労働安全コンサルタント試験 2025年 産業安全関係法令 問12

機械による危険の防止に関する規制




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 このページは、2025年の労働安全衛生コンサルタント試験の「産業安全関係法令」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。

 他の問題の解説をご覧になる場合は、「下表の左欄」、グローバルナビの「安全衛生試験の支援」又は「パンくずリスト」をご利用ください。

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2025年度(令和07年度) 問12 難易度 機械による危険防止は、規制の種類と対象の種類が多いが、点数の取りやすい範囲でもある。
機械による危険防止  5 

※ 難易度は本サイトが行ったアンケート結果の正答率に基づく。(中途段階なので、今後、修正があり得る。)
5:50%未満 4:50%以上60%未満 3:60%以上70%未満 2:70%以上80%未満 1:80%以上

問12 機械等に関する規制に関する次のイ~ニの記述について、労働安全衛生法令上、正しいものの組合せは(1)~(5)のうちどれか。

イ つり上げ荷重が3トン未満の移動式クレーンを製造しようとする者は、その製造しようとする移動式クレーンについて、都道府県労働局長の許可を受ける必要はない。

ロ ボイラー検査証の有効期間の更新を受けようとする者は、登録性能検査機関が行う性能検査を受けなければならない。

ハ 小型圧力容器(移動式のものを除く。)を設置した者は、当該小型圧力容器及びその配管の状況について、所轄労働基準監督署長の検査を受けなければならない。ただし、所轄労働基準監督署長が当該検査の必要がないと認めた小型圧力容器については、この限りでない。

ニ 墜落による危険を防止するための保護帽は型式検定の対象であるが、物体の飛来又は落下による危険を防止するための保護帽は、型式検定の対象ではない。

(1)イ  ロ

(2)イ  ハ

(3)ロ  ハ

(4)ロ  ニ

(5)ハ  ニ

正答(1)

【解説】

問12試験結果

試験解答状況
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本問も(1)と(3)で解答が分かれた。イとハで迷った受験者が多かったということである。これは製造許可の対象、落成検査の対象を知っていたかどうかで正答ができるかどうかが決まるということである。

こういった基本的な事項は覚えておかないと合格は難しい試験だということである。なお、現行制度については(2025年の法改正のための資料であるが)「特定機械等の製造許可、検査等に係る制度の概要、現状及び論点」がよくまとまっていて参考となる。

イ 正しい。製造許可について定めるクレーン則第 53 条の適用があるのは、安衛令第 12 条第1項第四号の移動式クレーン(つり上げ荷重が3トン以上の移動式クレーン)に限られている。

【労働安全衛生法】

(製造の許可)

第37条 特に危険な作業を必要とする機械等として別表第一に掲げるもので、政令で定めるもの(以下「特定機械等」という。)を製造しようとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、あらかじめ、都道府県労働局長の許可を受けなければならない。

 (略)

【労働安全衛生法施行令】

(特定機械等)

第12条 法第37条第1項の政令で定める機械等は、次に掲げる機械等(本邦の地域内で使用されないことが明らかな場合を除く。)とする。

一~三 (略)

 つり上げ荷重が3トン以上の移動式クレーン

五~八 (略)

 (略)

【クレーン等安全規則】

(製造許可)

第53条 移動式クレーン(令第12条第1項第四号の移動式クレーンに限る。以下本条から第61条まで、第63条及び第64条並びにこの章第4節及び第5節において同じ。)を製造しようとする者は、その製造しようとする移動式クレーンについて、あらかじめ、所轄都道府県労働局長の許可を受けなければならない。ただし、既に当該許可を受けている移動式クレーンと型式が同一である移動式クレーン(次条において「許可型式移動式クレーン」という。)については、この限りでない。

 (略)

ロ 正しい。ボイラー則第 38 条第1項(及び労働安全衛生法第 41 条第2項)により、ボイラー検査証の有効期間の更新を受けようとする者は、登録性能検査機関が行う性能検査を受けなければならない。

【労働安全衛生法】

(検査証の有効期間等)

第41条 (第1項 略)

