸膜中皮腫を生じさせるという報告はない。なお、石綿によって悪性胸膜中皮腫が生じることは覚えておく必要がある。
(4)正しい。溶接工肺は、溶接に際して発生する酸化鉄ヒュームを主体とした溶接ヒュームのばく露によって発症するじん肺で、かつては比較的線維化を生じにくい良性じん肺と考えられていた。最近では、じん肺対策の主要な対象は溶接や研磨作業になっている。
(5)正しい。とくに炭素粉じんによるものを炭素肺又は黒鉛肺と呼ぶことがあるが、これらもじん肺である。