問9 厚生労働省の「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン」の内容に関する次のイ~ホの記述について、適切なものの数は(1)~(5)のうちどれか。
イ フレイルとは、加齢とともに、筋力や認知機能等の心身の活力が低下し、生活機能障害や要介護状態等の危険性が高くなった状態のことをいう。
ロ ロコモティブシンドロームとは、年齢とともに骨や関節、筋肉等運動器の衰えが原因で「立つ」、「歩く」といった機能(移動機能)が低下している状態のことをいう。
ハ 社会福祉施設や飲食店等では、家庭生活と同種の作業を行うことから家庭生活における作業と同程度のリスクが潜んでいる。
ニ 段差や滑りやすい箇所等の危険箇所を解消することができない場合には、安全標識等の掲示により注意喚起を行う。
ホ 警報音等は、年齢によらず聞き取りやすい高音域の音を採用する。
(1)一つ
(2)二つ
(3)三つ
(4)四つ
(5)五つ
※ イメージ図(©photoAC)
このページは、2025年の労働安全衛生コンサルタント試験の「産業安全一般」問題の解説と解答例を示しています。
解説文中の法令の名称等は、適宜、略語を用いています。また、引用している法令は、読みやすくするために漢数字を算用数字に変更するなどの修正を行い、フリガナ、傍点等を削除した場合があります。
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| 2025年度(令和07年度) | 問09 | 難易度 | 受験者に嫌われる個数問題だが、内容は基本的なものである。正答率は低いが正答しておきたいところ。 |
|---|---|---|---|
| 高年齢者の労働災害 | 5 |
※ 難易度は本サイトが行ったアンケート結果の正答率に基づく。
5:50%未満 4:50%以上60%未満 3:60%以上70%未満 2:70%以上80%未満 1:80%以上
問9 厚生労働省の「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン」の内容に関する次のイ~ホの記述について、適切なものの数は(1)~(5)のうちどれか。
イ フレイルとは、加齢とともに、筋力や認知機能等の心身の活力が低下し、生活機能障害や要介護状態等の危険性が高くなった状態のことをいう。
ロ ロコモティブシンドロームとは、年齢とともに骨や関節、筋肉等運動器の衰えが原因で「立つ」、「歩く」といった機能(移動機能)が低下している状態のことをいう。
ハ 社会福祉施設や飲食店等では、家庭生活と同種の作業を行うことから家庭生活における作業と同程度のリスクが潜んでいる。
ニ 段差や滑りやすい箇所等の危険箇所を解消することができない場合には、安全標識等の掲示により注意喚起を行う。
ホ 警報音等は、年齢によらず聞き取りやすい高音域の音を採用する。
(1)一つ
(2)二つ
(3)三つ
(4)四つ
(5)五つ
正答(3)(適切な記述はイ、ロ、ニ)
【解説】
本問は、本文にもあるように「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン(エイジフレンドリーガイドライン)」(令和2年3月 16 日基安発 0316 第1号。以下「ガイドライン」という。)に関する問題である。
エイジフレンドリーガイドラインは、2024 年度の問9に引き続いての出題である。
今回は、個数問題ということもあり、受験者がどこで間違えたのかは判然としないが、適切である肢を4つと解答した受験者が最も多かった。おそらくハを適切と考えた受験者が多かったのではないかと思われる。
イ 適切である。ガイドラインによれば、フレイルとは「加齢とともに、筋力や認知機能等の心身の活力が低下し、生活機能障害や要介護状態等の危険性が高くなった状態」とされている。
【フレイルとは】
第2 事業者に求められる事項
1 安全衛生管理体制の確立等
(2)危険源の特定等のリスクアセスメントの実施
(略)
・ 高年齢労働者の状況に応じ、フレイルやロコモティブシンドロームについても考慮する必要があること。
なお、フレイルとは、加齢とともに、筋力や認知機能等の心身の活力が低下し、生活機能障害や要介護状態等の危険性が高くなった状態であり、ロコモティブシンドロームとは、年齢とともに骨や関節、筋肉等運動器の衰えが原因で「立つ」、「歩く」といった機能(移動機能)が低下している状態のことをいうこと。
※ 厚生労働省「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン(エイジフレンドリーガイドライン)」(令和2年3月 16 日基安発 0316 第1号)より
ロ 適切である。ガイドラインによればロコモティブシンドロームとは、「年齢とともに骨や関節、筋肉等運動器の衰えが原因で「立つ」、「歩く」といった機能(移動機能)が低下している状態」とされている。
なお、ガイドラインの文面については、イの解説を参照していただきたい。
ハ 適切ではない。ガイドラインによれば「社会福祉施設、飲食店等では、家庭生活と同種の作業を行うため危険を認識しにくいが、作業頻度や作業環境の違いにより家庭生活における作業とは異なるリスクが潜んでいる」とされている。
確かに、「社会福祉施設、飲食店等では、家庭生活と同種の作業を行う」ことはその通りだが、ある程度大規模な社会福祉施設、飲食店等では、家庭での介護や台所での調理とは質的に異なった作業を行っている(※)。どうしても、家庭生活とは異なるリスクが存在することとなる。
※ 卑近な例だが、家庭で1人の親をトイレ等のためにベットから1日に数回抱き起すのと、介護施設で数十人の入居者を1日に数百回抱き起すのとでは、腰に受ける負担がまったく異なる。また、小鍋で油を煮沸する作業と、大鍋で油を煮沸する作業では、火災のリスクも大きく異なるだろう。
【フレイルとは】
第2 事業者に求められる事項
1 安全衛生管理体制の確立等
(2)危険源の特定等のリスクアセスメントの実施
(略)
・ サービス業のうち社会福祉施設、飲食店等では、家庭生活と同種の作業を行うため危険を認識しにくいが、作業頻度や作業環境の違いにより家庭生活における作業とは異なるリスクが潜んでいることに留意すること。
※ 厚生労働省「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン(エイジフレンドリーガイドライン)」(令和2年3月 16 日基安発 0316 第1号)より
ニ 適切である。ガイドラインによれば「やむをえず、段差や滑りやすい箇所等の危険箇所を解消することができない場合には、安全標識等の掲示により注意喚起を行うこと」とされている。
【フレイルとは】
第2 事業者に求められる事項
2 職場環境の改善
(1)身体機能の低下を補う設備・装置の導入(主としてハード面の対策)
(略)
<共通的な事項>
・ やむをえず、段差や滑りやすい箇所等の危険箇所を解消することができない場合には、安全標識等の掲示により注意喚起を行うこと。
※ 厚生労働省「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン(エイジフレンドリーガイドライン)」(令和2年3月 16 日基安発 0316 第1号)より
ホ 適切ではない。ガイドラインによれば「年齢によらず聞き取りやすい中低音域の音を採用する」とされている。高齢になると高音域から音が聞こえにくくなることは覚えておかなければならない。
【フレイルとは】
第2 事業者に求められる事項
2 職場環境の改善
(1)身体機能の低下を補う設備・装置の導入(主としてハード面の対策)
(略)
<危険を知らせるための視聴覚に関する対応>
・ 警報音等は、年齢によらず聞き取りやすい中低音域の音を採用する、音源の向きを適切に設定する、指向性スピーカーを用いる等の工夫をすること。
※ 厚生労働省「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン(エイジフレンドリーガイドライン)」(令和2年3月 16 日基安発 0316 第1号)より





