問13 作業環境における騒音及びそれによる健康障害に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
(1)人が聴くことのできる音の周波数は10Hz から 30,000Hz 程度までで、会話音域は 2,000Hz から 4,000Hz 程度までである。
(2)騒音性難聴では、通常の会話音より低い音から聞こえにくくなる。
(3)騒音性難聴は、音を神経に伝達する内耳の蝸牛の中の有毛細胞が変性することにより起こる。
(4)等価騒音レベルは、中心周波数 500Hz、1,000Hz、2,000Hz 及び 4,000Hz の各オクターブバンドの騒音レベルの平均値で、変動する騒音に対する人間の生理・心理的反応とよく対応する。
(5)騒音は、自律神経系や内分泌系へも影響を与えるため、騒音ばく露により、ストレス反応である副腎皮質ホルモンの分泌の減少が認められる。
このページは、試験協会が2017年4月に公表した衛生管理者試験問題の解説を行っています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。
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2017年04月公表問題 | 問13 | 難易度 | 騒音による健康障害についての基本的な問題である。確実に正答できなければならない。 |
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騒音による健康障害 | 3 |
問13 作業環境における騒音及びそれによる健康障害に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
(1)人が聴くことのできる音の周波数は10Hz から 30,000Hz 程度までで、会話音域は 2,000Hz から 4,000Hz 程度までである。
(2)騒音性難聴では、通常の会話音より低い音から聞こえにくくなる。
(3)騒音性難聴は、音を神経に伝達する内耳の蝸牛の中の有毛細胞が変性することにより起こる。
(4)等価騒音レベルは、中心周波数 500Hz、1,000Hz、2,000Hz 及び 4,000Hz の各オクターブバンドの騒音レベルの平均値で、変動する騒音に対する人間の生理・心理的反応とよく対応する。
(5)騒音は、自律神経系や内分泌系へも影響を与えるため、騒音ばく露により、ストレス反応である副腎皮質ホルモンの分泌の減少が認められる。
正答(3)
【解説】
(1)誤り。人が聴くことのできる音の周波数(可聴周波数)は、個人差もあるが、下は20Hz 程度、上は15,000 ~ 20,000Hz 程度といわれている。また、会話音域は個人差や性差もあるが、広く見ても250Hzから4,000Hz程度で、通常は 500Hz から 2,000Hz 程度である。
(2)誤り。騒音性難聴の初期には、4,000 Hz 付近のdip型の難聴が進行する。なお、dip型とは特定の周波数領域の音が聞こえにくくなることを言う。これは通常の会話域よりもやや高い周波数である。
(3)正しい。有毛細胞とは、内耳の蝸牛内にあって、音によるリンパ液の振動を電気的な信号に変えて蝸牛神経に伝える器官である。85dB以上の音を、長期にわたって聞いていると、有毛細胞が変性して破壊されてしまう。これが騒音性難聴である。
(4)誤り。等価騒音レベルとは、不規則に変化する騒音を評価するための指数である。「測定時間内における変動騒音の平均2乗音圧に等しい平均2乗音圧を与える連続定常音の騒音レベル」と定義される。なお、睡眠影響やアノイアンス(人に感じられる感覚的なうるささ)との対応に優れているとされており、「変動する騒音に対する人間の生理・心理的反応とよく対応する」としていることは正しい。
なお、連続測定の場合、測定時間をt1からt2までとし、測定された音圧をPA(t)、基準音圧をP0とすると、等価騒音レベルLaeqは、
となる(覚えなくてよい)。
(5)誤り。騒音は、自律神経系や内分泌系へも影響を与えるとしていることは正しい。しかし、ストレスが増大すると視床下部から副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモンが分泌され、下垂体前葉からの副腎皮質刺激ホルモンの分泌が促進される。