労働安全コンサルタント試験 2025年 産業安全一般 問12

安全衛生教育推進要綱に定められていない教育




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 このページは、2025年の労働安全衛生コンサルタント試験の「産業安全一般」問題の解説と解答例を示しています。

 解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等を削除した場合があります。

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2025年度(令和07年度) 問12 難易度 かなり細かな内容の問題。現場で考えても迷う肢がある。それでも正答の肢が最も多かった。
安全衛生教育  5 

※ 難易度は本サイトが行ったアンケート結果の正答率に基づく。
5:50%未満 4:50%以上60%未満 3:60%以上70%未満 2:70%以上80%未満 1:80%以上

問12 安全衛生教育に関する次の記述のうち、厚生労働省の「安全衛生教育等推進要綱」に定められていないものはどれか。

(1)安全衛生責任者に対して、当該業務に関する全般的事項について、新たに選任された時に、選任時教育を実施する。

(2)作業指揮者に対して、作業指揮者の職務、安全な作業方法、作業設備の点検及び改善措置等に関する事項について、当該職務に初めて指名された時に、指名時教育を実施する。

(3)労働安全衛生マネジメントシステム担当者に対して、当該業務に関する全般的事項について、当該職務に初めて指名された時に、指名時教育を実施する。

(4)労働安全コンサルタントは、当該業務に必要な専門的知識等のうち技術革新の進展等社会経済情勢及び職場環境の変化等に対応した事項について、おおむね5年ごとに、実務向上研修を受講する。

(5)職長等に対して、当該業務に関連する労働災害の動向、技術革新等の社会経済情勢、事業場における職場環境の変化等に対応した事項について、おおむね5年ごと及び機械設備等に大幅な変更があった時に、能力向上教育に準じた教育を実施する。

正答(4)

【解説】

問12試験結果

試験解答状況
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本問は、「安全衛生教育等推進要綱」(平成3年1月 21 日基発第 39 号(最終改正:平成 28 年 10 月 12 日基発 1012 第1号))に関する問題である。

同要綱の別表についての設問は、2024 年度の問 11 に引き続いて連続2度目の出題である(※)

※ それまでも個別の選択肢について同要綱の別表から出題されているケースはあるが、問題全体が別表からの出題というのは 2024 年度の問 11 が最初である。このときの正答率は、35.4 %であった。今回はそれよりもかなり良くなっている。

(1)定められている。安全衛生に関する管理者は、特別な資格のあるものを除いて、その業務に初めて従事する時には、「当該業務に関する全般的事項」について教育をするとされているものが多い。

安全衛生責任者についても、要綱の別表の2の(5)に同種の定めがある。

【安全衛生責任者に対する教育】

別表

安全衛生教育等の対象者・種類・実施時期及び内容

対象者 種類 実施時期 教育等の内容 備考
1 (略)
2.安全衛生に係る管理者

(5)安全衛生責任者

[1]選任時教育

新たに選任された時

当該業務に関する全般的事項 (略)

[2]能力向上教育に準じた教育

イ.定期(おおむね5年ごとに)

ロ.随時(機械設備等に大幅な変更があった時)

ロとハ

  当該業務に関連する労働災害の動向、技術革新等の社会経済情勢、事業場における職場環境の変化等に対応した事項

(略) (略) (略) (略) (略)
3~6 (略)
※ 厚生労働省「安全衛生教育等の対象者・種類・実施時期及び内容」(安全衛生教育等推進要綱(平成3年1月 21 日基発第 39 号)の別表)

(2)定められている。作業指揮者の場合も最初の指名時に、要綱の別表の2の(4)により全般的事項についての教育を行うこととされている。作業指揮者の場合は「作業指揮者の職務、安全な作業方法、作業設備の点検及び改善措置等に関する事項」という表現となっているが、その内容は作業指揮者の業務の全般的事項そのものである。

【安全衛生責任者に対する教育】

別表

安全衛生教育等の対象者・種類・実施時期及び内容

対象者 種類 実施時期 教育等の内容 備考
1 (略)
2.安全衛生に係る管理者
(略) (略) (略) (略) (略)

