第1種衛生管理者試験 2018年10月公表 問5

特定化学物質の用後処理




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合格

 このページは、試験協会が2018年10月に公表した衛生管理者試験問題の解説を行っています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2018年10月公表問題 問05 難易度 特化則についてやや高度な内容の問題である。正答はやや難しいか。
特定化学物質

問5 次の文中の   内に入れるA及びBの語句の組合せとして、正しいものは(1)~(5)のうちどれか。

「特定化学物質障害予防規則には、特定化学物質の用後処理として、除じん、排ガス処理、 A 、残さい物処理及びぼろ等の処理の規定がある。その中の A については、シアン化ナトリウムの場合には、 B 方式若しくは活性汚泥方式による A 装置又はこれらと同等以上の性能を有する A 装置を設けなければならないと規定されている。」

(1) 浄化処理   中和
(2) 浄化処理   吸収
(3) 浄化処理   凝集沈殿
(4) 排液処理   吸着
(5) 排液処理   酸化・還元

正答(5)

【解説】

特化則の用語処理は、第9条から第12条の2までに定められているが、本問は第11条の排液処理に関するものである。

これらの条文から明らかなように「特定化学物質障害予防規則には、特定化学物質の用後処理として、除じん、排ガス処理、排液処理、残さい物処理及びぼろ等の処理の規定がある。その中の排液処理については、シアン化ナトリウムの場合には、酸化・還元方式若しくは活性汚泥方式による排液処理装置又はこれらと同等以上の性能を有する排液処理装置を設けなければならないと規定されている。」となる。

【特化則】

(除じん)

第9条 事業者は、第二類物質の粉じんを含有する気体を排出する製造設備の排気筒又は第一類物質若しくは第二類物質の粉じんを含有する気体を排出する第三条、第四条第四項若しくは第五条第一項の規定により設ける局所排気装置若しくはプッシュプル型換気装置には、次の表の上欄に掲げる粉じんの粒径に応じ、同表の下欄に掲げるいずれかの除じん方式による除じん装置又はこれらと同等以上の性能を有する除じん装置を設けなければならない。

(表略)

2及び3 (略)

(排ガス処理)

第10条 事業者は、次の表の上欄に掲げる物のガス又は蒸気を含有する気体を排出する製造設備の排気筒又は第四条第四項若しくは第五条第一項の規定により設ける局所排気装置若しくはプッシュプル型換気装置には、同表の下欄に掲げるいずれかの処理方式による排ガス処理装置又はこれらと同等以上の性能を有する排ガス処理装置を設けなければならない。

(表略)

 (略)

排液処理

第11条 事業者は、次の表の上欄に掲げる物を含有する排液(第一類物質を製造する設備からの排液を除く。)については、同表の下欄に掲げるいずれかの処理方式による排液処理装置又はこれらと同等以上の性能を有する排液処理装置を設けなければならない。

処理方式
(略) (略)
シアン化ナトリウム 酸化・還元方式
活性汚泥方式
(略) (略)

2及び3 (略)

(残さい物処理)

第12条 事業者は、アルキル水銀化合物を含有する残さい物については、除毒した後でなければ、廃棄してはならない。

 (略)

(ぼろ等の処理)

第12条の2 事業者は、特定化学物質(クロロホルム等及びクロロホルム等以外のものであつて別表第一第三十七号に掲げる物を除く。次項、第二十二条第一項、第二十二条の二第一項、第二十五条第二項及び第三項並びに第四十三条において同じ。)により汚染されたぼろ、紙くず等については、労働者が当該特定化学物質により汚染されることを防止するため、蓋又は栓をした不浸透性の容器に納めておく等の措置を講じなければならない。

 (略)

(1)特化則第10条の規定により誤りである。問題文に「除じん」、「排ガス処理」、「残さい物処理」及び「ぼろ等の処理」とすべて、「物」(粉じん、排ガスなど)を除いたり処理したりする言葉であるから、「浄化処理」というのは「物」がない用語なので違うのではないかというアタリはつくだろう。また、シアン化ナトリウムは、酸でもなければアルカリでもないのに「中和」はないだろう。

(2)同じく誤りである。

(3)同じく誤りである。

(4)同じく誤りである。

(5)特化則第10条の規定により正しい。

2019年05月21日執筆