第1種衛生管理者試験 2018年4月公表 問26

労働基準法の育児時間




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合格

 このページは、試験協会が2018年4月に公表した衛生管理者試験問題の解説を行っています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2018年04月公表問題 問26 難易度 育児時間に関する問題も、衛生管理者試験にはときどき出題される。やや難問だったかもしれない。
女性・妊産婦・年少者

問26 労働基準法に定める育児時間に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)生後満1年を超え、満2年に達しない生児を育てる女性労働者は、育児時間を請求できる。

(2)育児時間は、必ずしも有給としなくてもよい。

(3)育児時間は、1日2回、1回当たり少なくとも30分の時間を請求できる。

(4)育児時間を請求しない女性労働者に対しては、育児時間を与えなくてもよい。

(5)育児時間は、育児時間を請求できる女性労働者が請求した時間に与えなければならない。

正答(1)

【解説】

【労働基準法】

(育児時間)

第67条 生後満1年に達しない生児を育てる女性は、第34条の休憩時間のほか、1日2回各々少なくとも30分、その生児を育てるための時間を請求することができる。

 使用者は、前項の育児時間中は、その女性を使用してはならない。

(1)誤り。労基法第67条により、生後満1年に達しない生児を育てる女性労働者は、育児時間を請求できる。そもそも、育児時間は、乳児を育てながら働きたいという女性のための制度なのだ。1年未満の生児に育児時間を与えずに、1年を超えた生児に育児時間を与えてどうする!

(2)正しい。雇用契約の原則はノーワーク・ノーペイである。法令には原則から外れる場合が定められている。何も定められていないのであるから、原則通りということになる。

(3)正しい。労基法第67条第1項により、育児時間は、1日2回、1回当たり少なくとも30分の時間を請求できる。

(4)正しい。労基法第67条は「請求することができる」と定めてあるだけである。請求しない女性労働者に与える必要はない。そもそも請求する必要のない場合、無給の育児時間を無理に与えられたら女性としても迷惑であろう。

(5)正しい。労基法第67条第2項は「使用者は、前項の育児時間中は、その女性を使用してはならない」と定めてある。請求した時間を休ませなければならないのである。育児時間は主に授乳などのために与えられるのだ。常識で考えても、「仕事の都合があるから授乳を待て」というわけにはいかないだろう。

2019年08月14日執筆