問7 次の設備又は装置のうち、法令に基づく定期自主検査の実施頻度が1年以内ごとに1回とされていないものはどれか。
(1)硫酸を取り扱う特定化学設備
(2)トルエンを用いて洗浄を行う屋内の作業場所に設置したプッシュプル型換気装置
(3)鉛化合物を製造する工程において鉛等の溶融を行う屋内の作業場所に設置した局所排気装置
(4)弗化水素を含有する気体を排出する製造設備の排気筒に設置した排ガス処理装置
(5)セメントを袋詰めする屋内の作業箇所に設置した局所排気装置に設けた除じん装置
このページは、試験協会が2018年04月に公表した衛生管理者試験問題の解説を行っています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。
他の問題の解説をご覧になる場合は、グローバルナビの「安全衛生試験の支援」か「パンくずリスト」をご利用ください。
柳川に著作権があることにご留意ください。
2018年04月公表問題 | 問07 | 難易度 | 定期自主検査についてやや詳細な内容についての問題である。しかし高度だが正答可能な問題である。 |
---|---|---|---|
定期自主検査の実施頻度 | 4 |
問7 次の設備又は装置のうち、法令に基づく定期自主検査の実施頻度が1年以内ごとに1回とされていないものはどれか。
(1)硫酸を取り扱う特定化学設備
(2)トルエンを用いて洗浄を行う屋内の作業場所に設置したプッシュプル型換気装置
(3)鉛化合物を製造する工程において鉛等の溶融を行う屋内の作業場所に設置した局所排気装置
(4)弗化水素を含有する気体を排出する製造設備の排気筒に設置した排ガス処理装置
(5)セメントを袋詰めする屋内の作業箇所に設置した局所排気装置に設けた除じん装置
正答(1)
【解説】
定期自主検査の実施は安衛法第45条によって義務付けられ、安衛令第15条第1項に対象が定められている。そして、同項第九号は局所排気装置等のうち省令で定めるものを、また第十号は特定化学設備等を定期自主検査の対象としている。
そして各特別則で、定期自主検査の実施頻度等が定められている。ところで、本問の解法であるが、(2)から(4)が局所排気装置はプッシュプル換気装置、除じん装置などであるのに対し、(1)のみ特定化学設備で他とは性格が異なっている。従って、定期自主検査の頻度を忘れてしまったとしても、そのことから見当をつけることができるだろう。
【労働安全衛生法】
(定期自主検査)
第45条 事業者は、ボイラーその他の機械等で、政令で定めるものについて、厚生労働省令で定めるところにより、定期に自主検査を行ない、及びその結果を記録しておかなければならない。
2~4 (略)
【労働安全衛生法施行令】
(定期に自主検査を行うべき機械等)
第15条 法第45条第一項の政令で定める機械等は、次のとおりとする。
一から八 (略)
九 局所排気装置、プッシュプル型換気装置、除じん装置、排ガス処理装置及び排液処理装置で、厚生労働省令で定めるもの
十 特定化学設備及びその附属設備
十一 (略)
2 (略)
(1)2年である。硫酸に限らず特定化学設備の定期自主検査は2年以内ごとに1回行うこととされている。
【特定化学物質障害予防規則】
第31条 事業者は、特定化学設備又はその附属設備については、二年以内ごとに一回、定期に、次の各号に掲げる事項について自主検査を行わなければならない。ただし、二年を超える期間使用しない特定化学設備又はその附属設備の当該使用しない期間においては、この限りでない。
一及び二 (略)
2 (略)
(2)1年である。トルエンは第2種有機溶剤であり、屋内作業場等において第2種有機溶剤を用いて洗浄作業を行う場所に設置した局所排気装置又はプッシュプル型換気装置は、ともに1年以外ごとに1回、定期に自主検査を行わなければならない。
【有機溶剤中毒予防規則】
(第一種有機溶剤等又は第二種有機溶剤等に係る設備)
第5条 事業者は、屋内作業場等において、第一種有機溶剤等又は第二種有機溶剤等に係る有機溶剤業務(第一条第一項第六号ヲに掲げる業務を除く。以下この条及び第十三条の二第一項において同じ。)に労働者を従事させるときは、当該有機溶剤業務を行う作業場所に、有機溶剤の蒸気の発散源を密閉する設備、局所排気装置又はプッシュプル型換気装置を設けなければならない。
(局所排気装置の定期自主検査)
第20条 令第十五条第一項第九号の厚生労働省令で定める局所排気装置(有機溶剤業務に係るものに限る。)は、第五条又は第六条の規定により設ける局所排気装置とする。
2 事業者は、前項の局所排気装置については、一年以内ごとに一回、定期に、次の事項について自主検査を行わなければならない。ただし、一年を超える期間使用しない同項の装置の当該使用しない期間においては、この限りでない。
一から七 (略)
