問4 屋内作業場において、第二種有機溶剤等を使用して常時洗浄作業を行う場合の措置として、法令上、正しいものは次のうちどれか。
ただし、有機溶剤中毒予防規則に定める適用除外及び設備の特例はないものとする。
(1)法令に基づき作業場所に設ける局所排気装置について、囲い式フードの場合は0.4m/sの制御風速を出し得る能力を有するものにする。
(2)作業中の労働者が有機溶剤等の区分を容易に知ることができるよう容器に赤色の表示をする。
(3)作業場における空気中の有機溶剤の濃度を、1年以内ごとに1回、定期に測定する。
(4)作業に常時従事する労働者に対し、1年以内ごとに1回、定期に、有機溶剤等健康診断を行う。
(5)有機溶剤業務を行う屋内作業場についての作業環境測定を、有機溶剤作業主任者に実施させる。
このページは、試験協会が2018年4月に公表した衛生管理者試験問題の解説を行っています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。
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2018年4月公表問題 | 問04 | 難易度 | 有機則についてかなり基本的な知識を問うている。確実に正答できなければならない問題である。 |
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有機溶剤中毒予防規則 | 2 |
問4 屋内作業場において、第二種有機溶剤等を使用して常時洗浄作業を行う場合の措置として、法令上、正しいものは次のうちどれか。
ただし、有機溶剤中毒予防規則に定める適用除外及び設備の特例はないものとする。
(1)法令に基づき作業場所に設ける局所排気装置について、囲い式フードの場合は0.4m/sの制御風速を出し得る能力を有するものにする。
(2)作業中の労働者が有機溶剤等の区分を容易に知ることができるよう容器に赤色の表示をする。
(3)作業場における空気中の有機溶剤の濃度を、1年以内ごとに1回、定期に測定する。
(4)作業に常時従事する労働者に対し、1年以内ごとに1回、定期に、有機溶剤等健康診断を行う。
(5)有機溶剤業務を行う屋内作業場についての作業環境測定を、有機溶剤作業主任者に実施させる。
正答(1)
【解説】
(1)正しい。局所排気装置が満たすべき性能は同規則第16条第1項に定められており、囲い式フードの場合、制御風速は0.4m/s以上でなければならないとされている。
【有機溶剤中毒予防規則】
(局所排気装置の性能)
第16条 局所排気装置は、次の表の上欄に掲げる型式に応じて、それぞれ同表の下欄に掲げる制御風速を出し得る能力を有するものでなければならない。
型式 | 制御風速(メートル/秒) | |
---|---|---|
囲い式フード | 0.4 | |
外付け式フード | 側方吸引型 | 0.5 |
下方吸引型 | 0.5 | |
上方吸引型 | 1.0 | |
備考 一 この表における制御風速は、局所排気装置のすべてのフードを開放した場合の制御風速をいう。 二 この表における制御風速は、フードの型式に応じて、それぞれ次に掲げる風速をいう。 イ 囲い式フードにあつては、フードの開口面における最小風速 ロ 外付け式フードにあつては、当該フードにより有機溶剤の蒸気を吸引しようとする範囲内における当該フードの開口面から最も離れた作業位置の風速 |
2 (略)
(2)法令上、正しいとは言えない。なお、必ずしも違反であるとは言い切れない。
有機則第25条の規定は、色分け及び色分け以外の方法により、見やすい場所に表示しなければならないとし、その色分けは第二種有機溶剤の場合は「黄」でなければならないとしている。従って、作業中の労働者が見やすい場所に黄色の色分けによって表示をしておけばよく、容器に赤色の表示をしたとしても(好ましくはないが)必ずしも違反とは言えない。
【有機溶剤中毒予防規則】
(有機溶剤等の区分の表示)
第25条 事業者は、屋内作業場等において有機溶剤業務に労働者を従事させるときは、当該有機溶剤業務に係る有機溶剤等の区分を、作業中の労働者が容易に知ることができるよう、色分け及び色分け以外の方法により、見やすい場所に表示しなければならない。
2 前項の色分けによる表示は、次の各号に掲げる有機溶剤等の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める色によらなければならない。
一 第一種有機溶剤等 赤
二 第二種有機溶剤等 黄
三 第三種有機溶剤等 青
