問16 作業環境における有害因子による健康障害に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
(1)空気中の酸素濃度が15~16%程度の酸素欠乏症では、一般に頭痛、吐き気などの症状がみられる。
(2)熱虚脱は、暑熱環境下で脳へ供給される血液量が増加したとき、代償的に心拍数が減少することにより生じ、発熱、徐脈、めまいなどの症状がみられる。
(3)金属熱は、金属の溶融作業において、高温環境により体温調節中枢が麻痺することにより発生し、長期間にわたる発熱、関節痛などの症状がみられる。
(4)凍瘡は、皮膚組織の凍結壊死を伴うしもやけのことで、0℃以下の寒冷にばく露することによって発生する。
(5)潜水業務における減圧症は、浮上による減圧に伴い、血液中に溶け込んでいた酸素が気泡となり、血管を閉塞したり組織を圧迫することにより発生する。
このページは、試験協会が2018年4月に公表した衛生管理者試験問題の解説を行っています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。
他の問題の解説をご覧になる場合は、グローバルナビの「安全衛生試験の支援」か「パンくずリスト」をご利用ください。
柳川に著作権があることにご留意ください。
2018年4月公表問題 | 問16 | 難易度 | やや高度な選択肢もあるが、繰り返し問われている内容である。過去問を押さえておけば正答できる。 |
---|---|---|---|
物理的因子 | 3 |
問16 作業環境における有害因子による健康障害に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
(1)空気中の酸素濃度が15~16%程度の酸素欠乏症では、一般に頭痛、吐き気などの症状がみられる。
(2)熱虚脱は、暑熱環境下で脳へ供給される血液量が増加したとき、代償的に心拍数が減少することにより生じ、発熱、徐脈、めまいなどの症状がみられる。
(3)金属熱は、金属の溶融作業において、高温環境により体温調節中枢が麻痺することにより発生し、長期間にわたる発熱、関節痛などの症状がみられる。
(4)凍瘡は、皮膚組織の凍結壊死を伴うしもやけのことで、0℃以下の寒冷にばく露することによって発生する。
(5)潜水業務における減圧症は、浮上による減圧に伴い、血液中に溶け込んでいた酸素が気泡となり、血管を閉塞したり組織を圧迫することにより発生する。
正答(1)
【解説】
(1)正しい。空気中の酸素濃度が15~16%程度の酸素欠乏症では、一般に頭痛、吐き気などの症状がみられる。
酸素濃度 | 症状等 |
---|---|
21% | 通常の空気の状態 |
18% | 安全の限界。連続換気が必要 |
16% | 頭痛、吐き気 |
12% | 目まい、筋力低下 |
8% | 失神昏睡、7~8分以内に死亡 |
6% | 瞬時に昏睡、呼吸停止、死亡 |
(2)誤り。熱虚脱は、暑熱環境下で皮膚へ供給される血液量が増加したとき、代償的に心拍数が減少することにより生じ、心拍は頻脈で微弱、めまいや血圧低下などの症状がみられる。発熱はほとんどみられない。
(3)誤り。金属熱は、金属の溶融作業などで亜鉛や銅のヒュームを吸入したときに発生し、悪寒、発熱、関節痛などの症状がみられる。
(4)誤り。凍瘡とは、普通の「しもやけ」のことである。氷点下のような極寒条件よりも、気温5℃前後の環境や、昼夜の気温差が激しいときなどに起こる。
また、皮膚組織の凍結壊死を伴う場合は「凍傷」と呼ばれ、しもやけとは異なる。気温が-4℃以下に長時間晒されたような場合に発生する。
(5)誤り。潜水業務における減圧症は、浮上による減圧に伴い、血液中に溶け込んでいた窒素が気泡となり、血管を閉塞したり組織を圧迫することにより発生する。「酸素」ではない。
- (1):表は厚生労働省パンフレットによる。