問19 墜落制止用器具に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。
(1)水平親綱を使用する作業者は、原則として1スパンに1人とする。
(2)1本の垂直親綱を使用する作業者は、原則として1人とする。
(3)墜落制止用器具の点検・保守及び保管は、責任者を定めて行い、管理台帳にそれらの結果や管理上必要な事項を記録しておく。
(4)ランヤードのフック等の取付部にショックアブソーバがある形状のものは、回し掛けをしてフック等がショックアブソーバに掛かるとショックアブソーバが機能しないことがある。
(5)墜落制止用器具には、使用可能な最大質量が定められており、それと器具を使用する者の体重を比較して器具を選定する。
※ イメージ図(©photoAC)
このページは、2025年の労働安全衛生コンサルタント試験の「産業安全一般」問題の解説と解答例を示しています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等を削除した場合があります。
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| 2025年度(令和07年度) | 問19 | 難易度 | 墜落製用器具に関する出題は 2020 年度以来。本問は問題文をよく読めば正答可能。正答できないと痛い。 |
|---|---|---|---|
| 墜落制止用器具 | 5 |
※ 難易度は本サイトが行ったアンケート結果の正答率に基づく。
5:50%未満 4:50%以上60%未満 3:60%以上70%未満 2:70%以上80%未満 1:80%以上
問19 墜落制止用器具に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。
(1)水平親綱を使用する作業者は、原則として1スパンに1人とする。
(2)1本の垂直親綱を使用する作業者は、原則として1人とする。
(3)墜落制止用器具の点検・保守及び保管は、責任者を定めて行い、管理台帳にそれらの結果や管理上必要な事項を記録しておく。
(4)ランヤードのフック等の取付部にショックアブソーバがある形状のものは、回し掛けをしてフック等がショックアブソーバに掛かるとショックアブソーバが機能しないことがある。
(5)墜落制止用器具には、使用可能な最大質量が定められており、それと器具を使用する者の体重を比較して器具を選定する。
正答(5)
【解説】
墜落制止用器具に特化した問題は 2019 年度問 20及び 2020 年度問 20 に連続して出題された後、5年の間隔を開けての久しぶりの出題である。今回は、以前より、やや細かな内容が問われている。
本問の正答の(5)は、正しい肢であった 2020 年度問 20 の(5)の文章を修正して誤りの肢としたものである。出題者は引っ掛け問題とする意図はなかったのかもしれないが、結果的に引っ掛け問題となってしまった。
本問の(5)の内容は、当たり前のことであり、受験者は、おそらく全員が実際の現場では正しい行動をとるだろう。ただ、文章の「アヤ」に気が付かなかったために誤答しただけなのである。その意味で、完全に引っ掛け問題としか評価できない。
コンサルタントとしての能力を図る試験として適切な内容だったかについて疑問を感じざるを得ない。
しかし、現にこういう問題が出題される以上、受験者の側も問題文をよく読まなければならない。(5)の問題文をよく読んでいれば、誤りだと気づける問題である。近年のコンサルタント試験の難易度が高まっている中では、このような問題を落とすのはかなり痛い。
(1)適切である。厚労省「墜落制止用器具の安全な使用に関するガイドライン」(平成30年6月22日基発 0622 第2号。以下「ガイドライン」という。)に「水平親綱を使用する作業者は、原則として1スパンに1人とすること
」とされている。
※ 図は、日本安全帯研究会「墜落制止用器具の選定と正しい使い方」より引用
図は、日本安全帯研究会のサイトからの引用であるが、1スパンに2人以上がいると、1人が墜落すると他の者が引っ張られて(いわゆる友引き状態)同時に墜落するおそれがあり、墜落した者同士が激突するおそれがあるからである。
【友引の防止】
第5 墜落制止用器具の使用
3 水平親綱への取付け
(1)(略)
(2)水平親綱を使用する作業者は、原則として1スパンに1人とすること。
(3)及び(4)(略)
※ 厚生労働省「墜落制止用器具の安全な使用に関するガイドライン」(平成30年6月22日基発 0622 第2号)より
(2)適切である。ガイドラインに「一本の垂直親綱を使用する作業者数は、原則として一人とすること
」とされている。
