問29 厚生労働省の「労働者の心の健康の保持増進のための指針」に基づくメンタルヘルスケアに関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)メンタルヘルスケアを中長期的視点に立って継続的かつ計画的に行うため策定する「心の健康づくり計画」は、各事業場における労働安全衛生に関する計画の中に位置付ける。
(2)「心の健康づくり計画」の策定は、衛生委員会又は安全衛生委員会において十分調査審議する。
(3)事業者がメンタルヘルスケアを積極的に推進する旨を表明することは、「心の健康づくり計画」で定めるべき事項に含まれる。
(4)「心の健康づくり計画」では、「セルフケア」、「家族によるケア」、「ラインによるケア」及び「事業場外資源によるケア」の四つのケアを効果的に推進する。
(5)「セルフケア」とは、労働者自身がストレスや心の健康について理解し、自らのストレスを予防、軽減することである。
このページは、試験協会が2018年4月に公表した衛生管理者試験問題の解説を行っています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。
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2018年04月公表問題 | 問29 | 難易度 | メンタルヘルスに関する基本を押さえておけば確実に正答できる問題。落とさないようにしよう。 |
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メンタルヘルス | 2 |
問29 厚生労働省の「労働者の心の健康の保持増進のための指針」に基づくメンタルヘルスケアに関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
(1)メンタルヘルスケアを中長期的視点に立って継続的かつ計画的に行うため策定する「心の健康づくり計画」は、各事業場における労働安全衛生に関する計画の中に位置付ける。
(2)「心の健康づくり計画」の策定は、衛生委員会又は安全衛生委員会において十分調査審議する。
(3)事業者がメンタルヘルスケアを積極的に推進する旨を表明することは、「心の健康づくり計画」で定めるべき事項に含まれる。
(4)「心の健康づくり計画」では、「セルフケア」、「家族によるケア」、「ラインによるケア」及び「事業場外資源によるケア」の四つのケアを効果的に推進する。
(5)「セルフケア」とは、労働者自身がストレスや心の健康について理解し、自らのストレスを予防、軽減することである。
正答(4)
【解説】
本問は、労働者の心の健康の保持増進のための指針(以下、本問の解説中において「メンタルヘルス指針」という。)からの出題である。
一見するとメンタルヘルス指針について知らないと解けないように思えるかもしれないが、常識で考えれば正答できるようになっている。試験協会のサービス問題である。こんな問題で惑わされていてはいけない。
(1)正しい。メンタルヘルス指針の「4 心の健康づくり計画」の項には、「メンタルヘルスケアは、中長期的視点に立って、継続的かつ計画的に行われるようにすることが重要で」あるから、「心の健康づくり計画」を策定するとしている。従って、本肢の前段は正しい。また、「心の健康づくり計画は、各事業場における労働安全衛生に関する計画の中に位置付けることが望ましい」とされている。従って、後段も正しい。
(2)正しい。メンタルヘルス指針の「4 心の健康づくり計画」の項で、「事業者は、3に掲げ るとおり衛生委員会等において十分調査審議を行い、心の健康づくり計画を策定する」とされている。なお、衛生委員会等とは、メンタルヘルス指針の中で「衛生委員会又は安全衛生委員会」のことだとされている。
(3)正しい。メンタルヘルス指針の「4 心の健康づくり計画」の項で、「事業者がメンタルヘルスケアを積極的に推進する旨を表明すること」は、「心の健康づくり計画」で定めるべき事項に含まれるとされている。
(4)誤り。「心の健康づくり計画」では、「セルフケア」、「ラインによるケア」、「事業場内産業保健スタッフ等によるケア」及び「事業場外資源によるケア」の四つのケアを効果的に推進するとされている。
そもそも、メンタルヘルス指針は事業者が実施するものなのである。そんなものに「家族によるケア」が含まれているはずがあるまい。家族がいない労働者や、いても協力が得られない場合はどうするというのだ。
ただし、メンタルヘルス指針でも、家族への支援の必要性は説かれているので誤解しないこと。
(5)正しい。メンタルヘルス指針は「セルフケア」を、労働者自身がストレスや心の健康について理解し、自らのストレスを予防、軽減することだとしている。
ただし、労働者が行うことだから事業者は関係がないということではない。「セルフケア」を労働者が自ら行えるように、事業者が教育の実施、相談体制の整備、保健指導等によって支援することが必要である。