問1 安全管理体制に関する次の記述のうち、労働安全衛生法令上、誤っているものはどれか。
(1)事業者が総括安全衛生管理者に統括管理させなければならない業務には、安全衛生に関する計画の作成、実施、評価及び改善に関することが含まれる。
(2)事業者は、常時 60 人の労働者を使用するゴルフ場業の事業場においては、安全管理者を選任しなければならない。
(3)事業者は、安全管理者が旅行、疾病、事故その他やむを得ない事由によって職務を行うことができないときは、代理者を選任しなければならない。
(4)事業者は、安全衛生推進者を選任したときは、当該安全衛生推進者の氏名を作業場の見やすい箇所に掲示する等により関係労働者に周知させなければならない。
(5)都道府県労働局長から事業場の安全衛生改善計画の作成を指示された事業者は、当該事業場の業種及び規模にかかわらず、当該事業場について安全委員会又は安全衛生委員会を設けなければならない。ただし、都道府県労働局長がその必要がないと認めたときは、この限りでない。
※ イメージ図(©photoAC)
このページは、2025年の労働安全衛生コンサルタント試験の「産業安全関係法令」問題の解説と解答例を示しています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等は削除しました。
他の問題の解説をご覧になる場合は、「下表の左欄」、グローバルナビの「安全衛生試験の支援」又は「パンくずリスト」をご利用ください。
柳川に著作権があることにご留意ください。
| 2025年度(令和07年度) | 問01 | 難易度 | 安全管理体制は基本中の基本。本問も基本的な内容であり、正答できる必要がある。 |
|---|---|---|---|
| 労働安全管理体制 | 3 |
※ 難易度は本サイトが行ったアンケート結果の正答率に基づく。(中途段階なので、今後、修正があり得る。)
5:50%未満 4:50%以上60%未満 3:60%以上70%未満 2:70%以上80%未満 1:80%以上
問1 安全管理体制に関する次の記述のうち、労働安全衛生法令上、誤っているものはどれか。
(1)事業者が総括安全衛生管理者に統括管理させなければならない業務には、安全衛生に関する計画の作成、実施、評価及び改善に関することが含まれる。
(2)事業者は、常時 60 人の労働者を使用するゴルフ場業の事業場においては、安全管理者を選任しなければならない。
(3)事業者は、安全管理者が旅行、疾病、事故その他やむを得ない事由によって職務を行うことができないときは、代理者を選任しなければならない。
(4)事業者は、安全衛生推進者を選任したときは、当該安全衛生推進者の氏名を作業場の見やすい箇所に掲示する等により関係労働者に周知させなければならない。
(5)都道府県労働局長から事業場の安全衛生改善計画の作成を指示された事業者は、当該事業場の業種及び規模にかかわらず、当該事業場について安全委員会又は安全衛生委員会を設けなければならない。ただし、都道府県労働局長がその必要がないと認めたときは、この限りでない。
正答(5)
【解説】
例年、「産業安全関係法令」の問1は、単一事業場の安全(衛生)管理体制が出題される。問2は下請け構造における安全管理体制が出題され、通常はかなりの難問となるので、問1で自信をもって正答できないと心理的に苦しくなる。
例年、問1は基本的な内容の問題が多く、確実に正答しておきたいところである。なお、(5)は存在していない条文に関する問題であり、他の条文が正しいと確信が持てないと、こんな条文はないと自信をもって答えることは難しいかもしれない。
ただ(5)の内容は、明らかに不合理な内容であり、正答だと気づけなければならない。
(1)正しい。安衛法第 10 条第1項第五号及び安衛則第3条の2第三号の規定により、事業者が総括安全衛生管理者に統括管理させなければならない業務には、安全衛生に関する計画の作成、実施、評価及び改善に関することが含まれる。
【労働安全衛生法】
(総括安全衛生管理者)
第10条 事業者は、政令で定める規模の事業場ごとに、厚生労働省令で定めるところにより、総括安全衛生管理者を選任し、その者に安全管理者、衛生管理者又は第25条の2第2項の規定により技術的事項を管理する者の指揮をさせるとともに、次の業務を統括管理させなければならない。
一~四 (略)
五 前各号に掲げるもののほか、労働災害を防止するため必要な業務で、厚生労働省令で定めるもの
2及び3 (略)
【労働安全衛生規則】
(総括安全衛生管理者が統括管理する業務)