2人以上で使用していると、上の者が何らかの理由で墜落したとき下の者に激突するおそれがあり、また上の者が何かを落としたときにこれが下の者に激突するおそれがある。
【垂直親綱使用時の危険の防止】
第5 墜落制止用器具の使用
2 垂直親綱への取付け
(1)(略)
(2)一本の垂直親綱を使用する作業者数は、原則として一人とすること。
(3)~(5)(略)
※ 厚生労働省「墜落制止用器具の安全な使用に関するガイドライン」(平成30年6月22日基発 0622 第2号)より
(3)適切である。ガイドラインの「第6 点検・保守・保管」の内容に適合している。本肢は、誤っていると考える要素がない。
【墜落制止用器具の点検・保守・保管】
第6 点検・保守・保管
墜落制止用器具の点検・保守及び保管は、責任者を定める等により確実に行い、管理台帳等にそれらの結果や管理上必要な事項を記録しておくこと。
1~3 (略)
※ 厚生労働省「墜落制止用器具の安全な使用に関するガイドライン」(平成30年6月22日基発 0622 第2号)より
(4)適切である。ガイドラインに「ランヤードのフック等の取付部にショックアブソーバがある形状のものは、回し掛けをしてフック等がショックアブソーバに掛かるとショックアブソーバが機能しないことがあるので、回し掛けしないこと
」とされている。
※ 図は、日本安全帯研究会「墜落制止用器具の選定と正しい使い方」より引用
図は、日本安全帯研究会のサイトからの引用でフックの掛け方を表したものである。この図の回し掛けの方法の左側は正しい掛け方であるが、ランヤードのフック等の取付部にショックアブソーバがある形状のもので回し掛けをすると、墜落時にショックアブソーバに力が掛からずに開かない可能性がある。このため、フック側にショックアブソーバのあるものは回し掛けをしてはならないのである。
なお、このタイプのランヤードは、ストラップ巻き取り式のものでは、一部のメーカが製造しており、現場でもまれにみかけることがある。
【ランヤードのフック等の取付部にショックアブソーバがある形状のもの】
第5 墜落制止用器具の使用
1 墜落制止用器具の使用方法
(5)フック等の使用方法
ア~ウ (略)
エ ランヤードのフック等の取付部にショックアブソーバがある形状のものは、回し掛けをしてフック等がショックアブソーバに掛かるとショックアブソーバが機能しないことがあるので、回し掛けしないこと。
※ 厚生労働省「墜落制止用器具の安全な使用に関するガイドライン」(平成30年6月22日基発 0622 第2号)より
(5)適切ではない。墜落制止用器具には、「墜落制止用器具の規格」(平成31年1月25日厚生労働省告示第11号)に使用可能な最大質量(※)が定められていることは正しい。ガイドラインでは、それと器具を使用する者の体重と装備を比較して器具を選定する必要があるとされている(※)。
※ ガイドラインの中に「85kg 又は 100kg。特注品を除く」とあるが、これは、墜落制止用器具の規格第8条第6項でそのように決まっているというだけのことである。現実には 85kg 用のものは製造されておらず、100kg 用の他に、130kg 又は 140kg 用のどちらかを製造しているメーカが多い。
実際の現場で、体重だけで、装備の重さを無視して器具を選定することなどありえないだろう(※)。言葉の「アヤ」だけの問題である。本肢の「体重」という言葉を読んで、無意識に装備の重さは「体重」の中に含まれると思い込んでしまうと正答できない。
※ 電気工事士などは、腰ベルトに工具を取り付けていることが多いが、その重量は体重に比して無視できるようなものではない。
なお、ガイドラインにある「ワークポジショニング作業」とは、「ロープ等の張力により、U字つり状態などで作業者の身体を保持して行う作業」のことであり、電柱の上などで体をロープで支えて行う作業などのことである。
【墜落制止用器具の使用可能な最大質量】
第4 墜落制止用器具の選定
2 墜落制止用器具の選定(ワークポジショニング作業を伴わない場合)
(3)体重に応じた器具の選定
墜落制止用器具には、使用可能な最大質量(85kg 又は 100kg。特注品を除く。)が定められているので、器具を使用する者の体重と装備品の合計の質量が使用可能な最大質量を超えないように器具を選定すること。
3 墜落制止用器具の選定(ワークポジショニング作業を伴う場合)
(3)体重に応じた器具の選定
墜落制止用器具には、使用可能な最大質量(85kg 又は 100kg。特注品を除く。)が定められているので、器具を使用する者の体重と装備品の合計の質量が使用可能な最大質量を超えないように器具を選定すること。
※ 厚生労働省「墜落制止用器具の安全な使用に関するガイドライン」(平成30年6月22日基発 0622 第2号)より





