第1種衛生管理者試験 2017年10月公表 問09

粉じん則に基づく措置




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合格

 このページは、試験協会が2017年10月に公表した衛生管理者試験問題の解説を行っています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

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2017年10月公表問題 問09 難易度 粉じん則の内容はやや複雑であり、正答はやや難しい。しかし、正答できるようにしたい。
粉じん関連規制

問9 粉じん障害防止規則に基づく措置に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

ただし、同規則に定める適用除外及び特例はないものとする。

(1)屋内の特定粉じん発生源については、その区分に応じて密閉する設備、局所排気装置、プッシュプル型換気装置若しくは湿潤な状態に保つための設備の設置又はこれらと同等以上の措置を講じなければならない。

(2)常時特定粉じん作業を行う屋内作業場については、6か月以内ごとに1回、定期に、空気中の粉じんの濃度の測定を行い、測定結果等を記録して、これを5年間保存しなければならない。

(3)特定粉じん発生源の局所排気装置に、法令に基づき設ける除じん装置は、ヒュームとヒューム以外の粉じんとに応じて、除じん方式が定められている。

(4)特定粉じん作業以外の粉じん作業を行う屋内作業場については、全体換気装置による換気の実施又はこれと同等以上の措置を講じなければならない。

(5)粉じん作業を行う屋内の作業場所については、毎日1回以上、清掃を行わなければならない。

正答(2)

【解説】

(1)正しい。特定粉じん発生源における粉じんの発散を防止する方法については粉じん則第4条に定められているが、その区分に応じて密閉する設備、局所排気装置、プッシュプル型換気装置若しくは湿潤な状態に保つための設備の設置又はこれらと同等以上の措置を講じなければならないと定められている。

【粉じん障害防止規則】

(特定粉じん発生源に係る措置)

第4条 事業者は、特定粉じん発生源における粉じんの発散を防止するため、次の表の上欄に掲げる特定粉じん発生源について、それぞれ同表の下欄に掲げるいずれかの措置又はこれと同等以上の措置を講じなければならない。

特定粉じん発生源 措置

一 別表第二第一号に掲げる箇所(衝撃式削岩機を用いて掘削する箇所に限る。)

当該箇所に用いる衝撃式削岩機を湿式型とすること。

二 別表第二第一号、第三号及び第四号に掲げる箇所(別表第二第一号に掲げる箇所にあつては、衝撃式削岩機を用いて掘削する箇所を除く。)

湿潤な状態に保つための設備を設置すること。

三 別表第二第二号に掲げる箇所

一 密閉する設備を設置すること。

二 湿潤な状態に保つための設備を設置すること。

四 別表第二第五号、第七号及び第十三号に掲げる箇所(別表第二第七号に掲げる箇所にあつては、研削盤、ドラムサンダー等の回転体を有する機械を用いて岩石、鉱物若しくは金属を研磨し、若しくはばり取りし、又は金属を裁断する箇所を除く。)

一 局所排気装置を設置すること。

二 プッシュプル型換気装置を設置すること。

三 湿潤な状態に保つための設備を設置すること。

五 別表第二第六号、第八号及び第十四号に掲げる箇所(別表第二第八号に掲げる箇所にあつては、アルミニウムはくを破砕し、粉砕し、又はふるい分ける箇所に、同表第十四号に掲げる箇所にあつては、砂を再生する箇所に限る。)

一 密閉する設備を設置すること。

二 局所排気装置を設置すること。

六 別表第二第七号に掲げる箇所(研削盤、ドラムサンダー等の回転体を有する機械を用いて岩石、鉱物若しくは金属を研磨し、若しくはばり取りし、又は金属を裁断する箇所に限る。)

一 局所排気装置を設置すること。

二 湿潤な状態に保つための設備を設置すること。

七 別表第二第八号に掲げる箇所(アルミニウムはくを破砕し、粉砕し、又はふるい分ける箇所を除く。)

一 密閉する設備を設置すること。

二 局所排気装置を設置すること。

三 湿潤な状態に保つための設備を設置すること。

八 別表第二第九号及び第十二号に掲げる箇所

一 局所排気装置を設置すること。

二 プッシュプル型換気装置を設置すること。

九 別表第二第十号及び第十一号に掲げる箇所

一 密閉する設備を設置すること。

二 局所排気装置を設置すること。

三 プッシュプル型換気装置を設置すること。

四 湿潤な状態に保つための設備を設置すること。

十 別表第二第十四号及び第十五号に掲げる箇所(別表第二第十四号に掲げる箇所にあつては、砂を再生する箇所を除く。)