(3)誤り。法令上、違反となる。作業場における空気中の有機溶剤の濃度は、有機則第28条の規定により6月以内ごとに1回、定期に測定しなければならない。
【労働安全衛生法】
(作業環境測定)
第65条 事業者は、有害な業務を行う屋内作業場その他の作業場で、政令で定めるものについて、厚生労働省令で定めるところにより、必要な作業環境測定を行い、及びその結果を記録しておかなければならない。
2から5 (略)
【労働安全衛生法施行令】
(作業環境測定を行うべき作業場)
第21条 法第六十五条第一項の政令で定める作業場は、次のとおりとする。
一から九 (略)
十 別表第六の二に掲げる有機溶剤を製造し、又は取り扱う業務で厚生労働省令で定めるものを行う屋内作業場
【有機溶剤中毒予防規則】
(測定)
第28条 令第二十一条第十号の厚生労働省令で定める業務は、令別表第六の二第一号から第四十七号までに掲げる有機溶剤に係る有機溶剤業務のうち、第三条第一項の場合における同項の業務以外の業務とする。
2 事業者は、前項の業務を行う屋内作業場について、六月以内ごとに一回、定期に、当該有機溶剤の濃度を測定しなければならない。
3 (略)
(4)誤り。法令上、違反となる。有機則第29条第2項の規定により、第二種有機溶剤を取り扱う作業に常時従事する労働者に対し、6月以内ごとに1回、定期に、有機溶剤等健康診断を行わなければならない。
【労働安全衛生法】
(健康診断)
第66条 (第1項 略)
2 事業者は、有害な業務で、政令で定めるものに従事する労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による特別の項目についての健康診断を行なわなければならない。有害な業務で、政令で定めるものに従事させたことのある労働者で、現に使用しているものについても、同様とする。
3から5 (略)
【労働安全衛生法施行令】
(健康診断を行うべき有害な業務)
第22条 法第六十六条第二項前段の政令で定める有害な業務は、次のとおりとする。
一から五 (略)
六 屋内作業場又はタンク、船倉若しくは坑の内部その他の厚生労働省令で定める場所において別表第六の二に掲げる有機溶剤を製造し、又は取り扱う業務で、厚生労働省令で定めるもの
2及び3 (略)
【有機溶剤中毒予防規則】
(健康診断)
第29条 令第二十二条第一項第六号の厚生労働省令で定める業務は、屋内作業場等(第三種有機溶剤等にあつては、タンク等の内部に限る。)における有機溶剤業務のうち、第三条第一項の場合における同項の業務以外の業務とする。
2 事業者は、前項の業務に常時従事する労働者に対し、雇入れの際、当該業務への配置替えの際及びその後六月以内ごとに一回、定期に、次の項目について医師による健康診断を行わなければならない。
一から四 (略)
3から5 (略)
(5)誤り。法令上、違反となる。作業環境測定令第1条第一号の規定により、第二種有機溶剤業務を行う屋内作業場は「指定作業場」となる。そして、作業環境測定法第3条により、指定作業場の作業環境測定は原則として作業環境測定士に行わせるか作業環境測定機関に委託して行わなければならない。
【作業環境測定法】
(定義)
第2条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一及び二 (略)
三 指定作業場 労働安全衛生法第六十五条第一項の作業場のうち政令で定める作業場をいう。
四から七 (略)
(作業環境測定の実施)
第3条 事業者は、労働安全衛生法第六十五条第一項の規定により、指定作業場について作業環境測定を行うときは、厚生労働省令で定めるところにより、その使用する作業環境測定士にこれを実施させなければならない。
2 事業者は、前項の規定による作業環境測定を行うことができないときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該作業環境測定を作業環境測定機関に委託しなければならない。ただし、国又は地方公共団体の機関その他の機関で、厚生労働大臣が指定するものに委託するときは、この限りでない。
【作業環境測定法施行令】
(指定作業場)
第1条 作業環境測定法(以下「法」という。)第二条第三号の政令で定める作業場は、次のとおりとする。
一 労働安全衛生法施行令(昭和四十七年政令第三百十八号)第二十一条第一号、第七号、第八号及び第十号に掲げる作業場
二 (略)
【労働安全衛生法施行令】
(作業環境測定を行うべき作業場)
第21条 法第六十五条第一項の政令で定める作業場は、次のとおりとする。
一から九 (略)
十 別表第六の二に掲げる有機溶剤を製造し、又は取り扱う業務で厚生労働省令で定めるものを行う屋内作業場