第1種衛生管理者試験 2018年4月公表 問11

労働衛生の3管理(作業管理に該当するもの)




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合格

 このページは、試験協会が2018年4月に公表した衛生管理者試験問題の解説を行っています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2018年4月公表問題 問11 難易度 労働衛生3管理は基本事項である。常識的な知識で正答できる問題である。
労働衛生の3管理

問11 労働衛生対策を進めていくに当たっては、作業管理、作業環境管理及び健康管理が必要であるが、次のAからEの対策例について、作業管理に該当するものの組合せは(1)~(5)のうちどれか。

A 振動工具の取扱い業務において、その振動工具の周波数補正振動加速度実効値の3軸合成値に応じた振動ばく露時間の制限を行う。

B 有機溶剤業務を行う作業場所に設置した局所排気装置のフード付近の吸い込み気流の風速を測定する。

C 強烈な騒音を発する場所における作業において、その作業の性質や騒音の性状に応じた耳栓や耳覆いを使用する。

D 有害な化学物質を取り扱う設備を密閉化する。

E 鉛健康診断の結果、鉛業務に従事することが健康の保持のために適当でないと医師が認めたものを配置転換する。

(1)A,B

(2)A,C

(3)B,C

(4)C,D

(5)D,E

正答(2)

【解説】

労働衛生3管理の区別をせよという、この種の問題には解法のコツがある。まず、その対策が作業者が居ないときでも実施可能であれば「作業環境管理」に位置付ける。次に、作業者の体内の状況に関するものを「健康管理」とし、残ったものを「作業管理」と位置付けるのである。ただし特殊健康診断のうち生物学的モニタリングに関するものは「作業管理」にする。

これで衛生管理者の試験問題程度であれば、ほぼ正答できる。ただし、これは受験対策のコツであって正しい見分け方ではないことは忘れないこと。

なお、誤解しやすいものとして個人ばく露測定がある。これは作業者が居なければ実施できないので、このコツに従って「作業管理」に位置付けておけば衛生管理者試験では正答になる。実は、厳密には個人ばく露濃度測定は「作業環境管理」にも「作業管理」にもなるのだが、教科書的には「作業管理」に位置付けられている。

A 作業管理である。ばく露時間の制限は作業者がいなければ実施することは不可能である。また、直接、作業者の体内の状況に関することをするわけでもない。

B 作業環境管理である。有機溶剤業務を行う作業場所に設置した局所排気装置のフード付近の吸い込み気流の風速を測定することは、作業者が居なくても実施できる。

C 作業管理である。作業者が居なければ耳栓や耳覆いを使用することはできない。個人用保護具の使用は作業管理だと覚えておこう。

D 作業環境管理である。設備の密閉化は作業者が居なくても実施できる。

E 健康管理である。鉛健康診断の結果から異常を発見して増悪を防止するための措置をとることは、作業者の体内の状況に関するので「健康管理」に該当する。なお、本肢が言う対策は「配置転換」の部分のみだと考えると、やや微妙だが、3管理のいずれにも該当しないという解釈も可能かもしれない。

2019年07月15日執筆 2020年07月19日修正