(4)作業指揮者

指名時教育 当該職務に初めて指名された時 作業指揮者の職務、安全な作業方法、作業設備の点検及び改善措置等に関する事項 (略)
(略) (略) (略) (略) (略)
3~6 (略)
※ 厚生労働省「安全衛生教育等の対象者・種類・実施時期及び内容」(安全衛生教育等推進要綱(平成3年1月 21 日基発第 39 号)の別表)

(3)定められている。労働安全衛生マネジメントシステム担当者についても、(1)と同様に、要綱の別表の2の(8)により、その業務に初めて従事する時には、「当該業務に関する全般的事項」について教育をするとされている。

【安全衛生責任者に対する教育】

別表

安全衛生教育等の対象者・種類・実施時期及び内容

対象者 種類 実施時期 教育等の内容 備考
1 (略)
2.安全衛生に係る管理者
(略) (略) (略) (略) (略)

(8)危険性又は有害性の調査等担当者
 労働安全衛生マネジメントシステム担当者

指名時教育 当該職務に初めて指名された時 当該業務に関する全般的事項 (略)
(略) (略) (略) (略) (略)
3~6 (略)
※ 厚生労働省「安全衛生教育等の対象者・種類・実施時期及び内容」(安全衛生教育等推進要綱(平成3年1月 21 日基発第 39 号)の別表)

(4)定められていない。本肢の教育は、要綱の別表の4には、おおむね5年ごとではなく、随時行うこととされている。

専門家を相手に定期的に教育を行う必要はないのである。なにかあったとき(例えば関係法令の改正)に、それに対応するための教育(例えば都道府県労働局や業界団体が行う教育)を受けさせればよいのである。

【安全衛生責任者に対する教育】

別表

安全衛生教育等の対象者・種類・実施時期及び内容

対象者 種類 実施時期 教育等の内容 備考
1~3 (略)
4.安全衛生専門家
産業医
労働安全コンサルタント
労働衛生コンサルタント
安全管理士
衛生管理士
作業環境測定士
実務向上研修 随時 当該業務に必要な専門的知識等のうち技術革新の進展等社会経済情勢及び職場環境の変化等に対応した事項 (略)
5及び6 (略)
※ 厚生労働省「安全衛生教育等の対象者・種類・実施時期及び内容」(安全衛生教育等推進要綱(平成3年1月 21 日基発第 39 号)の別表)

(5)定められている。能力向上教育又はそれに準じた教育はおおむね5年ごと又は随時(機械設備等に大幅な変更があった時)に行う。職長についても、要綱の別表の2の(3)により、能力向上教育に準じた教育を行うこととされている。

【安全衛生責任者に対する教育】

別表

安全衛生教育等の対象者・種類・実施時期及び内容

対象者 種類 実施時期 教育等の内容 備考
1 (略)
2.安全衛生に係る管理者

(3)職長等

[1]職長教育(法第60条)

当該職務に初めて就く時 安衛則第 40 条に規定された事項 (略)

[2]能力向上教育に準じた教育

イ.定期(おおむね5年ごとに)

ロ.随時(機械設備等に大幅な変更があった時)

ロとハ

  当該業務に関連する労働災害の動向、技術革新等の社会経済情勢、事業場における職場環境の変化等に対応した事項

(略) (略) (略) (略) (略)
3~6 (略)
※ 厚生労働省「安全衛生教育等の対象者・種類・実施時期及び内容」(安全衛生教育等推進要綱(平成3年1月 21 日基発第 39 号)の別表)

【労働安全衛生法】

第60条 事業者は、その事業場の業種が政令で定めるものに該当するときは、新たに職務につくこととなつた職長その他の作業中の労働者を直接指導又は監督する者(作業主任者を除く。)に対し、次の事項について、厚生労働省令で定めるところにより、安全又は衛生のための教育を行なわなければならない。

 作業方法の決定及び労働者の配置に関すること。

 労働者に対する指導又は監督の方法に関すること。

 前二号に掲げるもののほか、労働災害を防止するため必要な事項で、厚生労働省令で定めるもの

【労働安全衛生規則】

(職長等の教育)

第40条 法第60条第三号の厚生労働省令で定める事項は、次のとおりとする。

一~三 (略)

2及び3 (略)

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