第3条の2 法第10条第1項第五号の厚生労働省令で定める業務は、次のとおりとする。
一及び二 (略)
三 安全衛生に関する計画の作成、実施、評価及び改善に関すること。
(2)正しい。安衛令第3条(及び同令第2条第二号)の規定により、ゴルフ場業の事業場は安全管理者の選任対象事業者である。また、選任しなければならない事業場は、常時 50 人以上の労働者を使用するものである。
【労働安全衛生法】
(安全管理者)
第11条 事業者は、政令で定める業種及び規模の事業場ごとに、厚生労働省令で定める資格を有する者のうちから、厚生労働省令で定めるところにより、安全管理者を選任し、その者に前条第1項各号の業務(第25条の2第2項の規定により技術的事項を管理する者を選任した場合においては、同条第1項各号の措置に該当するものを除く。)のうち安全に係る技術的事項を管理させなければならない。
2 (略)
【労働安全衛生法施行令】
(総括安全衛生管理者を選任すべき事業場)
第2条 労働安全衛生法(以下「法」という。)第10条第1項の政令で定める規模の事業場は、次の各号に掲げる業種の区分に応じ、常時当該各号に掲げる数以上の労働者を使用する事業場とする。
一 林業、鉱業、建設業、運送業及び清掃業 百人
二 製造業(物の加工業を含む。)、電気業、ガス業、熱供給業、水道業、通信業、各種商品卸売業、家具・建具・じゆう器等卸売業、各種商品小売業、家具・建具・じゆう器小売業、燃料小売業、旅館業、ゴルフ場業、自動車整備業及び機械修理業 300人
三 その他の業種 1,000人
(安全管理者を選任すべき事業場)
第3条 法第11条第1項の政令で定める業種及び規模の事業場は、前条第一号又は第二号に掲げる業種の事業場で、常時50人以上の労働者を使用するものとする。
(3)正しい。安衛則第4条第2項が準用する同規則第3条の規定により、事業者は、安全管理者が旅行、疾病、事故その他やむを得ない事由によって職務を行うことができないときは、代理者を選任しなければならない。
【労働安全衛生規則】
(総括安全衛生管理者の代理者)
第3条 事業者は、総括安全衛生管理者が旅行、疾病、事故その他やむを得ない事由によつて職務を行なうことができないときは、代理者を選任しなければならない。
(安全管理者の選任)
第4条 (第1項 略)
2 第3条の規定は、安全管理者について準用する。
3 (略)
(4)正しい。安衛則第 12 条の4により、事業者は、安全衛生推進者を選任したときは、当該安全衛生推進者の氏名を作業場の見やすい箇所に掲示する等により関係労働者に周知させなければならない。
【労働安全衛生規則】
(安全衛生推進者等の氏名の周知)
第12条の4 事業者は、安全衛生推進者等を選任したときは、当該安全衛生推進者等の氏名を作業場の見やすい箇所に掲示する等により関係労働者に周知させなければならない。
(5)誤り。このような規定はない。本肢において「当該事業場の業種及び規模にかかわらず」とあるが、仮にこのような規定があるとすれば、常時雇用する労働者が1名の場合でも、安全委員会又は安全衛生委員会を設けなければならないことになってしまう。これは明らかに不自然であろう。
確かに「ただし、都道府県労働局長がその必要がないと認めたときは、この限りでない」としているが、通常、このような不自然な条文は作られないと考えてよい。
【労働安全衛生規則】
(特別安全衛生改善計画)
第78条 (第1項 略)
2 事業者は、特別安全衛生改善計画を作成しようとする場合には、当該事業場に労働者の過半数で組織する労働組合があるときにおいてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときにおいては労働者の過半数を代表する者の意見を聴かなければならない。
3 第1項の事業者及びその労働者は、特別安全衛生改善計画を守らなければならない。
4~6 (略)
(安全衛生改善計画)
第79条 都道府県労働局長は、事業場の施設その他の事項について、労働災害の防止を図るため総合的な改善措置を講ずる必要があると認めるとき(前条第1項の規定により厚生労働大臣が同項の厚生労働省令で定める場合に該当すると認めるときを除く。)は、厚生労働省令で定めるところにより、事業者に対し、当該事業場の安全又は衛生に関する改善計画(以下「安全衛生改善計画」という。)を作成すべきことを指示することができる。
2 前条第2項及び第3項の規定は、安全衛生改善計画について準用する。この場合において、同項中「第1項」とあるのは、「次条第1項」と読み替えるものとする。





