第1種衛生管理者試験 2018年4月公表 問19

作業環境測定の目的・方法




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 このページは、試験協会が2018年4月に公表した衛生管理者試験問題の解説を行っています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2018年04月公表問題 問19 難易度 作業環境測定に関するごく基礎的な問題である。確実に正答しなければならない問題だろう。
作業環境測定

問19 厚生労働省の「作業環境測定基準」及び「作業環境評価基準」に基づく作業環境測定及びその結果の評価に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)作業環境測定を実施する場合の単位作業場所は、労働者の作業中の行動範囲、有害物の分布の状況などに基づいて設定する。

(2)管理濃度は、有害物質に係る作業環境の状態を、単位作業場所ごとにその作業環境測定結果から評価するための指標として定められている。

(3)B測定は、単位作業場所中の有害物質の発散源に近接する場所で作業が行われる場合において、空気中の有害物質の最高濃度を知るために行う測定である。

(4)A測定とB測定を併せて行う場合は、A測定の測定値を用いて求めた第一評価値及び第二評価値とB測定の測定値に基づき、単位作業場所を第一管理区分から第三管理区分までのいずれかに区分する。

(5)A測定の第一評価値は、第二評価値より常に小さい。

正答(5)

【解説】

厚生労働省の作業環境測定に関する2つの告示「作業環境測定基準」及び「作業環境評価基準」に関する設問である。

(1)正しい。作業環境測定基準第2条第2項第1号に単位作業場所とは「当該作業場の区域のうち労働者の作業中の行動範囲、有害物の分布等の状況等に基づき定められる作業環境測定のために必要な区域」とされている。

(2)正しい。管理濃度は、労働安全衛生法第65条の2第2項に基づき作業環境評価基準の別表に定められており、作業環境の状態を評価するための指標である。

産業衛生学会が勧告している許容濃度との目的の違いを明確にしておくこと。なお、許容濃度は「職場におけるこれらの環境要因による労働者の健康障害を予防するための手引きに用いられることを」目的としている。

(3)正しい。B測定は、単位作業場所中の有害物質の発散源に近接する場所で作業が行われる場合において、有害物質の気中濃度の最高値を知るために行う測定である。

(4)正しい。作業環境評価基準第2条第1条第二号によれば、A測定とB測定を併せて行う場合の作業環境測定の結果は次のように定めることとされている。なお、A測定による評価とB測定による評価が異なる場合は、悪い方を採用するのである。

【A測定】

管理区分 評価値と測定対象物に係る別表に掲げる管理濃度との比較の結果
第一管理区分 第一評価値が管理濃度に満たない場合
第二管理区分 第一評価値が管理濃度以上であり、かつ、第二評価値が管理濃度以下である場合
第三管理区分 第二評価値が管理濃度を超える場合

【B測定】

管理区分 評価値又はB測定の測定値と測定対象物に係る別表に掲げる管理濃度との比較の結果
第一管理区分 第一評価値及びB測定の測定値(二以上の測定点においてB測定を実施した場合には、そのうちの最大値。以下同じ。)が管理濃度に満たない場合
第二管理区分 第二評価値が管理濃度以下であり、かつ、B測定の測定値が管理濃度の一・五倍以下である場合(第一管理区分に該当する場合を除く。)
第三管理区分 第二評価値が管理濃度を超える場合又はB測定の測定値が管理濃度の一・五倍を超える場合

【総合判定】

A測定 X<A2 ①第3管理区分 ④第3管理区分 ⑦第3管理区分
A2≦X≦A1 ②第2管理区分 ⑤第2管理区分 ⑧第3管理区分
A1<X ③第1管理区分 ⑥第2管理区分 ⑨第3管理区分
A1:第1評価値、
A2:第2評価値、
B:B測定結果、X:管理濃度
B<X X≦B≦1.5X 1.5X<B
B測定

(5)誤り。A測定の第一評価値とは「単位作業場所について考えられるすべての測定点の中に、管理濃度を越える濃度が存在する可能性が5%未満であるような水準値として数量化された値」であり、第二評価値とは「作業環境中の有害物質の平均濃度が、管理濃度を超えるような水準値として数量化された値」と定義される

分かりやすく言えば、単位作業場所の各場所(測定点ではない)を、気中濃度の時間平均値が高い順に並べたとき、上位5%のところの値が第一評価値であり、平均値が第二評価値だと考えればよい。当然に第一評価値の方が高くなる。

2019年07月20日執筆