一 密閉する設備を設置すること。

二 局所排気装置を設置すること。

三 プッシュプル型換気装置を設置すること。

(2)誤り。粉じん則第25条は、「常時特定粉じん作業を行う屋内作業場」について測定を行うべき場所としている。また、同規則第26条第1項は、6か月以内ごとに1回、定期に、空気中の粉じんの濃度の測定を行うものとし、同第8項は、測定結果等を記録して、これを7年間保存すべきとしている。

なお、作業環境測定の頻度は、6月以内ごとに1回とするものがほとんどである。それ以外のものを覚えるようにすると効率的である。

【労働安全衛生法】

(作業環境測定)

第65条 事業者は、有害な業務を行う屋内作業場その他の作業場で、政令で定めるものについて、厚生労働省令で定めるところにより、必要な作業環境測定を行い、及びその結果を記録しておかなければならない。

2から5 (略)

【労働安全衛生法施行令】

(作業環境測定を行うべき作業場)

第21条 法第65条第1項の政令で定める作業場は、次のとおりとする。

 土石、岩石、鉱物、金属又は炭素の粉じんを著しく発散する屋内作業場で、厚生労働省令で定めるもの

二から十 (略)

【粉じん障害防止規則】

(作業環境測定を行うべき屋内作業場)

第25条 令第21条第1号の厚生労働省令で定める土石、岩石、鉱物、金属又は炭素の粉じんを著しく発散する屋内作業場は、常時特定粉じん作業が行われる屋内作業場とする。

(粉じん濃度の測定等)

第26条 事業者は、前条の屋内作業場について、6月以内ごとに1回、定期に、当該作業場における空気中の粉じんの濃度を測定しなければならない。

第2から7 (略)

 事業者は、第1項から第3項までの規定による測定を行つたときは、その都度、次の事項を記録して、これを7年間保存しなければならない。

一から七 (略)

測定対象 測定の頻度 保存期間 参照条文
粉じん(特定粉じん作業) 6月以内ごと 7年 粉じん則
第26条
特定化学物質(第1類・第2類) 6月以内ごと 3年(発がん性物質30年) 特化則
第36条
有機溶剤(第1種・第2種) 6月以内ごと 3年 有機則
第28条
1年以内ごと 3年 鉛則
第52条
石綿 6月以内ごと 40年 石綿則
第36条
放射性物質 1月(一定の場合6月)以内ごと 5年 電離則
第54条
騒音 6月以内ごと 3年 安衛則
第590条
坑内の通気量 半月以内ごと 3年 安衛則
第603条
坑内の気温 半月以内ごと 3年 安衛則
第612条
気温、湿度等(暑熱、寒冷又は多湿の屋内作業場) 半月以内ごと 3年 安衛則
第603条
ダイオキシン類の濃度(焼却施設関連) 6月以内ごと 3年 安衛則
第592条の2

(3)正しい。粉じん則第13条は、局所排気装置に設ける除じん装置を、ヒュームとヒューム以外の粉じんに応じて方式を定めている。

【粉じん障害防止規則】

(除じん)

第13条 事業者は、第10条の規定により設ける除じん装置については、次の表の上欄に掲げる粉じんの種類に応じ、それぞれ同表の下欄に掲げるいずれかの除じん方式又はこれらと同等以上の性能を有する除じん方式による除じん装置としなければならない。

粉じんの種類 除じん方式
ヒューム ろ過除じん方式
電気除じん方式
ヒューム以外の粉じん サイクロンによる除じん方式
スクラバによる除じん方式
ろ過除じん方式
電気除じん方式

 (略)

(4)正しい。粉じん則第5条は、特定粉じん作業以外の粉じん作業を行う屋内作業場については、全体換気装置による換気の実施又はこれと同等以上の措置を講じなければならないとしている。

【粉じん障害防止規則】

(換気の実施等)

第5条 特定粉じん作業以外の粉じん作業を行う屋内作業場については、当該粉じん作業に係る粉じんを減少させるため、全体換気装置による換気の実施又はこれと同等以上の措置を講じなければならない。

(5)正しい。粉じん則第24条は、粉じん作業を行う屋内の作業場所については、毎日1回以上、清掃を行わなければならないとしている。

【粉じん障害防止規則】

(清掃の実施)

第24条 事業者は、粉じん作業を行う屋内の作業場所については、毎日一回以上、清掃を行わなければならない。

 (略)

2019年10月20日執筆