3 (略)
(プッシュプル型換気装置の定期自主検査)
第20条の2 令第15条第1項第九号の厚生労働省令で定めるプッシュプル型換気装置(有機溶剤業務に係るものに限る。)は、第5条又は第6条の規定により設けるプッシュプル型換気装置とする。
2 前条第二項及び第三項の規定は、前項のプッシュプル型換気装置に関して準用する。この場合において、同条第2項第三号中「排風機」とあるのは「送風機及び排風機」と、同項第六号中「吸気」とあるのは「送気、吸気」と読み替えるものとする。
(3)1年である。鉛化合物を製造する工程において鉛等の溶融を行う屋内の作業場所に設置した局所排気装置は1年以外ごとに1回、定期に自主検査を行わなければならない。
【鉛中毒予防規則】
(局所排気装置等の定期自主検査)
第35条 令第15条第1項第九号の厚生労働省令で定める局所排気装置、プッシュプル型換気装置及び除じん装置(鉛業務に係るものに限る。)は、第2条に規定する局所排気装置、第5条から第20条までの規定により設ける局所排気装置及びプッシュプル型換気装置並びに第26条の規定により設ける除じん装置とする。
2 事業者は、前項の局所排気装置、プッシュプル型換気装置及び除じん装置については、一年以内ごとに一回、定期に、次の事項について自主検査を行わなければならない。ただし、一年を超える期間使用しない同項の装置の当該使用しない期間においては、この限りでない。
一から三 (略)
3 (略)
(4)1年である。弗化水素を含有する気体を排出する製造設備の排気筒に設置した排ガス処理装置は1年以外ごとに1回、定期に自主検査を行わなければならない。
【特定化学物質障害予防規則】
(排ガス処理)
第10条 事業者は、次の表の上欄に掲げる物のガス又は蒸気を含有する気体を排出する製造設備の排気筒又は第四条第四項若しくは第五条第一項の規定により設ける局所排気装置若しくはプッシュプル型換気装置には、同表の下欄に掲げるいずれかの処理方式による排ガス処理装置又はこれらと同等以上の性能を有する排ガス処理装置を設けなければならない。
物 | 処理方式 |
---|---|
(略) | (略) |
弗化水素 | 吸収方式 吸着方式 |
(略) | (略) |
2 (略)
(定期自主検査を行うべき機械等)
第29条 令第15条第1項第九号の厚生労働省令で定める局所排気装置、プッシュプル型換気装置、除じん装置、排ガス処理装置及び排液処理装置(特定化学物質(特別有機溶剤等を除く。)その他この省令に規定する物に係るものに限る。)は、次のとおりとする。
一から三 (略)
四 第十条第一項の規定により設けられる排ガス処理装置
五 (略)
(定期自主検査)
第30条 事業者は、前条各号に掲げる装置については、一年以内ごとに一回、定期に、次の各号に掲げる装置の種類に応じ、当該各号に掲げる事項について自主検査を行わなければならない。ただし、一年を超える期間使用しない同項の装置の当該使用しない期間においては、この限りでない。
一~三 (略)
2 (略)
(5)1年である。セメントを袋詰めする屋内の作業箇所に設置した局所排気装置に設けた除じん装置は1年以外ごとに1回、定期に自主検査を行わなければならない。
【粉じん障害防止規則】
(除じん装置の設置)
第10条 事業者は、第4条の規定により設ける局所排気装置のうち、別表第2第六号から第九号まで、第十四号及び第十五号に掲げる特定粉じん発生源(別表第2第七号に掲げる特定粉じん発生源にあつては、一事業場当たり十以上の特定粉じん発生源(前三条の規定により、第四条の規定が適用されない特定粉じん作業に係る特定粉じん発生源を除く。)を有する場合に限る。)に係るものには、除じん装置を設けなければならない。
2 (略)
(局所排気装置等の定期自主検査)
第17条 労働安全衛生法施行令(以下「令」という。)第15条第1項第九号の厚生労働省令で定める局所排気装置、プッシュプル型換気装置及び除じん装置(粉じん作業に係るものに限る。)は、第4条及び第27条第1項ただし書の規定により設ける局所排気装置及びプッシュプル型換気装置並びに第10条の規定により設ける除じん装置とする。
2 事業者は、前項の局所排気装置、プッシュプル型換気装置及び除じん装置については、一年以内ごとに一回、定期に、次の各号に掲げる装置の種類に応じ、当該各号に掲げる事項について自主検査を行わなければならない。ただし、一年を超える期間使用しない同項の装置の当該使用しない期間においては、この限りでない。
一~三 (略)
3 (略)
別表第2 (第二条、第四条、第十条、第十一条関係)
一~八 (略)
九 別表第一第九号又は第十号に掲げる作業に係る粉じん発生源のうち、屋内の、セメント、フライアッシュ又は粉状の鉱石、炭素原料、炭素製品、アルミニウム若しくは酸化チタンを袋詰めする箇所
十~十五 (略)