第1種衛生管理者試験 2018年10月公表 問12

有害物質の性状(常温での状態)




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合格

 このページは、試験協会が2018年10月に公表した衛生管理者試験問題の解説を行っています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2018年10月公表問題 問12 難易度 ガスと蒸気の区別は難しい面もあるが、有害物の常温における状態は過去問も多く基本的な知識。
化学物質の物性

問12 有害物質とその常温・常圧(25 ℃、1気圧)での空気中における状態との組合せとして、誤っているものは次のうちどれか。

ただし、ガスとは、常温・常圧で気体のものをいい、蒸気とは、常温・常圧で液体又は固体の物質が蒸気圧に応じて揮発又は昇華して気体となっているものをいうものとする。

(1) 塩素 ・・・ ガス
(2) アンモニア ・・・ ガス
(3) アセトン ・・・ 蒸気
(4) フェノール ・・・ 蒸気
(5) ホルムアルデヒド ・・・ 蒸気

正答(5)

【解説】

蒸気とガスについては様ざまな定義があり、定義によってはどちらに該当するかが異なることもある。そのため、本問は但書でガスと蒸気の定義を示している。そして、常温・常圧で液体又は固体の状態にならないものは蒸気ではないと言っている。常温・常圧で気体となっているものは、ガスであって蒸気ではないのである。従って、沸点が常温よりも高いか低いかによって分類すればよいことになろう。

また、揮発とは物体の状態が液体から気体に変化することで、昇華とは固体から気体に代わることである。日常用語の「蒸発」は液体表面から気化する現象で、蒸気圧が気圧よりも高くなると「沸騰」して液体内部からも気化するようになる。

なお、ミストや湯気は液体であり、ヒュームは固体であって蒸気ではない。

(1)正しい。塩素の沸点は-34℃であり、刺激臭のある黄緑色のガスである。

(2)正しい。アンモニアの沸点は約-33℃であり、刺激臭のある無色のガスである。

(3)正しい。アセトンの沸点は約56℃であり、蒸気圧は239.5hPaである。特有の刺激臭のある無色の蒸気である。

(4)正しい。フェノールの融点は約40度で、沸点は182℃である。常温では固体であるが、蒸気として存在し得る。

(5)誤り。ホルムアルデヒドの沸点は約-20℃であり、ほぼ無色の刺激臭のあるガスである。

2019年06月02日執筆