労働安全コンサルタント試験 2025年 産業安全一般 問29

機械譲渡者等が行う危険性等の通知の促進に関する指針




問題文
トップ
NEXT STAGE

※ イメージ図(©photoAC)

 このページは、2025年の労働安全衛生コンサルタント試験の「産業安全一般」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等を削除した場合があります。

 他の問題の解説をご覧になる場合は、「下表の左欄」、グローバルナビの「安全衛生試験の支援」又は「パンくずリスト」をご利用ください。

 柳川に著作権があることにご留意ください。

2025年度(令和07年度) 問29 難易度 機械譲渡時の情報提供について同種の過去問がほとんどないこともあり、正答率は低かった。
産業用機械  5 

※ 難易度は本サイトが行ったアンケート結果の正答率に基づく。
5:50%未満 4:50%以上60%未満 3:60%以上70%未満 2:70%以上80%未満 1:80%以上

問29 機械譲渡者等が行う機械に関する危険性等の通知に関する次のイ~ホの記述について、適切なもののみを全て挙げたものは(1)~(5)のうちどれか。

ただし、「機械譲渡者等」とは、労働者に危険を及ぼし、又は労働者の健康障害をその使用により生ずるおそれのある機械を譲渡し、又は貸与する者をいい、「相手方事業者」とは、当該機械の譲渡又は貸与を受ける相手方の事業者をいうものとする。

イ 複数の機械が一つの機械システムとして使用される場合には、当該機械システムの取りまとめを行う機械譲渡者等は、個々の機械の危険性等の情報を入手し、機械を組み合わせることにより新たに出現する危険性等に対して調査し、その結果に基づく保護方策を実施した上で、残留リスク情報等について通知する。

ロ 中古の機械について、それまで機械を使用していた者が機械を改造している場合は、機械譲渡者等はその内容も調査し、通知する。

ハ 機械譲渡者等は、機械に関する危険性等の通知に係る相手方事業者の名称、通知を行った日等の記録を作成し、これを保存する。

ニ 機械に関する危険性等の通知は、譲渡又は貸与された機械の使用が開始されるまでの間に行う。

ホ 機械譲渡者Aから機械を譲渡された事業者Bが、この機械を自ら改造することなく事業者Cに譲渡しようとするときは、機械に関する危険性等の通知に関してBがAから交付された文書をそのままCに交付してよい。

(1)イ  ロ  ハ  ニ

(2)イ  ロ  ハ  ホ

(3)イ  ロ  ハ

(4)イ  ロ  ホ

(5)ハ  ニ  ホ

正答(2)

【解説】

問29試験結果

試験解答状況
図をクリックすると拡大します

本問は、「機械譲渡者等が行う機械に関する危険性等の通知の促進に関する指針」(平成24年3月16日厚生労働省告示第132号。以下「指針」という。)及び解釈例規(「労働安全衛生規則の一部を改正する省令の施行及び関係告示の適用等について」(平成24年3月29日基発0329第7号)。以下「通達」という。)からの出題である(※)

※ なお、関係する通達として、「機械譲渡者等が行う機械に関する危険性等の通知の促進に関する指針の適用について」(平成24年3月29日基発0329第8号)がある。本問の選択肢のホに関係があるが、この通達を知らなくても本問は正答できる。

この指針に関する過去問としては、2014 年度の問 28 以来である。本指針の詳細については、機械の製造・販売に関わっていない限り、知らなかったという受験者がほとんどであろう。

各肢の内容の妥当性から選択するしかないが、安全に関する「感覚」のようなものが必要になるかもしれない。

イ 適切である。通達の記のⅠの第2の1の(2)により、複数の機械が一つの機械システムとして使用される場合には、当該機械システムの取りまとめを行う機械譲渡者等は、個々の機械の危険性等の情報を入手し、機械を組み合わせることにより新たに出現する危険性等に対して調査し、その結果に基づく保護方策を実施した上で、残留リスク情報等について通知する必要がある。

【労働安全衛生規則】

(機械に関する危険性等の通知)

第24条の13 労働者に危険を及ぼし、又は労働者の健康障害をその使用により生ずるおそれのある機械(以下単に「機械」という。)を譲渡し、又は貸与する者(次項において「機械譲渡者等」という。)は、文書の交付等により当該機械に関する次に掲げる事項を、当該機械の譲渡又は貸与を受ける相手方の事業者(次項において「相手方事業者」という。)に通知するよう努めなければならない。

一~五 (略)

 (略)

【複数の機械を組み立てる場合】

Ⅰ 一部改正省令関係

第2 細部事項

1 機械に関する危険性等の通知(則第24条の13関係)