 検査証の有効期間の更新を受けようとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、当該特定機械等及びこれに係る厚生労働省令で定める事項について、厚生労働大臣の登録を受けた者(以下「登録性能検査機関」という。)が行う性能検査を受けなければならない。

【ボイラー及び圧力容器安全規則】

(性能検査等)

第38条 ボイラー検査証の有効期間の更新を受けようとする者は、当該検査証に係るボイラー及び第14条第1項各号に掲げる事項について、法第41条第2項の性能検査(以下「性能検査」という。)を受けなければならない。

 (略)

ハ 誤り。安衛法第 38 条第3項によって、設置時に落成検査が義務付けられるのは特定機械(移動式のものを除く。)であり、安衛令第 12 条第二号により小型圧力容器は除かれている。なお、小型圧力容器を設置した者は設置報告を所轄労働基準監督署長に提出しなければならないとされている。

【労働安全衛生法】

(製造の許可)

第37条 特に危険な作業を必要とする機械等として別表第一に掲げるもので、政令で定めるもの(以下「特定機械等」という。)(後略)

 (略)

(製造時等検査等)

第38条 (第1項及び第2項 略)

 特定機械等(移動式のものを除く。)を設置した者、特定機械等の厚生労働省令で定める部分に変更を加えた者又は特定機械等で使用を休止したものを再び使用しようとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、当該特定機械等及びこれに係る厚生労働省令で定める事項について、労働基準監督署長の検査を受けなければならない。

第別表第一 (第三十七条関係)

 (略)

 第一種圧力容器(圧力容器であつて政令で定めるものをいう。以下同じ。)

三~八 (略)

【労働安全衛生法施行令】

(特定機械等)

第12条 法第37条第1項の政令で定める機械等は、次に掲げる機械等(本邦の地域内で使用されないことが明らかな場合を除く。)とする。

 (略)

 第一種圧力容器(小型圧力容器(中略)を除く。)

三~八 (略)

 (略)

【ボイラー及び圧力容器安全規則】

(落成検査)

第59条 第一種圧力容器(移動式第一種圧力容器を除く。)を設置した者は、法第38条第3項の規定により、当該第一種圧力容器及びその配管の状況について、所轄労働基準監督署長の検査を受けなければならない。ただし、所轄労働基準監督署長が当該検査の必要がないと認めた第一種圧力容器については、この限りでない。

2及び3 (略)

(設置報告)

第91条 事業者は、小型ボイラーを設置したときは、遅滞なく、小型ボイラー設置報告書(様式第二十六号)に機械等検定規則第一条第一項第一号の規定による構造図及び同項第二号の規定による小型ボイラー明細書並びに当該小型ボイラーの設置場所の周囲の状況を示す図面を添えて、所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。ただし、認定を受けた事業者については、この限りでない。

ニ 誤り。安衛法第 44 条の2による型式検定の対象を定める安衛令第 14 条の2第十二号は、「保護帽(物体の飛来若しくは落下又は墜落による危険を防止するためのものに限る。)」と定める。物体の飛来又は落下による危険を防止するための保護帽は型式検定の対象である。

なお、墜落による危険を防止するための保護帽は、必ず物体の飛来又は落下による危険を防止するための保護帽を兼ねているので、常に型式検定の対象となる。

【労働安全衛生法】

(型式検定)

第44条の2 第42条の機械等のうち、別表第四に掲げる機械等で政令で定めるものを製造し、又は輸入した者は、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣の登録を受けた者(以下「登録型式検定機関」という。)が行う当該機械等の型式についての検定を受けなければならない。ただし、当該機械等のうち輸入された機械等で、その型式について次項の検定が行われた機械等に該当するものは、この限りでない。

2~7 (略)

第別表第四 (第四十四条の二関係)

一~十一 (略)

十二 保護帽

十三 (略)

【労働安全衛生法施行令】

(型式検定を受けるべき機械等)

第14条の2 法第44条の2第1項の政令で定める機械等は、次に掲げる機械等(本邦の地域内で使用されないことが明らかな場合を除く。)とする。

一~十一 (略)

十二 保護帽(物体の飛来若しくは落下又は墜落による危険を防止するためのものに限る。)

十三及び十四 (略)