問21 化学品の分類及び表示に関する世界調和システム(GHS)に基づく絵表示が表す物理化学的危険性と、その物理化学的危険性をもつ化学物質との次のイ~ニの組合せについて、正しいもののみを挙げたものは(1)~(5)のうちどれか。
| 絵表示 | 化学物質 | |||
| イ | ![]() |
過酸化ベンゾイル | ||
| ロ | ![]() |
塩化ナトリウム | ||
| ハ | ![]() |
二酸化窒素 | ||
| ニ | ![]() |
硫酸 |
(1)イ ロ
(2)イ ハ
(3)イ ニ
(4)ロ ニ
(5)ハ ニ
※ イメージ図(©photoAC)
このページは、2025年の労働安全衛生コンサルタント試験の「産業安全一般」問題の解説と解答例を示しています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等を削除した場合があります。
他の問題の解説をご覧になる場合は、「下表の左欄」、グローバルナビの「安全衛生試験の支援」又は「パンくずリスト」をご利用ください。
柳川に著作権があることにご留意ください。
| 2025年度(令和07年度) | 問21 | 難易度 | 前年度とほぼ同形式の問題。正答率は低いが、正答しておきたい問題である。 |
|---|---|---|---|
| GHS絵表示 | 5 |
※ 難易度は本サイトが行ったアンケート結果の正答率に基づく。
5:50%未満 4:50%以上60%未満 3:60%以上70%未満 2:70%以上80%未満 1:80%以上
問21 化学品の分類及び表示に関する世界調和システム(GHS)に基づく絵表示が表す物理化学的危険性と、その物理化学的危険性をもつ化学物質との次のイ~ニの組合せについて、正しいもののみを挙げたものは(1)~(5)のうちどれか。
| 絵表示 | 化学物質 | |||
| イ | ![]() |
過酸化ベンゾイル | ||
| ロ | ![]() |
塩化ナトリウム | ||
| ハ | ![]() |
二酸化窒素 | ||
| ニ | ![]() |
硫酸 |
(1)イ ロ
(2)イ ハ
(3)イ ニ
(4)ロ ニ
(5)ハ ニ
正答(2)
【解説】
本問は、2024 年度の問 21 と全く同じ形式であるが、絵表示の一部と物質のすべてが入れ替わっている。過去問を学習をするに当たっては、たんにその問で問われていることのみならず、周辺の事情まで学習の範囲を広げる必要があることを示している典型例である。
※ それ以前の過去問でGHSの絵表示関連の出題例としては、2020年度の問 22及び2022 年度の問 21)がある。
こういった問題を正答できるかどうかが、合格できるかどうかを分けるのである。本問についていえば、食塩と硫酸が燃えることはないと分かってさえいれば正答できる。合格のためには、なんとか正答しておきたい。
なお、GHSの絵表示については、厚労省のサイト「GHSのシンボルと名称」を参照して頂きたい。
| 爆弾の爆発 | 炎 | 円上の炎 | ガスボンベ | |
|---|---|---|---|---|
| 絵表示 | ![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
| 概要 |
● 火薬類 ● 自己反応性化学品 ● 有機過酸化物 |
● 可燃性・引火性ガス ● 可燃性・引火性エアゾール ● 引火性液体、可燃性固体 ● 自己反応性化学品 ● 自然発火性液体、自然発火性固体、自己発熱性化学品、水反応可燃性化学品、有機過酸化物 |
● 支燃性・酸化性ガス ● 酸化性液体 ● 酸化性固体 |
● 高圧ガス |
イ 正しい。この絵表示は「爆弾の爆発」であり、火薬類、自己反応性化学品及び有機過酸化物を表現している。過酸化ベンゾイル(ジベンゾイルペルオキシド)のモデルSDSにあるように、過酸化ベンゾイルは「有機過酸化物」である。
また、過酸化ベンゾイルは安衛令別表第一第一号の「爆発性の硝酸エステル類」に該当する。
ロ 誤り。この絵表示は「炎」であり、可燃性・引火性ガス、可燃性・引火性エアゾールなどの「自ら燃えるもの」を表している。要は、この絵表示がついているものは燃えるのである。
しかし、本肢の塩化ナトリウムは「食塩」の主成分である。消防庁の「危険物災害等情報支援システム」の「塩化ナトリウム」の項目をみても分かるように燃えたりはしない(※)。
※ 「危険物災害等情報支援システム」に塩化ナトリウムの項目があることの方が不思議なほどである。なお、ガスバーナの炎を当てれば、ナトリウムが燃焼して(炎色反応で黄色い炎が見える)酸化ナトリウムになるが、GHS分類で危険性が問題になるような意味では燃えない。
ハ 正しい。この絵表示は「円上の炎」であり、支燃性・酸化性を表現している。すなわち、自らが燃えるのではなく、「他の物を燃やす」作用のあるものなのである(※)。
※ 公式な記録には残っていないかもしれないが、この絵表示を定めた国際会議で、酸素の化学記号の「O」を円で表そうというので、この絵表示になったのである。支燃性、可燃性のある物質の多くは、酸素を供給することによって他の物質を燃焼等させるのである。
二酸化窒素のモデルSDSにも示されているが、二酸化窒素の「支燃性又は酸化性ガス」の区分は1となっている。
ニ 誤り。ロの解説で述べたように、この絵表示は「炎」であり、燃えるものを表現している。硫酸のモデルSDSの絵表示を見ればわかるように、「炎」の絵表示はない。要するに自ら燃えたりはしないのである。
※ 2023 年の改訂前の硫酸のモデルSDSでは、物理化学的危険性に関連するすべての分類が、区分外又は分類対象外とされていた。
なお、硫酸のモデルSDSには、「円上の炎」の絵表示もない。しかし、硫酸は、多くの反応により火災又は爆発を生じることがある。また、強力な酸化剤であり、可燃性物質や還元性物質と反応する。さらに、強酸であり、塩基と激しく反応し、ほとんどの普通金属に対して腐食性を示して引火性/爆発性気体(水素)を生成する。また、水、有機物と激しく反応して熱を放出する。
また、可燃性物質、還元性物質、強酸化剤、強塩基、混触危険物質と混色させてはならない。
要するに、GHSの絵表示とはそういうものなのである。コンサルタントになった実務においては、必ずSDSの原本をすべて読まなければならない。