(1)(略)

(2)機械単独ではなく、複数の機械が一つの機械システムとして使用される場合には、当該機械システムの取りまとめを行う機械譲渡者等は、個々の機械の危険性等の情報を入手し、機械を組み合わせることにより新たに出現する危険性等に対して調査し、その結果に基づく保護方策を実施した上で、残留リスク情報等について通知する必要があること。

(3)及び(4)(略)

※ 厚生労働省「労働安全衛生規則の一部を改正する省令の施行及び関係告示の適用等について」(平成24年3月29日基発0329第7号)より

ロ 適切である。通達の記のⅠの第2の1の(3)により、中古の機械について、それまで機械を使用していた者が機械を改造している場合は、機械譲渡者等はその内容も調査し、通知する必要がある。

【中古の機械の再譲渡等】

Ⅰ 一部改正省令関係

第2 細部事項

1 機械に関する危険性等の通知(則第24条の13関係)

(1)及び(2)(略)

(3)中古の機械について、それまで機械を使用していた者等が機械を改造している場合は、機械譲渡者等はその内容も調査し、通知する必要があること。

(4)(略)

※ 厚生労働省「労働安全衛生規則の一部を改正する省令の施行及び関係告示の適用等について」(平成24年3月29日基発0329第7号)より

ハ 適切である。指針第3条第5項(第二号)により、機械譲渡者等は、機械に関する危険性等の通知に係る相手方事業者の名称、通知を行った日等の記録を作成し、これを保存する必要がある。

【機械譲渡者等が行う機械に関する危険性等の通知の促進に関する指針】

(機械に関する危険性等の通知)

第3条 (第1項~第4項 略)

 機械譲渡者等は、相手方事業者への機械に関する危険性等の通知に当たって次に掲げる事項に配慮するものとする。

 (略)

 当該機械に関する危険性等の通知に係る相手方事業者の名称、当該通知を行った日等の記録を作成し、これを保存すること。

ニ 適切ではない。指針第3条第4項により、機械に関する危険性等の通知は、機械を譲渡し、又は貸与する時以前に行う必要がある。

どちらにしても通知をする以上、譲渡し、又は貸与する時以前(※)に通知をすることとしても、それほど負担が大きくなることはない。一方、機械が譲渡・提供されてしまえば、譲渡・提供を受けた側は、いつ使用を開始するかは分からない。このような規定は不自然であると気づく必要がある。

※ 譲渡し又は貸与するときと同時で良い。すなわち機械の納品時に、関係書類を相手側に渡せばよいのである。

【機械譲渡者等が行う機械に関する危険性等の通知の促進に関する指針】

(機械に関する危険性等の通知)

第3条 (第1項~第3項 略)

 機械に関する危険性等の通知は、機械を譲渡し、又は貸与する時以前に行うものとする。

 (略)

ホ 適切である。指針第4条により正しい。機械に関する危険性等の通知の文書を作成するのは、かなりの知識・ノウハウを必要とするため製造した事業者が作成するのが合理的なのである。

たんに機械の売買の仲介をする者は、転売のルールには詳しくても機械の安全については詳しくないことが普通であろう。そのような者に通知を作成させることは合理的ではない(※)と気づく必要がある。

※ この点については、化学物質のSDSとは考え方が異なっている。化学物質の場合、転売をする事業者が転売する先に渡すSDSは、転売する事業者が作成する必要があり、製造者が作成したSDSを渡すだけでは足りない。

【機械譲渡者等が行う機械に関する危険性等の通知の促進に関する指針】

第4条 機械譲渡者等から機械を譲渡又は貸与された相手方事業者であって、当該機械を別の相手方事業者に譲渡又は貸与しようとするものについては、前条第2項の規定にかかわらず、当該機械について交付された文書を、当該別の相手方事業者に交付することをもって同項の通知をしたこととみなす。

【機械の転売等の場合】

第2 細部事項

3 第4条関係

  本条において第3条第2項の通知をしたこととみなされる相手方事業者は、譲渡又は貸与された機械の改造を行わず、又は当該機械が通知内容と異なる改造がなされていない場合に当該機械を別の相手方事業者に譲渡又は貸与する者が該当すること。なお、譲渡又は貸与された機械に改造を行った後、又は当該機械が通知の内容と異なる改造がなされている場合に当該機械を別の相手方事業者に譲渡又は貸与するときには、第3条第1項の機械譲渡者等が自ら機械に関する危険性等の通知の作成を行う者になるものであること。

※ 厚生労働省「機械譲渡者等が行う機械に関する危険性等の通知の促進に関する指針の適用について」(平成24年3月29日基発0329第8号)より