問22 化学設備の安全装置に関する次のイ〜ニの記述について、適切でないもののみを全て挙げたものは(1)〜(5)のうちどれか。
イ 安全弁は、化学設備の内圧を計測する圧力計からの電気信号により、設定圧力を超えた場合に弁が作動して弁を開放状態にし、内部の流体を外部に放出することによって内圧を下げるものである。
ロ フレームアレスタは、引火性液体の貯蔵タンク等の内圧と大気圧との間に差が生じたとき、タンク内の気体を放出し、又は、大気等をタンク内に吸引して、内外の圧力を平衡に保つものである。
ハ 緊急遮断装置は、反応槽等における異常な事態の発生による爆発又は火災を防止するため、当該反応槽等への原材料の送給を緊急遮断する装置である。
ニ 破裂板は、薄い金属板等でできており、化学設備の内圧上昇時に破裂して内圧を低下させるもので、圧力上昇が急激な場合や流体の腐食性が強い場合などに使用される。
(1)イ ロ ハ
(2)イ ロ
(3)イ ニ
(4)ロ ハ ニ
(5)ハ ニ
※ イメージ図(©photoAC)
このページは、2025年の労働安全衛生コンサルタント試験の「産業安全一般」問題の解説と解答例を示しています。
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| 2025年度(令和07年度) | 問22 | 難易度 | 化学設備の安全装置は 2012 年度以降では初出。化学の専門家以外には難問だろう。 |
|---|---|---|---|
| 化学設備の安全装置 | 5 |
※ 難易度は本サイトが行ったアンケート結果の正答率に基づく。
5:50%未満 4:50%以上60%未満 3:60%以上70%未満 2:70%以上80%未満 1:80%以上
問22 化学設備の安全装置に関する次のイ〜ニの記述について、適切でないもののみを全て挙げたものは(1)〜(5)のうちどれか。
イ 安全弁は、化学設備の内圧を計測する圧力計からの電気信号により、設定圧力を超えた場合に弁が作動して弁を開放状態にし、内部の流体を外部に放出することによって内圧を下げるものである。
ロ フレームアレスタは、引火性液体の貯蔵タンク等の内圧と大気圧との間に差が生じたとき、タンク内の気体を放出し、又は、大気等をタンク内に吸引して、内外の圧力を平衡に保つものである。
ハ 緊急遮断装置は、反応槽等における異常な事態の発生による爆発又は火災を防止するため、当該反応槽等への原材料の送給を緊急遮断する装置である。
ニ 破裂板は、薄い金属板等でできており、化学設備の内圧上昇時に破裂して内圧を低下させるもので、圧力上昇が急激な場合や流体の腐食性が強い場合などに使用される。
(1)イ ロ ハ
(2)イ ロ
(3)イ ニ
(4)ロ ハ ニ
(5)ハ ニ
正答(2)
【解説】
イ 適切ではない。安全弁とは、JIS B 8210:2017「安全弁」によれば、「流体の圧力以外のいかなる動力の補助もなしで、あらかじめ設定した安全な圧力を超えることを防止するため、自動的に所定量の流体を放出
」する装置である。
一例を挙げれば、通常はバネで弁が抑えられて閉じているが、内部の圧力が設定値を超えるとバネが押さえられて弁が開放状態になり、内部の流体を外部の低圧側に放出するなどの仕組みによって内圧を下げるものなどがある。
本肢のように「内圧を計測する圧力計からの電気信号による」のでは、「使用する流体の圧力以外のいかなる動力の補助もなしで」とは言えないであろう。
【安全弁とは】
3 用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は、JIS B 0100によるほか、次による
3.1 安全弁(safety valve)
使用する流体の圧力以外のいかなる動力の補助もなしで、あらかじめ設定した安全な圧力を超えることを防止するため、自動的に所定量の流体を放出し、正常な使用圧力状態に回復した後、再び閉止して、それ以上の流体を放出しないように設計した弁。
注記1 弁は、設定圧力を超えて圧力が増加したとき、急速開作動(ポッピング)又は比例開作動(リニア特性は必ずしも必要でない)のいずれかの特性を示す。
注記2 安全弁は、その機構から、パイロット式安全弁とそれ以外の安全弁とに分けられる。3.2 〜 3.4 は、パイロット式以外に該当する安全弁に関するものである。
※ JIS B 8210:2017「安全弁」より
ロ 適切ではない。フレームアレスタとは、逆火を防止するための装置で、細かい網目状の消炎素子(フィルター)で、通常は可燃性ガスを通過させるが、火炎の逆流は防止するようになっている(※)。
※ 例えば、林年宏「ウレタン・フォームの消炎能力とその応用について」(産業安全研究所技術資料 RIIS-TN-83-2 1983年)など
ガス溶接装置に用いられる乾式安全器では、逆火による炎を安全器内部の微細な粒度の消炎素子で消炎し、同時に遮断弁が逆火の衝撃波で作動してガスの供給を止めるようになっている。
本肢は、大気弁付通気管の説明であろう。
【フレームアレスタとは】
1 緒言
フレーム・アレスク(火炎防止器ともいう。以下、アレスクと略す)は、配管等の内部に生じた爆発火炎の伝播防止を目的とした安全装置であり、細隙における消炎現象をその原理としている。アレスタの最も重要な構成部品は、火炎を細分化して消減させるための通気性のある細隙集合体であり、これを消炎素子と呼ぶが、Davy が炭坑用安全ランプに用いた(歴史的にみて最初のアレスクである)金網をはじめとして、細粒充填層、焼結金属、発泡金属(メクル・フォーム)などに代表されるように、実用上の消炎素子は金属やセラミックスなどの無機物を素材としている。
※ 林年宏「ウレタン・フォームの消炎能力とその応用について」(産業安全研究所技術資料 RIIS-TN-83-2 1983年)より
ハ 適切である。緊急遮断装置は、反応補等における異常な事態の発生による爆発又は火災を防止するため、当該反応槽等への原材料の送給を緊急遮断する装置である。
【労働安全衛生規則】
(緊急しや断装置の設置等)
第373条の4 事業者は、特殊化学設備については、異常な事態の発生による爆発又は火災を防止するため、原材料の送給をしや断し、又は製品等を放出するための装置、不活性ガス、冷却用水等を送給するための装置等当該事態に対処するための装置を設けなければならない。
2 (略)
ニ 適切である。JIS B 8226-1:2011「破裂板式安全装置-第1部:一般」にも破裂板式安全装置は、急激な圧力上昇のおそれがある場合や腐食性の強い流体に使用する場合に使用するとされている。
【破裂板式安全装置の使用基準】
附属書JC(参考)破裂板式安全装置の使用基準
JC.1 適用範囲
この附属書は,破裂板式安全装置の使用基準について記載する。
JC.2 使用方法一般
破裂板式安全装置は,圧力系統の脱圧用安全装置として単独又は安全弁と併用して使用することができる。破裂板式安全装置は,次の場合に使用する。
a)ばね式安全弁では追従できないような、急激な圧力上昇のおそれがある場合
b)及びc)(略)
d)腐食性の強い流体に使用する場合
e)(略)
※ JIS B 8226-1:2011「破裂板式安全装置-第1部:一般」より
また、志村(※)なども、ばね式安全弁では追従できないような急激な圧力上昇の恐れがあるときや、安全弁を採用する場合でも、安全弁が腐食性流体と接することから起こる腐食などの防止のために、安全弁のプロセス側や出口側に破裂板を使用することが多くなっているとしている。
※ 例えば、志村隆「破裂板・爆発放散ロによる破壊防止方法」(安全工学 Vol.32 No.6 1993年)など





