労働安全コンサルタント試験 2025年 産業安全一般 問14

金属材料等の非破壊検査




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※ イメージ図(©photoAC)

 このページは、2025年の労働安全衛生コンサルタント試験の「産業安全一般」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等を削除した場合があります。

 他の問題の解説をご覧になる場合は、「下表の左欄」、グローバルナビの「安全衛生試験の支援」又は「パンくずリスト」をご利用ください。

 柳川に著作権があることにご留意ください。

2025年度(令和07年度) 問14 難易度 非破壊検査に関する基本的な問題。検査の詳細な内容を知らなくとも正答が推測できる。正答しておきたい。
非破壊検査  2 

※ 難易度は本サイトが行ったアンケート結果の正答率に基づく。
5:50%未満 4:50%以上60%未満 3:60%以上70%未満 2:70%以上80%未満 1:80%以上

問14 非破壊検査に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。

(1)放射線透過試験は、エックス線やガンマ線を用いて空洞などの内部欠陥を画像として可視化できる検査法である。

(2)磁粉探傷試験は、強磁性体の表面に開口した亀裂などの欠陥を検出するのに適しており、欠陥部に磁束の漏れが生じることで磁粉が集まり、模様として欠陥を可視化できる検査法である。

(3)超音波探傷試験は、超音波を試験体に伝播させ、面状欠陥により入射波の一部が反射される現象を利用して損傷を検出する検査法であり、亀裂などの検出に有効である。

(4)浸透探傷試験は、金属材料だけでなくガラスやセラミックスなどにも適用可能で、表面に開口した微細な亀裂を検出する検査法である。

(5)渦電流探傷試験は、導電体だけでなく非導電体にも適用される方法で、材料表面や表面近傍に存在する亀裂などにより磁界の分布が変化し、その変化を電気信号として捉えることで欠陥を検出する検査法である。

正答(5)

【解説】

問14試験結果

試験解答状況
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産総研マガジン「非破壊検査とは」に、非破壊検査全般についての分かりやすい説明がある。非破壊検査に詳しくない方は、その中の表「非破壊検査試験方法の特徴とメリット・デメリット」に試験までに目を通しておくことをお勧めする。

(1)適切である。放射線透過試験(RT)に関する JIS としては、JIS Z 3104:1995「鋼溶接継手の放射線透過試験方法」、JIS Z 3105:2003「アルミニウム溶接継手の放射線透過試験方法」、JIS G 0581:1999「鋳鋼品の放射線透過試験方法」が定められている。

例えば、JIS Z 3104:1995 は「鋼の溶接継手を、工業用X線フィルムを用いてX線又はγ線(以下、放射線という。)による直接撮影方法によって試験を行う放射線透過試験方法について規定」している(※)

※ 他の2つの JIS も同様な規定となっている。

なお、JIS Z 2300:2020「非破壊試験用語」によれば、放射線透過試験とは「放射線を試験体に照射し、透過した放射線の強さの変化から試験体内部のきず及び/又は状態を調べる非破壊試験」とされている。

(2)適切である。三好が磁粉探傷試験について、端的に説明しているが、この試験は、本肢記載の通り、強磁性体の表面に開口した亀裂などの欠陥を検出するのに適しており、欠陥部に磁束の漏れが生じることで磁粉が集まり、模様として欠陥を可視化できる検査法である。

※ 三好滋「3 表面欠陥と磁粉及び浸透探傷試験」(溶接学会誌 Vol.50 No.11 1981年)

【磁粉探傷試験】

3.表面欠陥と磁粉及び浸透探傷試験

3.1 磁粉探傷試験

  磁粉探傷試験の原理の詳細については他の文献に譲るとして簡単に言えば、強磁性体に直接電流又は磁束を流すか磁場を加えるかして試験対象部を磁化し、磁束の流れを作ったとき、もし、この流れの中に流れを妨げる欠陥が存在していると、磁束はこの部分を迂回して流れることになる。この際、この欠陥が表面近傍であれば、欠陥の近傍の空間表面に漏浅磁場を生ずる。ここに強磁性体の微粒子粉末である磁粉を吸着させれば、欠陥を指示模様として表すことが可能である。

  このようにして、肉眼によって欠陥の存在を強調して知覚する試験方法が磁粉探傷試験である。

※ 三好滋「3 表面欠陥と磁粉及び浸透探傷試験」(溶接学会誌 Vol.50 No.11 1981年)

一般社団法人日本非破壊検査協会の「CS 放送「サイエンスチャンネル」 非破壊検査特集(分割3/5)」に磁粉探傷試験の説明動画が掲示されているので、イメージがわきにくいという方は視聴してみるとよいかもしれない。

(3)適切である。JIS Z 2300:2020「非破壊試験用語」によれば、超音波探傷試験(UT)とは、「超音波を試験体中に伝搬させたときに試験体の示す音響的性質を利用して試験体内部のきず又は材質を調べる非破壊試験」とされている。

(4)適切である。浸透探傷試験(PT)は、JIS Z 2300:2020「非破壊試験用語」によれば、「一般に浸透処理、余剰浸透液の除去処理、及び現像処理で構成される表面に開口したきずを指示模様として検出する非破壊試験」とされている。すなわち、被測定物の表面に開口したきずに浸透液を浸透させて行うものである。

物理的な形状を利用しているので、金属材料だけでなくガラスやセラミックスなどにも適用可能である。

次の動画は MaterialsScience2000 チャンネルの YouTube 動画を埋め込んだものである。かなり分かりやすい説明がされているので、浸透探傷試験という言葉を始めて聞いたという方は視聴してみるとイメージをつかめるかもしれない(※)

※ 英語が苦手という方は、まず動画の右下にある設定(歯車のアイコン)をクリックすると、メニューが表示されて「字幕(1) オフ」が現れるので、これをクリックする。次に「英語(自動生成)」をクリックすると、メニューの字幕が「字幕 英語(自動生成)」と変わっているので、これをクリックする。ここで現れるメニューの「自動翻訳」をクリックして「日本語」をクリックすると、字幕の表示が「英語(自動設定)>> 日本語」と変わって日本語の字幕が表示される。

(5)適切でない。渦電流探傷試験(FT)は、JIS Z 2300:2020「非破壊試験用語」に「対象物を検査するために誘導渦電流の電磁効果を用いる非破壊試験」と定義されている。すなわち、電流が流れない非導電体には適用できない。

渦電流探傷試験について詳細を知らなくても、言葉の意味から被試験対象物に渦電流を流して検査を行うのではないかと予想することはできよう。だとすれば、非導電体に適用できるわけがないと気付くことができよう。

次の動画は OERSTER Group チャンネルのYouTube動画を埋め込んだものである。渦電流探傷試験の原理が分かりやすく説明されているので、これもイメージをつかむために視聴してみてもよいかもしれない。