第1種衛生管理者試験 2017年10月公表 問33

食中毒(一般)




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合格

 このページは、試験協会が2017年10月に公表した衛生管理者試験問題の解説を行っています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除し、労基法などには項番号を付しました。

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2017年10月公表問題 問33 難易度 食中毒(一般)に関する基本的な知識問題である。確実に正答できなければならない。
食中毒(一般)

問33 食中毒に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

(1)O- 157 やO- 111 は、ベロ毒素を産生する大腸菌で、これらによる食中毒は、腹痛、出血を伴う水様性の下痢などの症状を呈する。

(2)ノロウイルスは、手指、食品などを介して経口で感染し、腸管で増殖して、嘔吐、下痢、腹痛などの急性胃腸炎を起こすもので、冬季に集団食中毒として発生することが多い。

(3)ボツリヌス菌は、缶詰、真空パック食品など酸素のない食品中で増殖して毒性の強い神経毒を産生し、筋肉の麻痺症状を起こす。

(4)毒素型食中毒は、食物に付着した細菌が増殖する際に産生した毒素によって起こる食中毒で、腸炎ビブリオ菌などによるものがある。

(5)感染型食中毒は、食物に付着した細菌そのものの感染によって起こる食中毒で、サルモネラ菌などによるものがある。

正答(4)

【解説】

(1)正しい。腸管出血性大腸菌(O-26、O-104、O-111、O-121、O-128、O-157など)は、文字通り、出血性下痢の原因となるベロ毒素を腸管内で作る。2から9日の潜伏期を過ぎると下痢と腹痛が起きる。3日程度で腹痛や下痢の症状が激化し、頻回の水様便の後、血便が出るようになる。O-157は重症化することが多く、溶血性尿毒症症候群(HUS)となり、腎臓障害や神経障害を引き起こすことがある。

(2)正しい。厚生労働省「ノロウイルスに関するQ&A」によれば、「ノロウイルスは手指や食品などを介して、経口で感染し、ヒトの腸管で増殖し、おう吐、下痢、腹痛などを起こします」「特に冬季に流行します」とされており、集団での食中毒が目立っている(※)

(3)正しい。ボツリヌス菌は、酸素のない状態の食品が原因となりやすい。ビン詰、缶詰、容器包装詰め食品、保存食品が原因となって食中毒が発生する。毒性の強い神経毒を産生し、筋肉の麻痺症状を起こす。重症になると呼吸筋も麻痺して呼吸が困難となって死亡する例もある。

(4)誤り。毒素型食中毒が、食物に付着した細菌により産生された毒素によって起こる食中毒であることは正しい。その細菌の代表的なものは黄色ブドウ球菌、ボツリヌス菌などである。腸炎ビブリオは感染型食中毒を引き起こす。

(5)正しい。感染型食中毒が、食物に付着した細菌そのものの感染によって起こる食中毒である。その細菌の代表的なものはサルモネラ、腸炎ビブリオ、カンピロバクターなどである。

※ 国立感染研究所「ノロウイルス等検出速報」には、多数の集団食中毒事例が報告されている。

2020年07月11日執筆