第1種衛生管理者試験 2018年10月公表 問14

金属による中毒




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合格

 このページは、試験協会が2018年10月に公表した衛生管理者試験問題の解説を行っています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2018年10月公表問題 問14 難易度 金属による中毒の症状である。やや高度な知識ではあるが正答しておきたい問題といえる。
金属による中毒

問14 金属による中毒に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

(1)鉛中毒では、貧血、伸筋麻痺、腹部の疝痛などの症状がみられる。

(2)カドミウム中毒では、感情不安定、幻覚などの精神障害や手指の震えなどの症状がみられる。

(3)マンガン中毒では、指の骨の溶解、皮膚の硬化などの症状がみられる。

(4)クロム中毒では、低分子蛋白尿、歯への黄色の色素沈着、視野狭窄などの症状がみられる。

(5)金属水銀中毒では、骨軟化症、鼻中隔穿孔などの症状がみられる。

正答(1)

【解説】

(1)正しい。鉛中毒では、血液障害(血色素の合成過程を鉛が阻害するために貧血がおこる)、神経障害(初期には筋肉痛、関節痛、筋力低下が発生する。症状が進むと、いわ ゆる垂れ手と呼ばれる症状が現れる。)、消化器の障害(初期には、食欲減退、嘔吐、下痢・便秘などが起きる。また、腹部に疝痛が起きることがある)などの症状を伴う。

(2)誤り。カドミウムはいわゆる「イタイイタイ病」の原因となった物質であり、骨軟化がみられることは覚えておく必要がある。また、急性症例の主要症状には、肺炎や肺水腫による呼吸困難がある。長期曝露による慢性影響としては、腎臓への影響などが挙げられる。感情不安定、幻覚などの精神障害や手指の震えなどの症状がみられるという報告はない。

(3)誤り。マンガン中毒では、頭痛、めまい、嘔吐等の自覚症状又は言語障害、歩行障害、振せん等の神経障害などがみられる。なお、指の骨の溶解、皮膚の硬化などの症状の原因物質としては塩化ビニルがある。

(4)誤り。クロム中毒では、精神・神経症状(初期には神経衰弱様の症状などが現われ、その後錐体外路症候(パーキンソン症候群様症状)を中核とした多彩な精神症状が、進行性に出現してくる。)、肺炎などが挙げられる。低分子蛋白尿、歯への黄色の色素沈着、視野狭窄などの症状がみられるという報告はない。

(5)誤り。金属水銀中毒では、頭痛、めまい、嘔吐等の自覚症状、振せん、歩行障害等の神経障害、焦燥感、記憶減退、不眠等の精神障害、口腔粘膜障害又は腎障害などが現れる。骨軟化症の原因としてはカドミウム、鼻中隔穿孔の原因としては6価クロムなどが挙げられる。

2019年06月02日執筆